安倍総理大臣

ラホイ・スペイン首相の訪日(概要と評価)

平成25年10月3日

 マリアノ・ラホイ・ブレイ・スペイン首相が,10月1日(火)から3日(木)まで公式実務訪問賓客として訪日したところ,その概要と評価は以下のとおり。
1.日程の概要
(1)2日(水)
  ア 日本企業関係者との朝食会
  イ スペイン・ビジネス・フォーラム開会式出席
  ウ 天皇陛下の御引見
  エ 国立西洋美術館訪問(「内と外―スペイン・アンフォルメル絵画の二つの『顔』」展オープニング)
(2)3日(木)
  ア 第16回日本・スペイン・シンポジウム開会式出席
  イ 福島県立美術館訪問(「ホセ・マリア・シシリア 福島・冬の花」展オープニング)
  ウ 日・スペイン首脳会談,文書交換式・共同記者会見,安倍総理主催夕食会

2.ラホイ首相訪日の意義と成果
(1)日本とスペインの交流400周年を契機とした二国間関係の強化
 価値を共有し,海洋貿易立国としての長い歴史を有するスペインとの間で,外交当局ハイレベルによる定例政策対話及び防衛当局間協力の開始に合意したことで,我が国が「積極的平和主義」を推進する重要な機会となった。
 また,ワーキングホリデー制度の導入,及びお互いの言語学習者の増加に向けた協力に合意したことにより,元来,親日国であるスペインとの関係を一層強化することが期待される。

(2)対中南米協力の強化
 アジアを重視するとともに中南米との関係を再強化したいラホイ政権との間で,中南米に関する政策対話の定例化,イベロアメリカ・サミットへの日本のオブザーバー参加について一致し,アジア,欧州,中南米をつないで地球を一周する協力の「環」を形成していくという大局的方向性を確認した。今後,スペインをゲートウェイとして,5億人のスペイン語人口に対する政策発信を強化していく。

(3)経済成長戦略実現のための協力
 経済再生を共通の主要課題とする両首脳が率直に意見交換を行った。両国は,新興国の活力を自国経済に取り込んでいくため,日本がスペイン企業のアジア進出を,スペインが日本企業の中南米進出を相互に支援していくことを確認した。また,再生可能エネルギー,医療,インフラ,ナノテクノロジー,核融合等の先端分野での協力を強化していくことで一致した。
 これにより,「イノベーション」と「新興国」をキーワードに,経済再生に向けての互いの長所を活かし合っていく関係の構築が期待される。

(4)国内各界による対スペイン理解の促進
 さらに,経済分野については,ラホイ首相を迎えて開催された第16回日本・スペイン・シンポジウムにおいても,上記(3)の基本的方向性に呼応する形で議論が行われた。加えて,ラホイ首相自身も,日本の複数のメディアによる単独インタビューに応じるとともに,企業関係者との会合にも積極的に出席し,上記(3)の考え方を自らの言葉で説明した。
 首脳会談後に両首脳が行った共同記者会見に加え,これらの行事が実施されたことにより,スペインが多岐にわたる分野で経済再生・国家再生のために協力していける友人であることが,日本国内各方面に効果的に発信された。

3.首脳会談及びワーキング・ディナーの概要
 冒頭,安倍総理から「日本スペイン交流400周年」記念事業を通じ,両国の絆を更に深めたい旨述べたのに対し,ラホイ首相から2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致成功について祝意が述べられた。
 その後,両首脳は,以下の諸点について意見交換を行ったほか,共同声明「平和,成長及びイノベーションのためのパートナーシップ」(別添)を発表した。また,首脳会談の共同記者会見の席上,以下(6)にある4つの協力文書の交換式が行われた。

(1)安倍外交にとってのスペインの重要性
 安倍総理から,日本にとってスペインは以下の3つの意義を持つとして,両国関係を強化する必要性を説明し,ラホイ首相から,両国の協力には潜在性がある旨述べた。
  ア 価値,歴史,文化を共有するパートナーであると共に,海洋の自由・安定の重要性を深く分かり合える国
  イ 中南米において深い経験とネットワークを有し,アジア,欧州,中南米をつないで地球を一周する協力関係を共に作れる国
  ウ 共にイノベーションを促進し経済成長を実現するパートナー

(2)政治・安全保障分野
 両首脳は,アジア太平洋と欧州の安全保障は密接に連関しており,互いの安全保障環境について理解を深め合うことは双方の利益となるとの認識で一致した上で,両国の防衛当局間の交流を早期に開始し,防衛政策や安全保障環境に関する意見交換,情報共有を行っていくことで一致した。また,アジア,中東及びアフリカ情勢についても意見交換を行った

(3)人的交流
 両首脳は,以下の点で一致した。
  ア 両国間のワーキングホリデー制度の早期導入
  イ スペインにおける日本語教育機会の拡充
  ウ 議員交流の更なる活性化
  エ 観光促進

(4)対中南米政策に関する協力
 両首脳は,以下の点で一致した。
  ア 対中南米政策に関する情報・意見交換の強化
  イ 太平洋同盟やイベロアメリカ・サミットにおける協力(日本によるイベロアメリカ・サミットへのオブザーバー参加を支持)

(5)成長戦略実現のための連携
 両首脳は,自らの経済政策とその効果について説明した上で,以下について一致した。
  ア 両国が高い「イノベーション力」を持つ医療,再生可能エネルギー,インフラ等の分野における産業間の協力
  イ 共通点の多い両国の食文化の第三国における発信
  ウ 中南米,アジアを含む新興国市場に対する貿易・投資に関する協力
  エ 日EU・EPAの早期の締結

(6)各種協力文書の交換
 両首脳による共同記者会見の席上,以下の文書の交換が行われた。
  ア 日・スペイン税関相互支援協定
  イ 原子力規制委員会とスペインの原子力安全評議会の情報交換のための覚書
  ウ 国際協力銀行(JBIC)とスペイン開発金融公庫(ICO)との協定
  エ 日本貿易振興機構(JETRO)とスペイン貿易投資庁(ICEX)の間の協定

4.その他行事の概要
(1)第16回日本・スペイン・シンポジウム開会式でのスピーチ
 「日本スペイン交流400周年」の日本における開幕行事の一つに位置づけられた「第16回日本・スペイン・シンポジウム」の開会式においてスピーチを行った。また,同シンポジウムには,日本側からも岸田文雄外務大臣が冒頭スピーチを行った。

(2)福島訪問
 ラホイ首相は,福島県立美術館で開催されているスペイン人芸術家ホセ・マリ・シシリアが東日本大震災時の様々な音をもとに表現した作品展「福島・冬の花」展のオープニングに参加した。また,2011年に福島第一原発事故時の勇敢な対応によりスペイン政府「アストゥリアス皇太子賞」を授与された「フクシマの英雄たち」との懇談を行った。

(3)その他
 訪日期間中,ラホイ首相は上記以外にも,米倉経団連会長を始めとする日本企業関係者との意見交換,スペイン政府主催により同国と我が国との貿易投資を活性化する目的で開催されたスペイン・ビジネス・フォーラムへの出席,「日本スペイン交流400周年」事業の一環として,国立西洋美術館で開幕した「ソフィア王妃芸術センター所蔵 内と外―スペイン・アンフォルメル絵画の二つの『顔』」展の視察を行った。

日スペイン共同声明概要(PDF)PDF仮訳(PDF)PDF英文(PDF)PDF

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