岸田外務大臣
日米外相会談(概要)
平成25年4月15日




4月14日午後5時35分から約1時間35分,岸田外務大臣は,訪日中のケリー米国務長官との間で日米外相会談を行ったところ,概要以下のとおり。
1.冒頭発言
冒頭,岸田大臣より,ケリー長官の訪日を歓迎し,今回は同長官の初のアジア歴訪でもあり,アジア太平洋地域情勢について議論し,日米同盟がその中で果たす役割と米国のコミットメントを確認したい等述べた。これに対し,ケリー長官からは,先日ロンドンでお会いしたばかりであり,2月にワシントンでもお会いしている,今回のG8外相会合出張の前後でこうして日本の外相と会談するのは偶然ではなく,日米関係重視の表れである旨述べた。
2.日米関係総論
(1)日米間の重層的な交流と対話の強化
(ア)岸田大臣から,安倍政権発足後頻繁に要人往来が続いていると述べ,本年2月の日米首脳会談を踏まえ,改めてオバマ大統領の訪日を招請した。また,日米間の政策対話を強化するため,既存の外務次官・国務副長官間の戦略対話に加え,政務担当外務審議官と国務次官の対話も頻繁に行うことを提案した。さらに,両国間の議員交流の重要性につき強調するとともに,来月に第一陣の招聘事業が始まる約5000人規模の青少年交流計画を紹介し,米側とも協力して良いプログラムにしたい旨述べた。
(イ)以上に対し,ケリー長官から,いずれも良いイニシアティブであり歓迎するとの反応があり,青少年交流に関連しては,日米間で留学生が減少していると聞いており,この解消のための方策を検討していきたい旨言及があった。
(2)サイバー・宇宙
(ア)両外相は,日米サイバー対話を本年5月9日・10日に東京で開催することで一致した。(注:この対話を通じ,(1)脅威認識の共有,(2)重要インフラ防護をはじめとするサイバー領域での具体的対処の在り方,(3)国際的なルールづくりといった分野で日米協力を進める予定。)
(イ)宇宙に関し,本年3月の包括的日米対話を踏まえ,具体的な協力を進め,その第一歩として,日米宇宙状況監視(SSA)協力取極の早期の署名・締結を目指すことで一致した。
(3)ハーグ条約
子の奪取に関するハーグ条約については,ケリー長官より提起があり,岸田大臣より,同条約及び条約実施法案は既に国会に提出し,審議プロセスも開始された,政府としては,今次通常国会で承認が得られるよう引き続き取り組んでいく旨述べた。
3.安全保障(米軍再編)
(ア)両外相は,本年2月の日米首脳会談の合意に従い,普天間飛行場移設及び嘉手納以南の土地の返還計画の両方が着実に進展したことを評価した。
(イ)岸田大臣より,在沖縄海兵隊のグアム移転を着実に進めることが重要であり,米国議会への働きかけをお願いしたいと述べたのに対し,ケリー長官から理解が示され,議会との間で議論してみたい旨反応があった。
4.経済(TPP)
(ア)岸田大臣より,今般のTPPに関する日米協議の終了により,我が国の交渉参加に道筋がついた旨述べ,日本の交渉参加の戦略的重要性や,日米同盟強化に資するとの観点から判断を下したことを説明し,TPP会合に我が国が早期に参加できるよう,米国内及び加盟国間の承認プロセスを進めていくためのケリー長官の協力を求めた。
(イ)これに対し,ケリー長官より,日本のTPP交渉参加を歓迎する,日米協議の終了を評価するとの反応があり,岸田大臣からの要請に理解を示した。
5.アジア太平洋地域情勢
(1)北朝鮮
(ア)ケリー長官より,同長官の韓国及び中国訪問につき詳細に説明があった。現下の北朝鮮情勢について,中韓両国から朝鮮半島の非核化を目指すとのコミットメントを確認したと紹介があった。両外相は,北朝鮮の核開発阻止の方策について踏み込んだ議論を行い,日米間でそのための高級実務者協議を行い,日米韓での協力をさらに進めていくことを確認した。
(イ)拉致問題について,岸田大臣より,引き続き米国の理解と支持をお願いしたい旨述べたのに対し,ケリー長官からは,日本の立場を完全に支持しており,拉致被害者家族の気持ちがわかる,この問題について真剣に取り組みたいとの反応があった。
(2)中国
(ア)ケリー長官から,尖閣諸島をめぐる問題については,日中間で高いレベルでの対話を通じて平和的に解決が図られることへの期待が表明されるとともに,尖閣諸島に関して,日米安保条約第5条の適用を含め,これまで米国が示してきた立場には今後も何ら変更がないことを明確にした。(ケリー長官は,共同記者会見において,尖閣諸島は日本の施政下にあり,その現状を変えようとする如何なる一方的な行為にも反対する旨明言した。)
(イ)岸田大臣より,日本は尖閣諸島について譲歩することはないが,中国との対話のドアは常に開かれており,中国側にも伝えてきている,大局的な立場から日中間で「戦略的互恵関係」を確認し,その上で対話を行うよう中国側に働きかけている旨説明した。
(3)ASEAN等
(ア)岸田大臣より,朝鮮半島及び中国以外のアジア大洋州地域についても,日米同盟関係を基軸として積極的な外交を展開しているとして,今年は日ASEAN友好協力40周年であり,安倍政権としてASEANを重視しているということを述べ,日米間でもASEANとの連携を深めていきたい旨述べた。
(イ)また,岸田大臣より,ミャンマー,インド,パキスタン,太平洋島嶼地域等についても日米間で緊密に連携していきたいと述べた。
6.中東地域情勢
(1)シリア及びヨルダン
ケリー長官より,人道支援を含めシリア情勢に対するこれまでの日本の取組を評価する旨述べた。これに対し,岸田大臣より,シリア難民の激増が周辺国に及ぼす影響,特にヨルダンの困難を懸念する旨述べた上で,オバマ大統領による2億ドルの支援への評価を表明した。双方は,日米間でヨルダン支援の重要性について一致した。
(2)中東和平
ケリー長官より,日本の中東和平プロセスへの関与に期待している,先般ケリー長官が発表した経済イニシアティブへの日本の参加を期待する旨述べた。これに対し,岸田大臣より,日本も和平プロセスを支える国際的な枠組みに実質的に関与する用意がある旨応じ,パレスチナ支援に関する日本の取組とケリー長官のイニシアティブとの連携を含め,米国と緊密に協力していきたい旨述べた。
7.気候変動
日米双方が関心を有する気候変動について,新たな事務レベル二国間対話を実施していくこと,及び日米協力に関するファクトシート((英文)(PDF)
/(仮訳)(PDF)
)の発出を合意した。
1.冒頭発言
冒頭,岸田大臣より,ケリー長官の訪日を歓迎し,今回は同長官の初のアジア歴訪でもあり,アジア太平洋地域情勢について議論し,日米同盟がその中で果たす役割と米国のコミットメントを確認したい等述べた。これに対し,ケリー長官からは,先日ロンドンでお会いしたばかりであり,2月にワシントンでもお会いしている,今回のG8外相会合出張の前後でこうして日本の外相と会談するのは偶然ではなく,日米関係重視の表れである旨述べた。
2.日米関係総論
(1)日米間の重層的な交流と対話の強化
(ア)岸田大臣から,安倍政権発足後頻繁に要人往来が続いていると述べ,本年2月の日米首脳会談を踏まえ,改めてオバマ大統領の訪日を招請した。また,日米間の政策対話を強化するため,既存の外務次官・国務副長官間の戦略対話に加え,政務担当外務審議官と国務次官の対話も頻繁に行うことを提案した。さらに,両国間の議員交流の重要性につき強調するとともに,来月に第一陣の招聘事業が始まる約5000人規模の青少年交流計画を紹介し,米側とも協力して良いプログラムにしたい旨述べた。
(イ)以上に対し,ケリー長官から,いずれも良いイニシアティブであり歓迎するとの反応があり,青少年交流に関連しては,日米間で留学生が減少していると聞いており,この解消のための方策を検討していきたい旨言及があった。
(2)サイバー・宇宙
(ア)両外相は,日米サイバー対話を本年5月9日・10日に東京で開催することで一致した。(注:この対話を通じ,(1)脅威認識の共有,(2)重要インフラ防護をはじめとするサイバー領域での具体的対処の在り方,(3)国際的なルールづくりといった分野で日米協力を進める予定。)
(イ)宇宙に関し,本年3月の包括的日米対話を踏まえ,具体的な協力を進め,その第一歩として,日米宇宙状況監視(SSA)協力取極の早期の署名・締結を目指すことで一致した。
(3)ハーグ条約
子の奪取に関するハーグ条約については,ケリー長官より提起があり,岸田大臣より,同条約及び条約実施法案は既に国会に提出し,審議プロセスも開始された,政府としては,今次通常国会で承認が得られるよう引き続き取り組んでいく旨述べた。
3.安全保障(米軍再編)
(ア)両外相は,本年2月の日米首脳会談の合意に従い,普天間飛行場移設及び嘉手納以南の土地の返還計画の両方が着実に進展したことを評価した。
(イ)岸田大臣より,在沖縄海兵隊のグアム移転を着実に進めることが重要であり,米国議会への働きかけをお願いしたいと述べたのに対し,ケリー長官から理解が示され,議会との間で議論してみたい旨反応があった。
4.経済(TPP)
(ア)岸田大臣より,今般のTPPに関する日米協議の終了により,我が国の交渉参加に道筋がついた旨述べ,日本の交渉参加の戦略的重要性や,日米同盟強化に資するとの観点から判断を下したことを説明し,TPP会合に我が国が早期に参加できるよう,米国内及び加盟国間の承認プロセスを進めていくためのケリー長官の協力を求めた。
(イ)これに対し,ケリー長官より,日本のTPP交渉参加を歓迎する,日米協議の終了を評価するとの反応があり,岸田大臣からの要請に理解を示した。
5.アジア太平洋地域情勢
(1)北朝鮮
(ア)ケリー長官より,同長官の韓国及び中国訪問につき詳細に説明があった。現下の北朝鮮情勢について,中韓両国から朝鮮半島の非核化を目指すとのコミットメントを確認したと紹介があった。両外相は,北朝鮮の核開発阻止の方策について踏み込んだ議論を行い,日米間でそのための高級実務者協議を行い,日米韓での協力をさらに進めていくことを確認した。
(イ)拉致問題について,岸田大臣より,引き続き米国の理解と支持をお願いしたい旨述べたのに対し,ケリー長官からは,日本の立場を完全に支持しており,拉致被害者家族の気持ちがわかる,この問題について真剣に取り組みたいとの反応があった。
(2)中国
(ア)ケリー長官から,尖閣諸島をめぐる問題については,日中間で高いレベルでの対話を通じて平和的に解決が図られることへの期待が表明されるとともに,尖閣諸島に関して,日米安保条約第5条の適用を含め,これまで米国が示してきた立場には今後も何ら変更がないことを明確にした。(ケリー長官は,共同記者会見において,尖閣諸島は日本の施政下にあり,その現状を変えようとする如何なる一方的な行為にも反対する旨明言した。)
(イ)岸田大臣より,日本は尖閣諸島について譲歩することはないが,中国との対話のドアは常に開かれており,中国側にも伝えてきている,大局的な立場から日中間で「戦略的互恵関係」を確認し,その上で対話を行うよう中国側に働きかけている旨説明した。
(3)ASEAN等
(ア)岸田大臣より,朝鮮半島及び中国以外のアジア大洋州地域についても,日米同盟関係を基軸として積極的な外交を展開しているとして,今年は日ASEAN友好協力40周年であり,安倍政権としてASEANを重視しているということを述べ,日米間でもASEANとの連携を深めていきたい旨述べた。
(イ)また,岸田大臣より,ミャンマー,インド,パキスタン,太平洋島嶼地域等についても日米間で緊密に連携していきたいと述べた。
6.中東地域情勢
(1)シリア及びヨルダン
ケリー長官より,人道支援を含めシリア情勢に対するこれまでの日本の取組を評価する旨述べた。これに対し,岸田大臣より,シリア難民の激増が周辺国に及ぼす影響,特にヨルダンの困難を懸念する旨述べた上で,オバマ大統領による2億ドルの支援への評価を表明した。双方は,日米間でヨルダン支援の重要性について一致した。
(2)中東和平
ケリー長官より,日本の中東和平プロセスへの関与に期待している,先般ケリー長官が発表した経済イニシアティブへの日本の参加を期待する旨述べた。これに対し,岸田大臣より,日本も和平プロセスを支える国際的な枠組みに実質的に関与する用意がある旨応じ,パレスチナ支援に関する日本の取組とケリー長官のイニシアティブとの連携を含め,米国と緊密に協力していきたい旨述べた。
7.気候変動
日米双方が関心を有する気候変動について,新たな事務レベル二国間対話を実施していくこと,及び日米協力に関するファクトシート((英文)(PDF)

