真っ青なカリブ海の一番東にぽっかり浮かぶ常夏の国,これが「バルバドス」です。面積は横浜市とほぼ同じ,人口約28万人の小さな美しい島です。貿易風が優しくヤシの木を揺らします。日本からは飛行機を乗り継ぎほぼ24時間,地球の裏側に位置します。
バルバドスの教育制度は英国をモデルにしています。義務教育は初等教育(5歳~11歳)・中等教育(11歳~16歳)です。中等教育に進む時は,11歳の生徒全員が全国共通テストを受けます。このテスト結果はその後の進学に大きく影響するため,生徒達は必死に勉強しています。また識字率はほぼ100%で,教育熱心でまじめな国民性もうかがえます。
小高い丘に建つ校舎
今回は日本人6名が在籍している「コドリントン・スクール」をご紹介します。
コドリントン・スクールはバルバドス島の東端にあり,中心地からサトウキビ畑の中をガタガタとスクールバスに約1時間揺られると,小高い丘にこじんまりと建つ白い校舎が見えてきます。
授業風景:自由な意見が飛び交います
コドリントン・スクールは4歳~18歳の生徒約180人(24国籍)が通学しており,1クラスも15人前後と少人数のため,学年を超えて生徒も先生も顔見知り,ニックネームで呼び合う,そんな温かい雰囲気の学校です。同校は,国内では唯一国際的な教育プログラム(国際バカロレア:IB)を取り入れていて,バルバドス人だけでなく,各国外交団の子供をはじめ世界各国から生徒が集まっています。公用語は英語で,第二言語としてスペイン語もしくはフランス語の授業が行われています。英語を母国語としない生徒に対しては特別授業も設けられています。
学校は9月から翌年6月までで,その後2か月間の夏休みがあります。学期は3学期に分かれていて,各学期には中間休暇もあります。長い夏休みには,自分の国に戻って友達と再会したり,それぞれの希望でサマーキャンプ(日本でいうディキャンプ活動。スポーツ,音楽,芸術等様々な分野に分かれています)に参加し,楽しんでいる生徒が多いようです。
校長先生によると,学校は次の10本の柱に基づいて教育を行っています。
バルバドス国籍生徒たちの誇り高き行進
コドリントン・スクールの主な特徴は,日本の教育のように各科目を独立して学ぶのではなく,全科目を通じて総合的に学ぶことです。そして,その中で自分と社会とのつながりを感じ,地域と国,世界の成り立ちを科学・数学的な要素を入れて広い目線で教育を受けることです。
学校では毎年大きな行事が予定されており,その中でも生徒達が特に楽しみにしているのが「インターナショナル・ディ」です。この日は子供たちの国籍ごとに分かれたテントが立ち並び,教師・生徒・保護者が一体となって盛り上がります。生徒も国籍ごとに分かれ,自国の誇りを胸に国旗を掲げてグランドを行進します。その後,各国のテントでは保護者の協力のもとさまざまな料理が提供され,文化紹介が行われます。この活動を通じて学校全体の一体感が育まれます。
子供たちによる折り紙レクチャーは大好評
インターナショナル・ディ:各国生徒大集合
生徒たちの専らの希望は,校舎全館にエアコンがついて快適な温度で授業を受けることだそうです。(注:年間を通じて30度前後の暑さが続きます。各教室天井にはファンが取り付けてあり,生暖かい風が循環しています。エアコン付の部屋は一部に限られています。)
学校にはカフェテリアがあり,家庭の希望に応じ,軽食も販売されています。しかし,なんといっても最近の注目の的は,日本人生徒が毎日持参する「Bento BOX(弁当箱)」のようです。
中等教育では,毎年夏休みに日本の修学旅行にあたる行事が組み込まれ,2017年夏は総勢16名の生徒及び教師が日本を訪れる予定です。この日のために日本語の学習を始める生徒も増えてきました。
(2016年11月)
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