国際問題プレゼンテーション・コンテスト
第39回国際問題プレゼンテーション・コンテスト開催報告

令和5年11月11日(土曜日)、外務省は、第39回国際問題プレゼンテーション・コンテストを開催しました(於:外務省、オンラインでも配信)。本年は、日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議が開催されることを踏まえ、「私の提言 日本ASEAN友好協力50周年を契機に、私たちが目指す今後の日ASEAN関係」をテーマとして「提言」を募った結果、139組の学生から応募があり、事前審査を通過した6組のファイナリストが本選に進みました。

冒頭、小林麻紀外務報道官が参加者を激励し、続いて紀谷昌彦東南アジア諸国連合(ASEAN)日本政府代表部特命全権大使からビデオメッセージが寄せられました。開会式に続いて各ファイナリストからプレゼンテーションが行われ、様々な視点からの具体的な提言が披露されました。石井正文審査委員長(学習院大学法学部法学科特別客員教授・前インドネシア共和国駐箚日本国特命全権大使)、道傳愛子審査委員(NHK国際放送局World News部シニア・ディレクター)、久保田有香審査委員(国際機関 日本アセアンセンター事務総長補佐)が審査を行い、発表後には、審査委員から投げかけられる鋭い質問に対しファイナリスト達が熱意を持って答えていました。
受賞者の方々は次のとおりです。
受賞者の皆さん
【外務大臣賞】


「農福ふるさと村プロジェクト」
- 中央大学法学部1年 織戸 光(おりど ひかる)さん
- 中央大学法学部1年 迫 和惟(さこ かい)さん
(外務大臣賞受賞者のコメント)
(織戸さん)
このプレゼンテーション・コンテストを通じて、これからどのように勉強していくべきかとの指針が見えました。このプレゼンテーション・コンテストに参加したことを通じて、人の支えが本当に素晴らしいことだと感じました。
(迫さん)
このような賞を頂けて身に余る思いです。まず最初にこのプレゼンテーションを準備するにあたって、多大なるご協力を頂いた研究会の皆様、家族、もちろん織戸さんに感謝します。このプレゼンテーションを通じて、福田ドクトリンなど様々な取組が日ASEANの友好協力に携わってきたと理解しました。
我々若い世代も、この灯をしっかりと受け継いで、よりよい日ASEAN関係を目指していくべきだと考えます。
【日・ASEAN賞】


「近くて遠いASEANと日本を心と心の触れ合う関係へ 日本とASEANの教育三本の矢」
- 京都大学理学部3年 筒井 涼輔(つつい りょうすけ)さん
- 大阪大学経済学部1年(ベトナム) グエン フォンリーさん
(日・ASEAN賞受賞者のコメント)
(筒井さん)
スピーチの準備、発表、質疑応答全てが、非常に実りのある、醸成を図れる時間であったと思います。今後も何かにこの経験を活かしていきたいと思います。
(グエンさん)
優秀な皆さんに出会え、知らないテーマについての発表を聴かせてくださり本当にありがとうございました。
最初、自信がなく、不安で参加しないつもりでしたが、友人から色々なアドバイスを受け、参加を決めました。
参加して本当に良かったと思いました。
【優秀賞】

「食料安全保障の実現に向けた外交関係 日本とASEANの関係緊密化の展望」
- 東京外国語大学3年(ベトナム) グエン ニャットマイさん
(優秀賞受賞者のコメント)
(グエンさん)
この場でお話できる機会を頂いて誠にありがとうございました。特に運営委員の方々、そしてとても貴重なアドバイスをしてくださった審査の皆様ありがとうございました。今日まで私をサポートしてくれた友人、色々アドバイスをくれたお母さんに感謝します。
人生で初めてこのような賞を手にしたので感動しています。今日は緊張していたので、涙がでてしまいました。
【入賞】(発表順)

「ASEAN-Japan Relations at 50: Shaping a Brighter Future」
- 電気通信大学 院1年(インドネシア) コーリック アブドラーさん
(アブドラーさんコメント)
このような評価をいただきありがとうございます。皆さんのサポートにも感謝します。

「医療問題解消のための日ASEAN間医療データ連携」
- 北里大学 岩瀬 優(いわせ ゆう)さん
(岩瀬さんコメント)
交流の機会を頂けただけでも本当にありがたく、応援してくれた皆様や審査委員の方々、本当にたくさんの方に厚くお礼を申し上げます。


「From Trash to Cash Project」
- 中央大学法学部1年 田中 麗(たなか うらら)さん
- 中央大学法学部1年 李 陳有希(り ちんゆき)さん
(田中さんコメント)
コンテストの1次審査の発表後からサポートしてくれた皆さんに感謝を伝えたいです。
(李さんコメント)
サポートしてくださった皆様に、心から感謝します。
そして専門家の皆様の前に立って私たちの考えを述べることは本当に光栄であり、大変勉強になりました。
今、国際秩序が揺れる中、日本の新世代として国際社会を理解し、これから誰かの悩みを解決できると嬉しいです。
審査委員講評
石井審査委員長

今回プレゼンテーションされた方々、本当にお疲れ様でした。
先ほどお話あったように数か月間準備されてきた成果を、今日は十分発揮されたと思います。順位はつきましたが、どの発表も素晴らしく審査も難航しました。
このコンテストは今回39回という歴史のあるもので、過去に参加された方のOB会もあると伺っています。この伝統をこれからも続けられたらいいと思いますし、そのためには皆様にぜひ引き続きご支援をお願いします。
非常に気持ちよく最初から最後まで審査できたのは、皆さんの発表の質が、大変高かったからだと思います。ぜひ、自分の発表に自信を持ってこれからも頑張ってください。
最後に、日本とASEANの関係は、これからの若い人たちに引き継ぎ、ますます強くしていくことが本当に大事だと思っています。今回、大学1年生の方の立派な発表を拝見して、感心しました。今日のコンテストを見て、日本とASEANの関係のバトンは、次の世代に確実に渡ったと感じていますので、これから皆さんが活躍する30年40年の間、日本とASEANの関係を大事にしてほしいと思います。
道傳審査委員

私が発表するわけではありませんが、ドキドキして今日を迎えました。皆さんの緊張はどれほどだったかと思います。その中で、立派に発表されて、感銘を受けました。今後の日ASEAN関係を語る中で、現在の課題も分かりやすく浮き彫りにし、さらに将来の課題を語る中でも、その課題があるからこそ発展の余地があるという発言もありました。日ASEANという枠を越えたグローバルな問題であるゴミ、環境や食料などにも広く目を向け希望に満ちたビジョンにあふれ素晴らしいと思いました。
皆様には、資料だけでなく自分の言葉で語れるように、現場にもぜひ行って頂きたいということが一つ。二つ目は、福田ドクトリンに言及され、論考を加えて新たに言及していることも素晴らしいと思いました。私たちのASEAN観や世界観も50年経ってアップデートしなければいけないときを迎えているのかなということも感じました。日本もASEANも変化し、その関係性も今は大きく変化しています。発表の中でも、日ASEAN関係を相対化し、俯瞰した視点から捉えている方も多く、勉強になりました。福田ドクトリンの次の日ASEANドクトリンに近いものが必要な時を迎えているのかもしれないとも思いました。皆さんの進路が研究者、政府関係、企業、NGO、国際機関などとても楽しみですが、私と同じメディアに進む方もいたらと望みます。
どうかそれぞれの分野で今日の日のことを胸に、ますますご活躍することを期待します。
久保田審査委員

普段から日本とASEANの関係を深めるための仕事をしていますが、皆さんのプレゼンテーションから本当に学ぶ事が多く、色々なヒントを頂いたので、今後の活動にも事業にもぜひ活かしていきたいと思いました。日本とASEANがより良好な関係を築くことは日本にとって死活問題であるだけでなく、ASEANを含むアジア全体の平和と安定、繁栄にも密接に繋がりますし、不安定な国際社会にも貢献する重要な関係だと思っています。皆さんのプレゼンを聴いて、日本とASEANの重要な関係がより良くなることは可能だと確信しました。これからの関係は皆さんのご活躍にかかっていると思います。
皆様のますますのご活躍を祈念しております。
なお、12月11日(月曜日)、外務大臣賞、日・ASEAN賞及び優秀賞を受賞した3組の方々が上川外務大臣を表敬し、懇談しました。概要はこちらです。