国・地域

平成27年2月12日

 平成27年1月16日(金曜日)から21日(水曜日)まで、安倍総理夫人は、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナを訪問した総理に同行し、様々な交流活動をおこないました。
 安倍総理夫人は、今回の訪問を通じて、誰もが安心・安全・平和のうちに生活できる環境づくりへの支援と、多様な文化・歴史への相互理解の進化/地域に根付く「日本」交流の促進に取り組みました。

【訪問先等一覧】

1.エジプト(1月16日~17日)
(1)カイロ大学文学部日本語・日本文学科訪問
(2)現地で活躍する日本人との夕食会
(3)考古学博物館及びピラミッド視察
2.ヨルダン(1月17日~18日)
(1)マルカ・パレスチナ難民キャンプ(リハビリテーションセンター)訪問
(2)シリア難民支援関係者との昼食会
3.イスラエル(1月18日~20日)
(1)洗礼者ヨハネ誕生教会及び訪問教会視察
(2)ハダッサ医療センター エン・カレム病院訪問
(3)様々な分野で活躍するイスラエル人女性との夕食会
(4)ハンド・イン・ハンド・スクール訪問
(5)日本研究に携わるイスラエル人研究者との昼食会
4.パレスチナ(1月20日)
(1)聖誕教会視察
(2)ベイト・ジャラ女学校訪問
(3)デヘイシェ難民キャンプ訪問
(4)家族支援協会訪問

【概要】

1.エジプト(1月16日~17日)

カイロ大学日本語・日本文学科訪問
現地で活躍する日本人との夕食会

(1)カイロ大学文学部日本語・日本文学科訪問

 安倍総理夫人は、カイロ大学を視察しました。同大学文学部日本語・日本文学科は、アラブ世界全体における日本語及び日本研究の先駆けとして1974年に設置され、多くの学生が日本とエジプトの架け橋として活躍しています。安倍総理夫人の同大学の訪問は、2007年に続いて2回目となります。
 安倍総理夫人は、カイロ大学長の出迎えを受けた後、教授陣の代表による挨拶を受けました。続いて、安倍総理夫人は、対日理解の一層の促進を期待し、同大学及びエジプト国内で日本語学科を設置している他の3大学(アイン・シャスム大学、アスワン大学、ミスル工科大学)に対して、日本語学習教材、日本文化・文学等に関する書籍を昭恵文庫として寄贈しました。その後、学生達と、日本語で、日本語を学ぶきっかけや日本の魅力や将来の夢などについて和やかに懇談しました。安倍総理夫人から、「日本語を通じて日本への理解をいっそう深めるとともに、魅力あふれるエジプトを日本人に広く紹介してください。」と伝えました。

(参考)「昭恵文庫」
 安倍総理夫人は、訪問国における日本語学習・日本文化の更なる普及や交流の促進に役立つようにとの願いから、関連団体の協力を得て、訪問国において日本語・日本文化の講座を有する教育機関等に日本関連書籍や日本語教材等を寄贈しています。

(2)現地で活躍する日本人女性との夕食会

 安倍総理夫人は、エジプトで様々な分野で活躍している日本人女性との夕食会に出席しました。同夕食会では、芸術や文化、科学の分野で、またJICAボランティアとしてエジプトの地方部で活躍している女性たちの活動に耳を傾け、更なる活躍への期待を伝えました。

(3)考古学博物館及びピラミッド視察

 安倍総理夫人は、考古学博物館とギザの三大ピラミッド及びスフィンクスを視察しました。考古学博物館は、エジプトの遺物を保管・展示する世界最大の博物館であり、ファラオ時代からローマ時代のものまで過去5000年に亘る古代エジプトの歴史的遺物がおよそ25万品収蔵されています。
 安倍総理夫人は、黄金マスクをはじめとするツタンカーメンの秘宝やギザのピラミッド関連の遺物を中心に見学し、エジプトの長い歴史・文化や日本をはじめ世界中の考古学者によって発掘されたこれらの文化財の管理や保存に関する取組みについての説明を受けました。
 視察においては、日本からの観光客が回復することを期待するエジプト側関係者の声が聞かれました。

2.ヨルダン(1月17日~18日)

マルカ・パレスチナ難民キャンプ<br>(リハビリテーションセンター)訪問
シリア難民支援関係者との昼食会

(1)マルカ・パレスチナ難民キャンプ(リハビリテーションセンター)訪問

 安倍総理夫人は、マルカ・パレスチナ難民キャンプ(国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営)内にある障害のある児童生徒が通うリハビリテーションセンターを視察しました。
 リハビリテーションセンターには、現在キャンプ内外から200名の障害のある児童生徒が通っています。日本は、このセンターに対して、草の根・人間の安全保障無償資金協力により、リハビリ機材の整備などを支援しており、このような支援は難民キャンプにおける障害のある児童生徒の自立支援や家族の負担軽減につながっています。
 安倍総理夫人は、アンターキー・リハビリテーションセンター代表の出迎えを受け、センター設立当時の苦労や現在の活動などについて説明を受けました。同代表からは、「今回の視察は障害者含め全ての人々の尊厳を大切にする日本の姿勢の表れであり、また、日・ヨルダン両国の良好な関係を象徴するものです。日本の皆様からの協力に心から感謝しています。」と謝意が表されました。
 これに対し、安倍総理夫人は、「難民キャンプという困難な状況において、更なる弱者に対して目を向ける姿勢に敬意を表します。どんな環境下にある人も幸せに暮らせる世の中になることを希望しています。このような支援を続けていきたいと考えています。」と伝えました。
 続いて、センターを利用している児童生徒のダンス発表を鑑賞し、安倍総理夫人は、訓練に取り組む子どもたち一人一人に声を掛け励ましました。

(参考)「マルカ難民キャンプ障害児支援計画」
 平成22年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件。障害のある児童生徒の自立支援と介護家族の負担軽減を目的として、エレベーターやリハビリ用機材、障害児教室の基本設備を整備しました。

(2)シリア難民支援関係者との昼食会

 安倍総理夫人は、シリア難民支援に携わる国際機関の邦人職員や日本のNGOの職員との昼食会に出席しました。同昼食会では、出席者から、物資支援、教育・心理ケアなどの様々な支援活動、またその難しさや、やりがいについて話を聞きました。安倍総理夫人は、「多くの難民を受け入れている寛大なヨルダン国民と日本人が支援の場で協力していることを誇らしく思います。」と伝え、出席者を励ましました。

3.イスラエル(1月18日~20日)

ハダッサ医療センター<br>エン・カレム病院訪問
ハンド・イン・ハンド・スクール訪問<br>(小学校2年生の教室を訪問)
ハンド・イン・ハンド・スクール訪問<br>(高校生と保護者との懇談)
日本研究に携わるイスラエル人研究者との昼食会

(1)洗礼者ヨハネ誕生教会及び訪問教会視察

 安倍総理夫人は、洗礼者ヨハネ誕生教会と訪問教会を視察しました。
 洗礼者ヨハネ誕生教会は、洗礼者ヨハネが誕生したと言われる地に建てられた教会であり、訪問教会は聖母マリアが受胎告知を受けた後に親戚を訪れた地と伝えられる場所に建てられた教会です。

(2)ハダッサ医療センター エン・カレム病院訪問

 安倍総理夫人は、ハダッサ医療センター内のエン・カレム病院を訪問しました。同医療センターは、1912年、世界最大の女性団体である米団体「米ハダッサ女性シオニスト組織」により創設された総合医療・医学研究機関であり、長年、イスラエル国内において、西岸やガザ地区からのパレスチナ人患者の受入を行っています。イスラエルとパレスチナとの歩み寄りを重視している同センターの姿勢は日本の考え方と一致しています。
 安倍総理夫人は、ペレス・ハダッサ医療機構会長代行らの出迎えを受け、同センターの歩みや特徴についての説明に耳を傾けた後、小児科病棟内の学校を訪れました。教師陣から入院中・治療中の子どもたちに対する授業の説明を聞いた後、安倍総理夫人は入院中の子どもたちと和やかに懇談しました。
 また、安倍総理夫人は、病院内のシナゴーグ天井に設置されているユダヤ系フランス人画家シャガールのステンドグラスを鑑賞しました。窓には、1967年の第三次中東戦争における銃痕が残っており、戦争の悲惨さを伝えています。

(3)様々な分野で活躍するイスラエル人女性との夕食会

 安倍総理夫人は、イスラエルで様々な分野で活躍するイスラエル人女性との夕食会に出席しました。同夕食会では、銀行、大学、美術館等で活躍するイスラエル人女性から、イスラエルにおける女性の職業観、女性進出を支える社会の取り組みなどの説明を受け、安倍総理夫人からは日本における状況を伝えるなど活発な意見交換がなされました。

(4)ハンド・イン・ハンド・スクール訪問

 安倍総理夫人は、エルサレムにあるハンド・イン・ハンド・スクールを訪問しました。同校は、広く子どもたちを受け入れ、ユダヤ人もアラブ人も共に学習し、ヘブライ語とアラビア語のバイリンガル教育を行う公立学校です。
 安倍総理夫人は、小学校関係者らによる出迎えを受け、同校の特色について説明を受けた後、小学2年生の授業を見学しました。安倍総理夫人は、複数の言語を学習している子どもたちの輪に加わり、日本語とヘブライ語とアラビア語での言葉遊びに参加しました。また、子供たちから、ハンド・イン・ハンド(手に手をとって)をイメージした手作りのカードのプレゼントを受けました。
 続いて、安倍総理夫人は、高校生と同校の保護者と懇談しました。高校生からは、「この学校に通う生徒は皆、他民族・多文化の共生を理解しています。今後、このような学校が増えることを希望しています。」といった発言がありました。これに対し、安倍総理夫人は、「幼い頃から世界には多様な価値観が存在することを知る環境に身を置くことは大切だと思います。みなさまがこの学校で学んだことを将来に生かされることを希望します。」と伝えました。

(5)日本研究に携わるイスラエル人研究者との昼食会

 安倍総理夫人は、日本研究を行うイスラエル人との昼食会に出席しました。同昼食会では、長年にわたりイスラエルにおける日本研究を牽引するヘブライ大学名誉教授、また若手の研究者や日本美術館学芸員から、イスラエルにおける日本研究について説明を受け、イスラエルの研究者の目に映る日本の特色や魅力などについて和やかに意見交換がなされました。

4.パレスチナ(1月20日)

  • ベイト・ジャラ女学校訪問
  • デヘイシェ難民キャンプ訪問
  • 家族支援協会訪問

(1)聖誕教会視察

 安倍総理夫人は、マアーヤア観光・遺跡庁長官、ベツレヘム市長とともに、聖誕教会とミルク・グロット教会を視察しました。聖誕教会は、イエス・キリストが生まれたと伝承される洞穴を中心として、その上に建てられている聖堂です。

(2)ベイト・ジャラ女学校訪問

 安倍総理夫人は、ベイト・ジャラ女学校を視察しました。同校は、ベツレヘム市校外にある公立校で、国連開発機関(UNDP)経由による日本の緊急無償資金協力事業により、建設された学校の一つです。現在、12の教室と事務室が建設され、小学5年から高校3年までの359名の女子生徒が在籍しています。
 安倍総理夫人は、マアーヤア観光・遺跡庁長官、ベイト・ジャラ市長とともに、女学生による演奏やダンスによる歓迎を受けた後、学校生活や将来の夢について女学生とにぎやかに懇談しました。

(参考)「西岸学校建設及び教室増設事業」
 平成16年度国連開発計画(UNDP)経由緊急無償資金協力案件。ヨルダン側西岸地区の子供たちの学習環境を改善するために、5校を新築し、12校において教室を増設するとともに備品の整備を行いました。ベイト・ジャラ女子校は、この事業において新たに建設されました。

(3)デヘイシェ難民キャンプ訪問

 安倍総理夫人は、デヘイシェ難民キャンプを視察しました。同キャンプは、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)により1949年に設置され、主に西エルサレム及びヘブロン西部の村から逃れてきた難民約1万3千人が生活しています。
 安倍総理夫人は、サンチェスUNRWA西岸事務所長らの出迎えを受けた後、キャンプ内の診療所を訪問しました。同診療所では、清田UNRWA保健局長から、日本政府も支援しUNRWAが取り組む家庭医制度による保健サービス改革などについて説明を受けました。安倍総理夫人は、同診療所で出産したばかりの女性や診療を受けに訪れた難民と懇談し、励ましました。
 続いて、安倍総理夫人は、同キャンプ内の障害児教育センターを訪問しました。障害児教育センターの機材の一部は、草の根・人間の安全保障無償資金協力により整備されており、センター代表からセンターの活動について説明を受けた後、同センターを利用する子供たちと懇談をしました。

(参考)「デヘイシェ難民キャンプ障害児教育センター拡張・整備計画」
 平成23年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件。より多くの障害のある児童生徒が安心して学べる環境を整備するため、5教室の新設及びエレベーターの設置を支援しました。

(4)家族支援協会訪問

 安倍総理夫人は、家族支援協会に立ち寄りました。同協会は、ラマッラ市内で設立され、女性と子供支援を主な活動目的とするボランティア団体です。高校卒業後の職業訓練教育や、保育園・幼稚園の運営などの教育プログラムのほか、刺繍民芸品の生産など女性に対する雇用機会を提供しています。また、日本は、同協会に対して、草の根無償資金援助による機材供与を行っています。
 安倍総理夫人は、アマド協会代表らによる出迎えを受け、施設に関する説明を受けました。


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