ブラジル連邦共和国
茂木外務大臣のブラジル訪問



ブラジルを訪問中の茂木敏充外務大臣は、現地時間1月8日午前11時(日本時間同日午後11時)から40分間、ボルソナーロ・ブラジル大統領(H.E. Mr. Jair Bolsonaro, President of the Federative Republic of Brazil)を表敬するとともに、同日正午(日本時間9日午前0時)から、途中、共同記者発表及び覚書の署名式をはさみつつ、3時間、アラウージョ外務大臣(H.E. Mr. Ernest Araujo, Minister of Foreign Affairs of the Federative Republic of Brazil)との会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
今回の茂木大臣のブラジル訪問では、様々な改革に取組みつつ、日米との協調を重視する新しい外交を進めるボルソナーロ政権との間で、基本的価値の共有や日系人社会等による伝統的な絆について改めて確認しました。その上で、二国間のみならず国際場裡でも協力を進める「戦略的グローバル・パートナー」として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために連携を強化することや、経済・環境・人的交流等幅広い分野で二国間の関係をさらに深化させることで一致しました。
1 茂木大臣によるボルソナーロ大統領表敬(アラウージョ外務大臣同席)


(写真提供:Marcos Correa/PR)
(1)冒頭、茂木大臣から、基本的価値や日系人社会等の伝統的な絆も共有し、二国間のみならず国際場裡でも協力を進める「戦略的グローバルパートナー」であるブラジルとの連携の重要性は増大しており、今回の訪問を機に、関係を更に強化していきたい旨述べました。これに対し、ボルソナーロ大統領から、茂木大臣のブラジル訪問を歓迎し、この機会に日・ブラジル関係を一層強化したいとした上で、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた日本の努力に対する敬意と開催に対する強い支持が表明されました。
(2)茂木大臣から、ボルソナーロ大統領が進める諸改革を評価しつつ、日本企業の投資の維持・促進にはビジネス環境の更なる整備が不可欠である旨述べました。これに対し、ボルソナーロ大統領より、日ブラジル経済関係を強化に向け、日本企業のビジネス環境整備のためにさらに取組みたい旨述べました。
(3)茂木大臣から、日本の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の取組について紹介をしつつ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現に向けて協力していきたい旨述べ、ボルソナーロ大統領から日本の考えに賛同し、連携していきたいとの意向の表明がありました。また、茂木大臣から、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を要請し、ボルソナーロ大統領から理解を得ました。
(4)両大臣は、世界最大のブラジル日系社会と在日ブラジル社会は、両国の重要な架け橋であるとして、日系人を通じた交流を強化していくことで一致しました。
2 アラウージョ外務大臣との会談


(1)冒頭、アラウージョ大臣から、茂木大臣のブラジル訪問に対する歓迎の意が示されるとともに、民主主義や自由等の価値を共有する日本とは、戦略的グローバルパートナーとして、長期的なビジョンの下、自由で開かれた国際秩序の構築に向け、一層連携していきたい旨述べました。これに対し、茂木大臣から、新型コロナ拡大の問題がある中、外務大臣就任後初めてのブラジル訪問が実現し対面でお会いでき喜ばしい、両国は大きな方向性を共有しており、今回の訪問も契機として、具体的な取組をさらに進めていきたい旨述べました。
(2)茂木大臣から、日本の農業開発や大型投資などがブラジルの産業発展に貢献してきた歴史について触れ、ボルソナーロ政権が取り組む年金や税制の改革が日系企業等のビジネス環境整備につながることへの期待を示すと共に、デジタル経済、環境、司法協力等の幅広い分野での協力を進めたい旨述べました。
(3)これに対し、アラウージョ大臣から、OECD加盟を目指すブラジルは規制改革を含めてビジネス環境改善に取り組んでおり、今後とも幅広い分野での協力を進めていきたい、ブラジルのこうした改革姿勢は、自由で開かれた国際秩序の維持・強化にも貢献するものであり、日本の協力も得つつ改革を進めたい旨述べました。
(4)両大臣は、安保理改革やWTO等の国際的課題について連携を強化していくことを確認すると共に、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、北朝鮮、韓国、東シナ海及び南シナ海情勢等のアジア情勢、並びに、米国でのバイデン新政権発足やベネズエラ情勢を含む米州情勢に関し意見交換を行い、昨年11月に立ち上げられた日米ブラジル協議も活用し米国と引き続き連携することも含め、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現に向けて協力していくことで一致しました。
(5)また、二国間協力の具体的成果として、両大臣は、「ニオブ及びグラフェンの生産及び利用に関する協力覚書(日本語(PDF) / 英語(PDF)
/ ポルトガル語(PDF)
)」及び「アマゾン地域の生物多様性の持続可能な利用に関するトメアス協力覚書(日本語(PDF)
/ 英語(PDF)
/ ポルトガル語(PDF)
」に署名しました。これらの覚書により、日ブラジル間において、ニオブ、グラフェンの生産及び新たな製品開発に関する協力や、アマゾン地域におけるアグロフォレストリー・システムや生物多様性の持続可能な活用に係わる協力が一層推進されることが期待されます。
注:ニオブ(レアメタル。自動車パネル等の鉄鋼添加剤として使用)
グラフェン(炭素の同素体。リチウム電池の負極剤等として使用)