外交講座
令和7年度(2025年度)外交講座
関西学院大学
令和7年11月20日
2025年10月30日(木曜日)、関西学院大学において外交講座が開催されました。
テーマ及び講演内容
経済局国際貿易課 新井課長補佐が、「自由貿易体制の危機と日本の対応」をテーマに、具体的な事案の紹介を交えながら講演しました。
参加者の感想
- 今回の外交講座を受講して、自由貿易体制が単なる経済の話ではなく、国際政治や安全保障と深く関わっていることを知って驚いた。特に、米中対立や保護主義の動きなどの様々な国際情勢によって、WTOのルール自体が揺らぎつつあるという現状はかなり衝撃的だった。自由貿易は「皆で豊かになる」という理念に基づいているが、各国が自国の利益を優先し始めると、国際協調が成り立たなくなるというのは資本主義の歪みが顕著に表れていると思った。
- 今回の講座を通じて、WTOを中心とした自由貿易体制の仕組みや理念について理解が深まった。特に、関税の削減や最恵国待遇といった「自由化」の原則が、単に経済の拡大を目的とするだけでなく、平和や安定にも寄与してきたという点が印象的だった。また、米中対立や経済安全保障の観点から保護主義的な動きが強まる現状を知り、自由貿易体制が必ずしも当たり前ではなく、国際協調の維持には不断の努力が必要だと感じた。今後は、自由化と安全保障のバランスをどう取るかという点に関心を持ち、ニュースなどをより意識的に追っていきたい。
- 今回の外交講座は、日本の外交政策について理解を深める貴重な機会となった。講義では、国際社会の中で日本が果たすべき役割や、国際機関との連携など幅広い分野が取り上げられ、外交の重要性を改めて実感した。特に、経済安全保障などに関する説明は、国際情勢と直結しており興味深かった。また、外務省の具体的な取り組みや職員の使命感にも触れることができ、外交の現場で働く意義への理解と関心が高まった。今後もこのような機会を通じて、国際社会への日本の貢献について学びを深めていきたい。
- 講演の中で特に印象に残ったのは、WTOが現在多くの課題を抱えているという点であった。WTOは各国の貿易を公正に管理し、国際的な自由貿易体制を維持するための安定した仕組みであると考えていたが、実際には、加盟国間の利害の対立や、大国による一方的な政策決定がWTOの機能を弱体化させているという状況を知り、大きな衝撃を受けた。「戦争を起こさない」「大国が過ちを犯さない」「自由を守る」という理念のもとに創設された国連機関でありながら、その理念を体現すべき大国自身が制度の信頼性を揺るがすような行動を取っているというのは、非常に皮肉であり、同時に深刻な問題だと感じた。
- 今回の講座を通じて、外交は「国同士の駆け引き」以上に、国内の政治や世論とも密接に結びついた複雑なプロセスだという理解が深まった。特に、国益をどのように整理し、どの選択肢が最も現実的で価値を守れるのかを判断する思考の重要性を強く感じた。ニュースで見る国際問題の裏側にある計算や、妥協のラインを探る難しさに関心が高まった。

