生物・化学兵器
化学兵器使用への不処罰に対する闘いのための国際パートナーシップによる共同声明の発出
令和2年5月12日
4月8日(現地時間同日),シリアでの化学兵器使用事案について,その使用者を調査していた化学兵器禁止機関(OPCW)の使用者調査・特定チーム(IIT)が第一回報告書を発表したことを受け,我が国が参加する「化学兵器使用への不処罰に対する闘いのための国際パートナーシップ」は,IITの報告書発出を支持する共同声明を発出しました。
同国際パートナーシップは,近年,世界各国において化学兵器の使用が頻発するなど化学兵器の普遍的な禁止規範が損なわれる中で,化学兵器使用者の責任追及を通じて将来の化学兵器使用の抑止に資することを目的とし,2018年1月にフランスの主導により設立されました。現在,我が国を含む40か国が参加しています。
- IITの第一回報告書発出を支持する「化学兵器使用への不処罰に対する闘いのための国際パートナーシップ」による共同声明(英語(PDF)
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- 化学兵器使用への不処罰に関する閣僚会合公式ウェブサイト(英語)
化学兵器の使用はいかなる場合も許されず,シリアを始めとする各国における化学兵器使用の再発防止のためには,化学兵器使用の責任追及が必要であるとの観点から,我が国は,引き続き,同パートナーシップを推進するとともに,OPCWの取組を全面的に支援し,シリア危機の解決に向けて国際社会と連携していきます。
- [参考1]化学兵器使用への不処罰に対する闘いのための国際パートナーシップの目的
- 化学兵器使用者の責任追及のための,関連情報の収集,保持,保管。
- 関係国,国際機関,又は地域機関との間で,化学兵器使用の責任者に関する情報共有の促進。
- 化学兵器使用に関与する個人,団体の指定及び公表を通じた,将来的な使用の抑止。
- 関係国の国内法及びその運用能力の強化。
- [参考2]化学兵器禁止機関(OPCW)
- 1997年4月に発効した化学兵器禁止条約に基づき設立された国際機関であり,本部はオランダのハーグ市。世界的な化学兵器の全面禁止及び不拡散のため,現存する化学兵器及びその生産施設の廃棄の進捗について査察等を通じてモニターしているほか,民生用化学物質の化学兵器への転用を防ぐための産業査察等を実施。2013年12月,OPCWは世界の化学兵器の廃絶に向けた功績が評価され,ノーベル平和賞を受賞した。
- [参考3]IITの報告書の概要
- 2017年3月24日及び30日にシリアのラタミナで発生した化学兵器使用事案に関し,シリア空軍が,ラタミナ南部でサリンを充填した爆弾を投下し,その結果,それぞれの事案において,少なくとも16名及び60名に及ぶ被害者が発生した旨結論づけた。また,同年3月25日にシリアのラタミナで発生した化学兵器使用事案に関し,シリア空軍がラタミナ市内の病院にシリンダーを投下し,漏洩した塩素により,少なくとも30名の被害者が生じた旨結論づけた。