イラン・イスラム共和国
日・イラン外相会談及びワーキング・ランチ



1 外相会談
(1)冒頭発言
(ア)岸田大臣から,2年ぶりのイラン訪問をうれしく思う,長い努力の末に包括的共同作業計画(JCPOA)が合意されたことを歓迎する,ザリーフ大臣の外交努力に改めて敬意を表する旨述べた上で,最終合意が実現した今,日・イラン関係を新しい段階に発展させる好い機会であり,二国間関係を更に強化し,地域・国際社会の平和と安定に積極的な役割を果たすような関係をイランと構築したい旨述べました。
(イ)これに対し,ザリーフ大臣から,日・イラン間のハイレベル訪問は二国間関係に良い影響を与える,最近のニューヨークにおける日・イラン首脳会談もその好例の一つ,今回の岸田大臣のイラン訪問に加えて,ローハニ大統領から招待が行われたと思うが,安倍総理によるイラン訪問が実現すれば,日・イラン関係を一層強化する,両国の関係は1,400年以上の歴史を有しているが,これは豊かな歴史を有する国のみが蓄積できるものである旨発言がありました。
(2)日・イラン関係
(ア)岸田大臣から,JCPOAの着実な履行の重要性に言及するとともに,最終合意がなされた今,日本とイランとの経済関係を一層拡大・強化していきたい,JCPOAの「履行の日」以降欧米の制裁が解除されれば,日本企業が本格的に経済活動を行うことができると述べました。また,岸田大臣は,様々な分野における日・イラン間の協力を総覧する「日・イラン協力協議会(日本語(PDF)/英語(PDF)
)」の立ち上げを歓迎するとともに,投資協定交渉が実質合意に至ったことを歓迎し,可能な限り早期の締結・発効に向けて努力を続ける旨述べました。また,岸田大臣は,JCPOAの履行プロセスにおいて,JCPOAが規定する「履行の日」以降,原子力安全やIAEA保障措置・透明性措置の分野で協力を行っていく意図を表明しました。さらに,岸田大臣は,(ⅰ)環境,(ⅱ)医療/人道,(ⅲ)麻薬対策分野における協力が着実に進捗していること,今後協力を更に強化していく意向を述べるとともに,文化分野における協力についても今後実施していく旨述べました。
(イ)これに対し,ザリーフ大臣から,EU3+3とイランの双方がJCPOAを着実に履行することが重要である旨の発言がありました。また,ザリーフ大臣は,日・イラン間の各種協力の進展に歓迎の意を表するとともに,日・イラン間での多様なレベルの交流の活性化,日本が知見を有する原子力安全分野における協力の進展や日・イラン投資協定締結等を契機とした日・イラン経済関係のさらなる拡大に向けての期待が表明されました。
2 ワーキング・ランチ
(1)岸田大臣から,中東地域の安全保障環境が依然厳しい中で,伝統的な地域大国であるイランが果たせる役割は大きい旨述べるとともにイランが地域各国だけではなく,国際社会との間で信頼関係を構築していくことの重要性について言及をしました。また,岸田大臣は,イランとの中東情勢に関する意見交換の加速化の重要性について述べました。さらに,岸田大臣は北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題について日本の立場を説明するとともに,北朝鮮との軍事協力を断絶するよう求めました。
(2)これに対し,ザリーフ大臣から, ISILを含む暴力的過激主義対策やシリア情勢といった中東地域情勢に関するイランの見解に関する説明がありました。また,中東地域において日本が率直な対話を行うことにより積極的な役割を果たすことを期待する旨の発言がありました。北朝鮮に関しては,ザリーフ大臣は友好国である日本のためにできることは協力する旨の発言がありました。