ポルトガル共和国
(Portuguese Republic)
ポルトガルにある学校を見てみよう!
日本とポルトガルの交流の歴史は長く、1543年、西洋人として初めてポルトガル人が種子島に漂着して以来、「テンプラ」や「シャボン(石鹸)」などポルトガルから様々な言葉やものが日本に伝えられました。
ポルトガルの教育制度
ポルトガルの義務教育は、基礎教育9年と、日本の高校に相当する中等教育3年の計12年から成っており、基礎教育については、日本の小学校の第1~4学年に当たる第1課程と第5~6学年に相当する第2課程、そして中学校相当の第3課程に分かれています。

校舎外観
カシーリャス・テージョ高校
今回訪れた「カシーリャス・テージョ高校」は、首都リスボンの対岸に位置するアルマダ市の公立高校で、中等教育の段階に当たります。
この学校は昼間の通常授業と社会人向け夜間課程の二部に分かれていて、「高校」という名前を冠してはいますが夜間の部では小・中学校課程も設けられており、都会の住宅地にあって生徒約2000名が通う大規模校となっています。

運動場の横には高層集合住宅
カリキュラム
昼間は「数学」、「歴史」、「自然科学」といった通常科目に加え「マーケティング」、「グラフィックデザイン」、「ツーリズム」などの職業訓練コースが開講されており、「グラフィックデザイン」部門などは国際コンクールで何度も入賞した実績があるとのことでした。
また、夜間は、様々な事情で学校に通えなかった成人が、それぞれの修業レベルに応じ入学しなおして学んだり、移民労働者の多いポルトガルの多様性を反映し、外国人向けポルトガル語学習コースも設けられています。

授業の様子
このような特性から、本校ではアルマダ市の就職センターと連携して、学生の就職先に関する相談やオリエンテーション等も行っています。ちなみに、サッカーの元ポルトガル代表で日本でも有名なルイス・フィーゴ選手は、引退後2011年に本校で高校課程修了資格を取得しています。

ルイス・フィーゴ選手も
当校の“卒業生”
また、ポルトガルでは、中等教育レベルでも通常二つの外国語を履修することになっており、本校では、必須の英語に加えてフランス語あるいはドイツ語のいずれかを選択して学びます(最近の傾向としてはドイツ語選択者が多くなりつつあるようです)。参考までに、日本語については一時需要が増えてクラスの新設を検討したものの、残念ながら先生が見つからず開設には至らなかったようです。

図書室に陳列された生徒による作品(研究ノート、レポート、随筆)(左)、
図書室で自習する生徒達(右)
学校の年間行事
様々な学習成果や技能の発表展示会が3月に、全国統一定期試験が6月及び7月に、「学業」・「スポーツ」・「ソリダリエダーデ(Solidariedade)」の各分野における優秀生徒の表彰が11月に行われます。各分野で表彰された生徒は、校内のフロアに顔写真付きで発表されます。各種行事の間には、復活祭休暇(3~4月に約半月)、夏季休暇(約二ヶ月)、クリスマス休暇(約半月)があります。

顔写真付きの生徒表彰
なお、最後の「ソリダリエダーデ(Solidariedade)」というのはちょっとわかりにくいかもしれませんが、ポルトガルではよく使われる言葉で、一般的には“連帯、結束”などと訳され、例えば困難に直面した人を気遣い、手を差し伸べるというような時に用いられ、ポルトガルの伝統的な助け合いの精神が色濃く表れた言葉といえます。2011年の東日本大震災時には、国境を越えて励まし、助け合おうという気運の中、マスコミなどで頻繁に耳にした言葉です。

生徒の作品が描かれた教室のドア
気ままで陽気なラテンの国民性を反映してか、ポルトガルの多くの公立高校同様、制服及び特段厳しい校則はなく、髪型やアクセサリーなど身だしなみも生徒自身の良識に委ねられるという環境の中、生徒達はしっかりと勉学に勤しみながらサッカーやバレーボール、ダンスなどの課外活動を楽しみ、それぞれに満ち足りた学校生活を送っている様子でした。

休み時間のひと時
(2016年11月)
▶︎ 言語 -
ポルトガル語(その
他、ブラガンサ
県のミランダ・ド・ドウロ
地域ではミランダ語も公用語として
認められている。)
学校の様子 を見てみよう!