岸田外務大臣
日米外相会談(夕食会)(概要)
10月3日午後6時30分から約1時間30分,岸田外務大臣は,訪日中のケリー米国務長官との間で夕食を交えて会談を行ったところ,概要以下のとおり。
1 冒頭発言
(1)冒頭,岸田大臣からケリー長官の訪日を歓迎し,引き続き連携して仕事をしていきたいと述べた。
(2)ケリー長官から,日米関係は強調してもしすぎることはないほど重要である,最近は両国の良好な関係は当然視されがちであるが,今般,「2+2」の作業を通じて日米同盟の重要性を示すことができた旨述べた。
2 日米関係
(1)総論
岸田大臣より,9月30日にケネディ次期駐日大使が米国上院外交委員会において承認されたと承知している,ケネディ次期大使を日米同盟チームのメンバーに迎え,共に仕事をすることを楽しみにしている旨述べた。これに対し,ケリー長官から,ケネディ元大統領とも会ったことがあるなどケネディ家と昔から個人的に近い関係にあることが紹介され,ケネディ次期大使は着任されたら日米関係のために尽力されるものと思う旨述べた。
(2)青少年交流
(ア)岸田大臣から,人的交流は日米同盟における重要な要素であり,特に,両国関係の将来を担う青少年の交流は,中長期的に同盟の基盤を形成していくものであると述べた上で,現在,約5,000人規模の「KAKEHASHIプロジェクト」を実施中であり,これまでに900名を超える参加者が米国より訪日した旨紹介するとともに,今後日本の参加者を米国に派遣する予定である旨説明した。また,同事業の一プログラムとして,今般,沖縄県と協力し,米国と沖縄県の高校生を対象とした約500人規模の青少年交流プログラムを実施することを決定しており,米側と連携して良いプログラムにしたい旨述べた。
(イ)以上に対し,ケリー長官から,自分は人的交流を常にサポートしており,交流の数は多ければ多いほど良い旨述べた。
3 安倍政権の課題
ケリー長官から,安倍政権の最大の課題は何かと質問したのに対し,岸田大臣から,安倍政権にとって日本経済の再生が重要であるとして,アベノミクスにおいて「三本の矢」を打ち出したことについて説明するとともに,先般,消費税を5%から8%に上げる決定を行った旨説明し,財政再建と成長の維持を両立させることが最大の課題である旨述べた。これに対して,ケリー長官から,大変参考になった旨述べた。
4 地域情勢
(1)シリア
(ア)岸田大臣から,先般の米露間の合意等の背景について尋ねたところ,ケリー長官からロシアとのやりとりをはじめこれまでの経緯について詳細に説明するとともに,シリアにおいては未だに戦争が続いており,これを終結させるためにはジュネーブ2が唯一の方法である旨述べた。
(イ)これに対し,岸田大臣から,化学兵器の問題は,この地域における北朝鮮や大量破壊兵器を所有する国との関係もあり他人事ではないと述べた上で,シリアの化学兵器廃棄に関し,強力な安保理決議が全会一致で採択されたことを歓迎する旨述べた。また,引き続き,暴力の停止と政治対話の促進,劣悪な人道状況の改善は喫緊の課題であり,日本は化学兵器廃棄にも可能な限りの協力を行っていく旨説明した。さらに,ジュネーブ2の開催は極めて重要であり,同会議実現のためケリー長官が果たしている役割を高く評価するとともに,日本としても同会議に参加し,今後の貢献につなげる用意がある旨述べた。
(ウ)ケリー長官から,日本のような大国の参加は重要であり,日本には高い専門性がある旨述べた。
(2)韓国
岸田大臣より,韓国との関係は極めて重要とした上で,先週ニューヨークで実施した日韓外相会談では,引き続き様々なレベルで意思疎通を続けていくことで一致した旨説明した。また,過去の問題に関し,日本としてこれまで誠意を持って最大限取り組んできた,歴史認識についても,安倍内閣は歴代内閣の立場を引き継いでいる旨説明した。ケリー長官からは,日本側の説明を多とするとの発言があり,我が国の立場についての理解が深まった。