グローカル外交ネット

令和8年4月30日

外交実務研修員 小林 聡子
(埼玉県富士見市から派遣)

1 はじめに

 私は、2024年4月に埼玉県富士見市から外務省へ派遣され、欧州局日露経済室及び中東欧バルト室にて合計2年間勤務いたしました。出向元では、税務課及び財政課に配属されており、国際関係業務とはほぼ無縁の部署で勤務しておりましたので、富士見市からの初代派遣者として外務省への出向が決まった際は不安でいっぱいでした。しかし、省員の皆様にサポートいただきながら2年間の本省勤務を終えることができました。外務省での勤務が始まった直後は、地方自治体では考えられないスピードでハイレベルまで意思決定されることに驚くとともに、外務省独特の言い回しや専門用語に戸惑う毎日でした。また、省員の皆様の知識量やたくましさには圧倒されるばかりでした。多忙の中でも困ったときには相談に乗ってくださった優しい省員の皆様には感謝してもしきれません。
 この2年間で、市役所勤務では経験したことのない国際会議への参加や他国の政府職員との調整業務など、時差に振り回されながらも大変刺激のある生活を送ることができました。

2 日露経済室での業務

 日露経済室では、関係省庁と連携しながら対露経済政策の方針を決定するほか、ロシアの経済活動に関する情報収集等の業務を行いました。ここでの勤務では、省庁間の調整業務の難しさや、国益を一番に考えつつも他国と足並みを揃えることの大切さを実感しました。
 日露経済室では米国及び欧州と意見交換のためのオンライン会議が多く実施されましたが、時差があるため日本は夜遅くからの参加が求められます。通常勤務を終えたあとに他国とのオンライン会議に参加するのは身体的・精神的に辛いものがありましたが、これを日常として業務にあたられている省員の方々のたくましさには驚きました。また、初めて他国の政府職員に対して日本の考えを発言したときはとても緊張しましたが、自分の発言が他国に受け入れられたことに喜びを感じるとともに、自信に繋がる体験ができました。
 業務の中で、米国及びロシアへの出張の機会をいただき、世界中の政府関係者が一同に会する国際会議への出席や現地で働く方との意見交換など、大変貴重な経験をさせていただきました。

米国国務省
モスクワ・赤の広場

3 中東欧バルト室での勤務について

 2025年8月には、省内の機構改革により新設された中東欧バルト室に異動しました。中東欧バルト室は、ウクライナ、エストニア、ブルガリア、ポーランド、モルドバ、ラトビア、リトアニア、ルーマニアに関する外交政策を担う課室です。その中で私はルーマニアの担当となり、日本とルーマニアの二国間関係業務に従事しました。
 日本とルーマニアは、2021年に外交関係樹立100周年を迎え、2023年に戦略的パートナーシップの関係になるなど、良好な二国間関係を築いています。ルーマニア担当として、日本とルーマニアの二国間関係を進展していくために何ができるかを考え、ルーマニアのナショナルデーレセプションへの政務官の出席をアレンジしたり、関係省庁と今後のプロジェクトを考えたりと、様々な案件をハンドリングしました。自分の一つのミスが二国間関係に影響を及ぼしてしまうかもしれないという緊張感の中、上司や同僚に相談しながらひとつひとつ取り組みました。
 その中でも、8年ぶりに実施した第3回日・ルーマニア科学技術協力合同会議では、会議日程・議題の調整や関係省庁への出席依頼等、一から会議の準備を担当しました。準備段階でのトラブルも多く、想像以上に調整が困難でしたが、最終的にルーマニアで行われたその会議に自分自身も参加し、成功を見届けることができたので、大きな達成感を味わうことができました。
 そのほか、75の国・国際機関等から約600名が参加したウクライナ地雷対策会議2025の東京開催のため、準備チームの一員として昼夜を問わず従事したことや、大阪・関西万博賓客として訪日した各国のハイレベルをアテンドしたことなど、外交の最前線にいると実感できる様々な業務に携わることができました。どれほど大変な業務であっても、やり遂げた後には大きな充実感があり、外務省の仕事はやりがいにあふれていると思いました。

第3回日・ルーマニア科学技術協力合同委員会 (@IFIN –HH, Romania

4 地方連携推進室での勤務について

 本省での2年間のうち、地方連携推進室においても短期間勤務する期間をいただきました。この課室では、地方自治体の実施する国際的取組を支援する業務を行っています。実際の業務を通じて感じたのは、自治体ごとに抱える課題や目指す方向性が大きく異なり、一律の支援では十分ではないということです。それぞれの地域の特性や強みを踏まえたきめ細やかな対応の重要性を学びました。
 また、地方自治体が海外展開やインバウンド施策を進めるにあたっては、相手国の制度や文化への理解が不可欠であり、その橋渡し役として地方連携推進室が果たす役割の大きさを実感しました。さらに、各自治体の先進的な取組を横断的に把握し、グローカル外交ネットとして他自治体及び組織へ共有することで、新たな連携や発展の可能性に繋がると思いました。
 日々、様々な地方自治体が国内外で実施している事業の情報に触れる中で、地方自治体にとっても国際的な取組が重要な要素となっていることを強く感じました。地方連携推進室で得た知見やネットワークを富士見市の業務でも活かしたいと思います。

5 最後に

 この2年間を思い返すと、多岐にわたる業務に携わり、本当にあっという間に過ぎていきました。経験、知識、語学、すべてにおいて一から学ばなければいけない状況からのスタートでしたが、せっかく外務省という貴重な職場で働くチャンスをいただいているので、「できる」「できない」で考えてはいけない、とにかく「やる」しかない、と自分に言い聞かせながら過ごした2年間でした。一出向者である自分にも数多くの挑戦の機会を与えてくださった各課室の上司をはじめ、業務以外の部分でも良くしてくださった省員の皆様、ならびに出向中も応援してくださっている富士見市役所の皆様に心より感謝申し上げます。
 この4月で2年間の本省勤務が終わり、4年間の派遣期間も残り半分となりました。4月から始まる2年間の在外勤務でも挑戦の毎日が待っていることかと思いますが、国益のため、また富士見市に還元できる知識と経験を得るため、努めてまいりたいと思います。

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