気候変動

令和3年3月9日

 外務省は2021年1月17日(日曜日)に「YOUTH気候変動政策コンペティション」を開催いたしました。会議では、事前審査を通過した学生6グループによる気候変動政策に関するプレゼンテーションのほか、都市の温室効果ガス推定排出量や削減予測量を地図上で可視化するツールEnvironmental Insights Explorer(EIE)を活用した取組に関する講演等がおこなわれました。開催にあたっては、主催である外務省の中西哲外務大臣政務官、共催である横浜市の小林一美副市長、パトリシア・エスピノサUNFCCC(国連気候変動枠組条約)事務局長からそれぞれビデオメッセージが寄せられました。

(写真1)オンライン形式にて開催の様子
(写真2)中西哲外務大臣政務官
【中西哲外務大臣政務官のメッセージ概要】
 日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言している。この目標の実現は、抜本的なライフスタイル、発想の転換が求められ、決して容易なものではない。世界の脱炭素化をリードするために、今までのやり方や発想にとらわれない新しいアイデアに基づいた取り組みをはじめることが重要であり、今回、外務省として初めて気候変動政策に関する政策コンペティションを開催することにした。

1 開催結果

日時:
2021年1月17日(日曜日)14時00分~18時00分
場所:
オンライン形式にて開催(横浜市庁舎での開催予定が新型コロナウイルス感染症拡大防止のためオンライン形式に変更)
内容:
参加学生による気候変動政策に関するプレゼンテーション
国際機関邦人職員によるキャリア講演、EIEの紹介(グーグル)、EIEを活用した取組に関する講演(横浜市)等
【参加学生による気候変動政策に関するプレゼンテーション】
テーマ:「脱炭素社会の実現に向けたあなたのまちの施策」
気候変動に関連するデータを活用し、実在する自治体の気候変動対策に関するシミュレーションを行い、自治体への政策提言を行う。その際、自治体を一つ選び、その自治体の特徴、課題等を記入すること。

 脱炭素社会の実現に向けて、日本政府は2019年に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定しました。具体的な目標として、21世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素社会を実現すること、そして2050年までに温室効果ガスを80%削減することを掲げています。しかし、その大目標の達成は簡単な事ではありません。従来のモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れていくことが必要です。
 外務省はこれまでも、学校での分別の習慣や「カイゼン」の考え方、防災と環境対策を両立させた施設など、日本ならではの施策や技術を世界に紹介し、そうした施策や取組は様々な国で参考にされてきました。脱炭素社会の実現に向けても、日本の若者だからこそ思いつくユニークな着眼点や取組を世界に発信していきたいと考えています。
 そこで、脱炭素社会の実現という大目標に向かって、あなたにゆかりのある自治体において、どのようなサービスや制度、施策がその自治体に適しており温室効果ガスの排出削減につながるのか、都市計画、産業構造、交通事情、地理的条件、文化などの自治体の特徴や地域課題も踏まえ検討し、数量データを用いた提言を募集します。
 例えば、「わたしのまちの学校にこんな物があったら」、「わたしのまちの乗り物がこんな風に変わったら」「わたしのまちの人がこんな事をするようになったら」「いつものイベントがこんな風に変わったら」「いつも行くあの場所にこんな物があったら」そんな想像をしてみてください。小さな変化も、それがまち全体に広がったらどうでしょうか。あなたのアイデアをお待ちしています。
審査項目:
  • (1)課題設定能力・分析力・提案力
    独創性、自治体の課題分析、具体性、実現性、データ活用力
  • (2)プレゼンテーション能力・質疑応答力
    わかりやすさ、メリハリ・インパクト、臨機応変性、時間管理
    発表者は持ち時間1組10分以内でパワーポイントを使用してプレゼンを行う。
    1組のプレゼン終了ごとに、発表者に対し審査員による質疑応答を行う。
書類審査を通過した学生グループの所属及びプレゼンテーション概要:
  • 広島大学 家具や家電をリユースすることによる温室効果ガスの削減(東広島市)
  • 中央大学 農業と再生可能エネルギー発電を両立させる「ふるさと農電」(帯広市)
  • 横浜国立大学 電気自動車を蓄電池とする省エネ戸建て住宅の普及(横浜市)
  • 中央大学 図書館に昼間人口を集約することによる家庭内電力消費の抑制(さいたま市)
  • 山梨県立大学 山梨県に伝わる相互互助の仕組み「無尽」を活用した地域経済活性化と環境保全を両立する融資制度(山梨県)
  • Bruna 壁面緑化によるアートコンペティションの開催(東京都)
表彰:
  • 外務大臣賞
    中央大学(山本 悠雅さん、遠藤 瑞季さん)農業と再生可能エネルギー発電を両立させる「ふるさと農電」の提案
  • 審査員特別賞
    山梨県立大学(小林 幸さん、大嶋 香菜子さん、JIE SHANXINさん)山梨県に伝わる相互互助の仕組み「無尽」を活用した地域経済活性化と環境保全を両立する融資制度の提案
問い合わせ:
YOUTH気候変動政策コンペティション事務局(公益財団法人日本国際フォーラム)
メールアドレス:competition2020@jfir.or.jp
TEL:03―3584-2193

2 会議報告書

 本会議への参加を希望する学生を対象に、10月には政策の考え方についての説明会を、11月にはざっくばらんに現役職員に疑問をぶつけることができる相談会を開催しました。その後、事前の書類審査を経て、審査を通過した6グループが会議当日にプレゼンテーションを行い、外務大臣賞、審査員特別賞がそれぞれ1グループに授与されました。どの発表もそれぞれに特色があり、多様な提案がありました。

3 共催・協力機関

共催:
横浜市
協力:
環境省、イクレイ日本、グーグル合同会社、日本科学未来館、日本気候リーダーズ・パートナーシップ
(図1)共催・協力機関のロゴ

 本コンペティションは、令和2年度「アジア・大洋州における気候変動と脆弱性に関する国際会議」として開催した。
 また、本コンペティションは、COOL CHOICEに賛同し、連携して開催した。

(図2)COOL CHOICE

気候変動へ戻る