岸田外務大臣

平成26年1月22日
岸田外務大臣のシリアに関する「ジュネーブ2」会議出席(1)
岸田外務大臣のシリアに関する「ジュネーブ2」会議出席(2)

1 会議の概要

(1)1月22日、スイス・モントルーにおいて、シリアに関する国際会議(いわゆる「ジュネーブ2」会議)が開催され、岸田外務大臣が出席した。会議には米、露、英、仏、独、伊、中、アラブ諸国を始めとする39か国が招待され、潘基文国連事務総長(主催者)を始め、各国の外相や国際機関の代表等が出席し、シリア政府からはムアッリム外相、反体制派からはシリア国民連合のジャルバー議長他が出席した。

 (ア) 冒頭、同会議の議長を務める潘基文国連事務総長から、ジュネーブ・コミュニケによる解決、暴力の停止、即時の人道アクセスを求める開会の挨拶があったのに続いて、ラブロフ露外相及びケリー米国務長官が発言した。ラブロフ外相からは、シリア人が自らの将来を決めるべきであり、すべてのシリア人が参加する対話を求める旨、ケリー国務長官からは、唯一の選択肢は交渉による政権の移行であるが、自国民に暴力を行うアサド大統領は移行的な統治主体の一部にはなり得ない旨の発言があった。

 (イ) 引き続き、シリア政府からムアッリム外相が、シリア政府は外国から支援されたテロリストと戦っていることを強調し、シリアの統治者や憲法はシリア国民のみが決定する旨発言した。その後、シリア反体制派からジャルバー国民連合議長が、ジュネーブ・コミュニケを100%支持しているが、コミュニケはアサドの退陣を意味しており、交渉の余地はない旨発言した。

 (ウ) その後、各国・国際機関が順に発言した。岸田大臣からは、「美しいシリアを取り戻す」ことが今回の会議の究極の目標であると信じている旨述べた上で、暴力の即時停止を訴えると共に、日本はこれまでの約2.8億ドルのシリア人道支援・周辺国支援に加え、総額約1.2億ドルの追加的な支援を準備していること、移行的な統治主体の設立を含むジュネーブ・コミュニケの履行を促すべく、同コミュニケに賛同するシリア人関係者同士の信頼醸成に取り組むなど、日本として、人道支援と政治対話への貢献を車の両輪として取り組んでいく旨表明した。国連や各国からも評価が高く、ジャルバー議長は閉会メッセージの中で「美しいシリアを取り戻す」ことに言及した。

(2)岸田大臣は、この他、ブラヒミ国連・アラブ連盟共同特別代表、アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表とのバイ会談や、会議に出席した各国外相等と立ち話等を行い、シリア情勢の改善に向けた協力や二国間関係での協力等を確認した。

2 評価

(1)シリア情勢が悪化して以来初めて、シリア政府と反体制派の双方が直接対話のテーブルにつく機会となった今回の会議に各国から外相級のハイレベルが出席し、現政権の扱いやシリア国内での暴力の評価において濃淡の差はあるものの、政治的解決以外に途はないとの一致した声を上げたことは、国際社会に対する重要なメッセージとなった。予断を許さぬ困難な直接交渉のプロセスが始まるが、重要な一歩と評価されうる。

(2)米露を始め主要国から外相が出席する中、我が国から岸田大臣が出席したことは、同問題に対する我が国の姿勢・立場を各国に改めて示すという意味で有意義であった。

(3)会議の機会に、岸田大臣が各国・国際機関代表との間でバイ会談や立ち話を個別に行い、シリア問題を始めとする地域情勢等について議論を深めることができた。


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