安倍総理大臣
フランソワ・オランド・フランス大統領の国賓訪日(概要と評価)
平成25年6月11日


I 日程概要
(1)フランソワ・オランド・フランス大統領は,パートナーのトリエルヴェレール女史とともに,6月6日から8日まで国賓として訪日した。
(2)7日午前に天皇皇后両陛下の御会見,夕刻に宮中晩餐会が執り行われた。
(3)同日午前11時20分より午後2時15分まで,安倍総理との間で日仏首脳会談,共同記者会見及びワーキングランチが行われた。その成果として,両首脳から,政治・安全保障,経済,文化の3つの分野の協力に関する「日仏共同声明(和文(PDF)
/仏文(PDF)
)」と,今後5年間その内容を具体化していくための「ロードマップ(和文(PDF)
/仏文(PDF)
)」,及び「文化に関する共同声明(和文(PDF)
/仏文(PDF)
)」が発表された。また今回の訪問を機に,経済,原子力協力,観光等の分野で政府,関係機関,企業の間で,その他6つの協力文書が策定,取り交わされた。(骨子(PDF)
)
(4)同日午後,参議院本会議場において,オランド大統領による国会演説が行われた。
(5)8日午前,迎賓館で天皇皇后両陛下の御訪問を受け,お別れの御挨拶がなされた。
(6)オランド大統領及びトリエルヴェレール女史は,その他滞在中,科学技術に関する交流イベントに出席した他,根津美術館視察,日仏の学生等との交流を行った。
II 首脳会談概要
1 冒頭
安倍総理から,今後の日仏協力の大きな方向性として,次の3点を提案し,オランド大統領から,来るG8サミットで経済成長戦略を推進するとのメッセージを日仏で共に打ち出していきたいとして,明確な賛意が示された。
(1)「力」や「強制」ではなく,「法」や「自由」等の価値に基礎を置く世界を実現していくこと。
(2)日仏の高い技術力を活かし世界経済の力強い成長に貢献すること。
(3)互いの文化的発信力を高め合えるような国民レベルの交流を促進すること。
2 政治・安全保障分野
(1)テロとの闘い/アフリカ安倍総理より,本年1月のアルジェリアにおけるテロ事件の教訓を踏まえ,アフリカ等の情報面での連携の強化を提案したのに対し,大統領より,マリにおけるテロとの闘いについて説明があり,テロ対策について両国の協力を強化することで一致した。また,先般のTIACD Vの成果を踏まえ,テロの温床となる貧困撲滅のため,アフリカでの稲作振興等,両国でアフリカ開発についても協力していくことに一致した。
(2)太平洋における連携世界第2位の面積を誇るフランスの排他的経済水域(EEZ)の3分の2が太平洋にあることを踏まえ,安倍総理より,日仏を「太平洋の友人」と位置付けた上で,特にアジア太平洋地域における人道支援・自然災害対策に関し,協力を模索したいと述べたのに対し,オランド大統領より,地域の連帯感を高める為に共に協力を進めたいとして,賛同する旨発言があった。
3 二国間関係
主に次ぎの3点で一致した。
(1)政治・安全保障の分野で,「共通の価値に基づく世界を実現」するため,(ア)外務・防衛担当大臣会合を開催,(イ)防衛装備品に関する協力を構築,(ウ)輸出管理に関する協議を創設すること。
(2)経済分野で成長戦略を推し進め,先般の三菱重工とアレバ社の連合によるトルコの原発プロジェクトでの成功を先例に,航空宇宙や原子力などの分野で日仏の企業間協力を一層推進していくこと。
(3)文化面で,日本とフランスという東西の食の大国が,双方の食文化を互いに世界に向けて発信していくこと。
4 国際・地域情勢
(1)北朝鮮問題について,核保有を断じて認めないとのメッセージを送り続けることで一致。また,拉致問題についても,安倍総理より,引き続き仏の理解と協力を要請したのに対し,オランド大統領より,全面的に日本に協力していく旨発言があった。
(2)オランド大統領より,日本の国連安保理常任理事国入りを支持する旨の発言があり,国連安保理改革の早期実現に向け引き続き緊密に対話していくことを確認した。
III 国会演説
オランド大統領は,7日の参議院本会議場における演説で,日本の民主主義とフランスの民主主義は歴史を共に歩んできたとした上で,日本との関係を再構築し,「特別なパートナー関係」を築く決意であるとして,主に次の点を上げた。
1 国際法の遵守により,アジア太平洋地域の緊張の緩和を期待する。
2 日本の国連安保理常任理事国入りを支持する。
3 北朝鮮の核・ミサイル問題に対し,我々は断固とした対応を取る必要がある。拉致問題について日本を支持する。
4 太平洋地域における自然災害対策やアフリカ開発,特に食料増産分野で協力を行いたい。
5 両国の貿易,投資を一層活性化し,世界規模で経済成長政策を推し進めていきたい。
IV.評価
1 17年ぶりのフランス大統領の国賓訪日を成功裏に実現し,昨年5月に誕生した日本重視を標榜するオランド政権と強固な協力関係を構築することができた。
2 首脳会談及び首脳間文書(「日仏共同声明」を含む計3文書)の発出によって,共通の価値・利益・責任に基づく「特別なパートナーシップ」の深化を具現することができた。この機運を維持し,今後,首脳間文書の内容を着実に実施していくことが重要である。
3 大統領の国会演説によって,価値で結ばれた日仏の連帯を発信することができた。
4 大統領の訪日は,日仏両国のメディアに大きく取り上げられ,両国民の間で関係強化の機運を高めることができた。
(1)フランソワ・オランド・フランス大統領は,パートナーのトリエルヴェレール女史とともに,6月6日から8日まで国賓として訪日した。
(2)7日午前に天皇皇后両陛下の御会見,夕刻に宮中晩餐会が執り行われた。
(3)同日午前11時20分より午後2時15分まで,安倍総理との間で日仏首脳会談,共同記者会見及びワーキングランチが行われた。その成果として,両首脳から,政治・安全保障,経済,文化の3つの分野の協力に関する「日仏共同声明(和文(PDF)







(4)同日午後,参議院本会議場において,オランド大統領による国会演説が行われた。
(5)8日午前,迎賓館で天皇皇后両陛下の御訪問を受け,お別れの御挨拶がなされた。
(6)オランド大統領及びトリエルヴェレール女史は,その他滞在中,科学技術に関する交流イベントに出席した他,根津美術館視察,日仏の学生等との交流を行った。
II 首脳会談概要
1 冒頭
安倍総理から,今後の日仏協力の大きな方向性として,次の3点を提案し,オランド大統領から,来るG8サミットで経済成長戦略を推進するとのメッセージを日仏で共に打ち出していきたいとして,明確な賛意が示された。
(1)「力」や「強制」ではなく,「法」や「自由」等の価値に基礎を置く世界を実現していくこと。
(2)日仏の高い技術力を活かし世界経済の力強い成長に貢献すること。
(3)互いの文化的発信力を高め合えるような国民レベルの交流を促進すること。
2 政治・安全保障分野
(1)テロとの闘い/アフリカ安倍総理より,本年1月のアルジェリアにおけるテロ事件の教訓を踏まえ,アフリカ等の情報面での連携の強化を提案したのに対し,大統領より,マリにおけるテロとの闘いについて説明があり,テロ対策について両国の協力を強化することで一致した。また,先般のTIACD Vの成果を踏まえ,テロの温床となる貧困撲滅のため,アフリカでの稲作振興等,両国でアフリカ開発についても協力していくことに一致した。
(2)太平洋における連携世界第2位の面積を誇るフランスの排他的経済水域(EEZ)の3分の2が太平洋にあることを踏まえ,安倍総理より,日仏を「太平洋の友人」と位置付けた上で,特にアジア太平洋地域における人道支援・自然災害対策に関し,協力を模索したいと述べたのに対し,オランド大統領より,地域の連帯感を高める為に共に協力を進めたいとして,賛同する旨発言があった。
3 二国間関係
主に次ぎの3点で一致した。
(1)政治・安全保障の分野で,「共通の価値に基づく世界を実現」するため,(ア)外務・防衛担当大臣会合を開催,(イ)防衛装備品に関する協力を構築,(ウ)輸出管理に関する協議を創設すること。
(2)経済分野で成長戦略を推し進め,先般の三菱重工とアレバ社の連合によるトルコの原発プロジェクトでの成功を先例に,航空宇宙や原子力などの分野で日仏の企業間協力を一層推進していくこと。
(3)文化面で,日本とフランスという東西の食の大国が,双方の食文化を互いに世界に向けて発信していくこと。
4 国際・地域情勢
(1)北朝鮮問題について,核保有を断じて認めないとのメッセージを送り続けることで一致。また,拉致問題についても,安倍総理より,引き続き仏の理解と協力を要請したのに対し,オランド大統領より,全面的に日本に協力していく旨発言があった。
(2)オランド大統領より,日本の国連安保理常任理事国入りを支持する旨の発言があり,国連安保理改革の早期実現に向け引き続き緊密に対話していくことを確認した。
III 国会演説
オランド大統領は,7日の参議院本会議場における演説で,日本の民主主義とフランスの民主主義は歴史を共に歩んできたとした上で,日本との関係を再構築し,「特別なパートナー関係」を築く決意であるとして,主に次の点を上げた。
1 国際法の遵守により,アジア太平洋地域の緊張の緩和を期待する。
2 日本の国連安保理常任理事国入りを支持する。
3 北朝鮮の核・ミサイル問題に対し,我々は断固とした対応を取る必要がある。拉致問題について日本を支持する。
4 太平洋地域における自然災害対策やアフリカ開発,特に食料増産分野で協力を行いたい。
5 両国の貿易,投資を一層活性化し,世界規模で経済成長政策を推し進めていきたい。
IV.評価
1 17年ぶりのフランス大統領の国賓訪日を成功裏に実現し,昨年5月に誕生した日本重視を標榜するオランド政権と強固な協力関係を構築することができた。
2 首脳会談及び首脳間文書(「日仏共同声明」を含む計3文書)の発出によって,共通の価値・利益・責任に基づく「特別なパートナーシップ」の深化を具現することができた。この機運を維持し,今後,首脳間文書の内容を着実に実施していくことが重要である。
3 大統領の国会演説によって,価値で結ばれた日仏の連帯を発信することができた。
4 大統領の訪日は,日仏両国のメディアに大きく取り上げられ,両国民の間で関係強化の機運を高めることができた。