安倍総理大臣
日スペイン首脳会談及びワーキングディナー(概要)




3日午後5時50分から約45分,安倍晋三内閣総理大臣は,公式実務賓客として訪日中のマリアノ・ラホイ・ブレイ・スペイン首相(H.E. Mr. Mariano Rajoy Brey, President of the Government of Spain)と会談し,続いて7時10分から約1時間30分,同首相とワーキングディナーを行ったところ,概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)安倍総理から,「日本スペイン交流400周年」の日本での開幕に当たってラホイ首相が訪日されたことを心から歓迎する旨述べ,400周年の起点となる慶長遣欧使節の派遣(1613年)の2年前にも大地震と津波が東北地方を襲ったことを紹介しつつ,このたびの交流年事業を通じ,400年前に遡る両国の絆をさらに深めたい旨を述べました。
(2)これに対してラホイ首相から,訪日招待への感謝が述べられると共に,2020東京オリンピック・パラリンピックの招致成功に対する祝意の表明がありました。
(3)これに対して安倍総理から,お祝いの言葉に感謝する,この機会にスペインからより多くの人に日本を訪問してもらいたい旨を述べました。
2 安倍外交にとってのスペインの重要性
(1)安倍総理から,日本にとってスペインは,(ア)価値,歴史,文化を共有するパートナーであると共に,海洋の自由・安定の重要性を深く分かり合える国,(イ)中南米において深い経験とネットワークを有し,アジア,欧州,中南米をつないで地球を一周する協力関係を共に作れる国,(ウ)共にイノベーションを促進し経済成長を実現するパートナー,の3つの意義を持つ旨を述べました。
(2)これに対してラホイ首相から,安倍総理が指摘された点はいずれもスペインの位置づけとして重要な点であり,日本とスペインの協力にはまだまだ潜在性がある旨述べました。
3 政治・安全保障分野
(1)安倍総理から,アジア太平洋と欧州の安全保障は密接に連関しており,互いの安全保障環境について理解を深め合うことは双方の利益となる旨述べた上で,両国の防衛当局間の交流を早期に開始し,双方の防衛政策や安全保障環境に関する意見交換,情報共有を進めていきたい旨を述べました。
(2)これに対してラホイ首相から,日本とスペインで防衛当局間協力が進展することは大変望ましい旨述べました。
(3)また両首脳は,アジア,中東及びアフリカ情勢についても意見交換を行いました。
4 人的交流
(1)安倍総理から,二国間関係の深化のために,(ア)両国間のワーキングホリデー制度の早期導入,(イ)スペインにおける日本語教育機会の拡充,(ウ)議員交流の更なる活性化,の3点について述べました。
(2)これに対してラホイ首相から,若者の交流を盛んにするためにワーキングホリデー制度導入を早期に実現したい,またお互いの観光促進についても取り組みたい旨述べ,これらの点で安倍総理と一致しました。
5 中南米
(1)安倍総理から,対中南米政策において緊密に情報・意見交換を行っていきたい,また,イベロアメリカ・サミットへの日本のオブザーバー参加が実現した際には,この枠組も活用して,中南米政策についてスペインと連携を深めていきたいとの旨を述べました。
(2)これに対して,ラホイ首相から,中南米はスペインにとって歴史的,文化的,言語的に重要であり,特に中南米やアジアに向けた輸出促進等の分野で両国は協力の余地が大きい旨また,太平洋同盟やイベロアメリカ・サミットにおいて日本とスペインには協力できる旨述べました。
6 成長戦略実現のためのスペインとの連携
(1)成長戦略の重点分野
イ これに対してラホイ首相から,スペインも経済再建と経済成長が最優先課題であり,日スペイン間で産業間協力を進めていきたい旨述べました。
ウ 両首脳は,スマートコミュニティに関して既に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とスペイン関係機関がマラガ市において進めている協力をモデルとしつつ,再生可能エネルギー分野での協力を強化することで一致しました。
エ また,共通点も多い日本とスペインの食文化を,一緒に第三国で発信していくという点でも一致しました。
(2)新興国市場における協力
安倍総理から,日本はアジアで,スペインは中南米で,それぞれ貿易・投資面での知見・ネットワークを築いてきており,今後両国が新興国市場に進出していくに当たり,こうした「財産」をお互い提供しあっていきたい旨述べ,ラホイ首相も同意しました。
(3)この他,両首脳は,日EU・EPAの早期妥結の必要性と日本・スペイン間の議員交流活発化の必要性で一致しました。