岡田外務大臣

岡田外務大臣の国連安保理公開討論出席(概要)

平成22年4月16日

  • (写真)潘基文国連事務総長への挨拶
  • (写真)安保理テーマ別討論
  • (写真)岡田外務大臣主催昼食会

1.日程及び会合の概要

  • 4月16日(金曜日)ニューヨークにて、岡田大臣は、日本が安保理議長国として開催した「紛争後の平和構築」に関する公開討論に出席し、我が国外務大臣として初となる議長を務めた。
  • 今次公開討論では、潘基文国連事務総長のほか、アフガニスタン外相、ボスニア・ヘルツェゴビナ外相他、東ティモール、シエラレオネ政府の閣僚より各国の経験や知見に基づく発言が行われ、安保理メンバー国に加え、29の国・機関が発言を行い、平和構築戦略に関して包括的な議論が行われた。
  • 今次公開討論の最後に、安保理として政治、治安及び開発等に統合的に取り組むための戦略の必要性を指摘し、各分野でとられるべき政策及び国際協力の内容を盛り込んだ安保理議長声明(骨子仮訳英語版(PDF))が発出された。

2.岡田大臣の発言要旨

 岡田大臣は、概要以下のような発言を行った。(岡田外務大臣ステートメント仮訳はこちら

  • どうして停戦終結後も紛争は再発するのか、どうして平和は定着しないのか、これらの問いの解決の鍵を握るのは、紛争後に人々が将来に希望を持つこと。今次の討論では、政治的安定、治安の確保と並行して社会的安定を如何に達成するのか、そして、これらを実現するための包括的な戦略を如何に国際社会が支援して作っていくかにつき議論したい。
  • 平和構築を考えるに当たり重視すべきことは、まず、和平合意を当事者が強い意志をもって実施すること。紛争当事者の共存と和解がこのための基礎となる。
  • 治安の維持については、PKO等により治安確保を支援し、治安部門改革を促進することが必要。
  • 社会的な不安定の悪循環を断ち切り、紛争の再発を防ぐためには、紛争の影響を受けた人々が基礎的サービスを享受し平和の配当を実感することが必要。特に弱者や女性を含む個人を、人間の安全保障の視点から保護し、能力強化することが不可欠。若年層の雇用の創出に高い優先順位をおくことを提案。
  • 平和を永続的なものとするために、当事国と国際社会が協力して息の長い取り組みを行うことが必要。以下の3点を提起。
  • 第一に、平和構築の取組を如何に統合的に実施するかという点。シエラレオネにおける協力枠組みの策定は、今後の一つのモデルとなり得る。
  • 第二に、国際社会の支援と関与は、当事国のオーナーシップにかかる努力に相反する影響を与えることがある。当事国のオーナーシップと能力強化の取組を国際社会が尊重することが求められる。
  • 第三に、息の長い平和構築への取組にあたっては持続的な資源の確保が必要であるという点。平和構築基金をはじめとする紛争直後のための資金を一層活用することにより、二国間援助・多国間援助を含む中期的資金の確保に繋げることが必要。また、平和構築活動に取り組む専門要員の確保と拡大が重要。

3.成果

 参加した多数の国が我が国の今次会合開催のイニシアティブを評価する旨発言。公開討論の最後に採択された安保理議長声明(骨子仮訳英語版(PDF))は、平和構築の政策的な指針を示すもの。右議長声明は、包括的な戦略として政治、治安、開発等諸分野の政策の一貫性と連携の強化を求め、国際社会が行うべき具体的な政策を総合的に提示したものであり、今後の平和構築に向けた国際的な活動の一つの指針となり得るものである。特に、和解や再統合を通じた和平プロセスや平和的共存の促進、社会・経済開発と諸施策の連携強化や若年者の失業問題への対応を強調するとともに、コミュニティの再建や紛争で影響を受けた人々の能力強化への関心を喚起している。


4.二国間会談等

 本件会合に際し、岡田外務大臣が行った二国間会談等の概要は、以下のとおり。

  1. (1) ライス米国国連常駐代表(平成22年4月16日)
     ライス常駐代表から「紛争後の平和構築」テーマ別討論開催に関するする日本のイニシアティブを高く評価する旨言及があり、続いて、安保理に於ける日米協力、とりわけイラン核問題等における協力に関し意見交換を行った。イラン核問題に関しては、ライス大使から、現在のニューヨークでの非公式な議論の現状や今後のプロセスについての米としての考えについて説明があり、日米間で引き続き緊密に連携して対処していくことで一致した。
  2. (2) オコンジョ=イウェアラ世界銀行専務理事(平成22年4月16日)
     日本と世銀の関係強化、とりわけ来月(5月)にタンザニアで開催する予定のTICAD閣僚級フォローアップ会合、本年我が国が主催する生物多様性条約COP10及びAPECにおける協力に関する意見交換を行った。
  3. (3) 潘基文国連事務総長(平成22年4月16日)
     潘基文事務総長から、今回会合開催の日本のイニシアティブを評価すると共に、ハイチでの活動に感謝の意を述べた。また、8月に訪日し、広島平和記念式典に出席する意向が改めて示された。
  4. (4) ラスール・アフガニスタン外務大臣(平成22年4月16日)
     岡田大臣より、ラスール大臣に就任への祝意を伝えるとともに、カルザイ政権がアフガニスタンの安定と復興に全力で取り組み、成果を挙げることを期待しており、我が国としても既に表明したとおり最大限の支援を行っていく考えであり、右支援が効果的に行われるようアフガニスタン政府の協力を求めたい旨述べた。右に対し、ラスール大臣は、ロンドン会議のフォローアップとして和平ジルガを経てカブール会議にいたる過程で、主要な施策をアフガニスタン政府が具体化し、国内の支援をとりつけた後、日本を含む国際社会に対して示していく考えであること、また、9月の議会選挙に向けて制度を改善していく考えであることを述べた。
  5. (5) アルカライ・ボスニア・ヘルツェゴビナ外務大臣(平成22年4月16日)
     岡田大臣より、昨年10月の訪日以来の再会を嬉しく思う、その際のアルカライ外相の和平努力の話に感銘を受けていたこともあり、平和構築の現場を代表する形でアルカライ外相が今次公開討論に参加されたことに感謝する旨述べるとともに、ボスニア・ヘルツェゴビナの和平と復興を評価し、周辺国等との関係強化に向けた最近の前向きな動きを歓迎しました。これに対し、アルカライ外務大臣より、岡田大臣の今回のイニシアティブに感謝する旨述べ、最近のセルビア、トルコとの三者会合などの情勢につき説明すると共に、EUやNATOへの加盟に向けて努力していきたい旨述べた。
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