岡田外務大臣

安保理議長声明(仮訳)

2010年4月16日

骨子英語版(PDF)


 「紛争後の平和構築:紛争の再発防止のための包括的平和構築戦略」の議題の下での検討に関連し,2010年4月16日に開催された安全保障理事会第6299回会合において,安全保障理事会の議長は,理事会を代表して以下の声明を発出した。

  1. 安全保障理事会は,その議長声明(S/PRST/2010/2,S/PRST/2009/23,S/PRST/2008/16)を想起し,紛争直後の持続的な平和と開発を構築するための基礎としての紛争後の平和構築の決定的な重要性を強調する。理事会は,持続的な平和と開発を確立するための,効果的な平和構築戦略の必要性を強調する。
  2. 安全保障理事会は,持続的な平和構築は,政治,治安,開発,人権及び法の支配の諸活動の一貫性を強化する統合的な戦略を必要とすることを認識する。理事会は,国家当局に対し,優先的な必要に付加的に且つ包括的に応える平和構築戦略を策定することを支援するために,国際連合が果たしうる重要な役割を認識する。理事会は,国際的なパートナーに対し,国際,地域,国家及び地方のレベルにおいて,これらの戦略の下で支援を調整することを慫慂する。
  3. 安全保障理事会は,国家のオーナーシップ及び国家の能力開発の重要性を再確認し,平和構築戦略が国毎に特定された文脈において検討されるべきであることを強調する。この点に関し,理事会は,全ての主要な平和構築の必要に応じるために,国家当局が政府の機関及び機能を再構成するためにできる限り速やかに責任を担う必要性を認識する。理事会は,持続的な平和を達成するため,民主的で,透明性があり且つ説明責任のある統治への支援が不可欠であることを強調する。
  4. 安全保障理事会は,紛争後の状況における政治的な争いの平和的な解決,及び持続的な平和の達成のために不可欠な要素として,暴力的な紛争の原因に対処することの重要性を強調する。理事会は,包括的な対話,和解及び再統合を通じて和平プロセスと平和的な共存を促進することの重要性を認識する。理事会は,紛争から回復しつつある社会が,武力紛争の影響を受けた市民に対して犯された過去の虐待行為と向き合い,このような将来の虐待行為を予防するためには,処罰を免れることを終了させることが不可欠であることを再確認する。理事会は,持続的な平和のために,自由,公平且つ透明性のある選挙を実施することの重要性を強調する。
  5. 安全保障理事会は,治安部門改革を平和構築プロセスにとり不可欠であると認識し,治安部門改革は国内で主導されねばならないことを確認する。効果的な治安部門改革は,専門的,効果的且つ説明責任のある治安部門,特に民主的な政府の文民の監視下で国家警察及び軍の能力を育成することを必要とする。理事会は,独立した司法及び矯正制度の構築を通じるものを含め,法の支配を強化する治安部門改革のためのセクター・ワイド・アプローチの重要性を強調する。理事会は,事務総長に対し,適切な且つ任務の範囲内で,特定のミッションに関する報告書において,当該ミッションによる国家当局への支援が,国内で主導される治安部門改革の計画に対する調整された包括的な国際的支援を達成することができたかとの観点からの進捗状況に関する指摘を含めることを事務総長に対し要請する。
  6. 安全保障理事会は,平和の定着のために,社会経済的開発と並行して,政治的安定及び治安を追求することの必要性を認識する。理事会は,信頼醸成及び和平プロセスへの約束を支援するため,基礎的サービスを提供することを含め,平和の配当を早期に実現することの重要性を強調する。理事会は,治安部門改革,並びに武装解除,動員解除及び再統合と調整された難民,国内避難民及び元兵士の再統合は,独立して捉えられるべきではなく,より広範な平和,安定及び開発の探求の文脈で,特に経済活動の再活性化に重点を置いて実行されるべきであることを認識する。理事会は,この観点から,高い水準にある若年層の失業が持続的な平和構築への主要な課題となり得ることに留意する。
  7. 政府の能力の開発の重要性を認識しつつ,理事会は,紛争で影響を受けるコミュニティの復興,並びに影響を受ける国民,特に,児童,高齢者,難民及び国内避難民のような脆弱な市民の能力の強化に対する関心の向上と一貫した政策の重要性を強調する。理事会は,犠牲者に対する支援の必要性に留意する。理事会は,決議第1325号(2000年)及び第1820号(2008年)に従い,女性及び若年層が社会構造の再構築において果たす主要な役割を強調し,それらの者の観点及び必要を考慮に入れるために,紛争後の戦略の策定及び実施におけるこれらの者の関与の必要性を強調する。
  8. 安全保障理事会は,麻薬取引,組織犯罪,テロリズム,武器の不法取引及び人身取引が,紛争後の国家における平和の定着に影響を与え,国境を越えた脅威を構成し得ることに留意し,これらに効果的に対処するために共通且つ共有された責任に基づいて,国際的及び地域的協力を増加させる重要性を強調する。
  9. 安全保障理事会は,できる限り初期の段階で平和構築支援を開始することの重要性に再度言及する。安全保障理事会は,特に支援及び資源を集め,平和構築の努力のための計画と調整を改善することを通じた,平和構築の優先事項に対処する平和構築委員会(PBC)の決定的な役割を認識する。理事会は,PBCとの調整の向上の必要性を更に認識し,2010年のPBCの再検討及びその役割が如何に強化されうるかについての勧告に期待する。
  10. 安全保障理事会は,紛争後の平和構築のための予見可能で,一貫性があり,時宜を得た資金援助を確保するために,関係する二国間及び多国間ドナーの間の調整を強化することの重要性を認識する。理事会は,紛争直後の必要に応じるための資金メカニズム,特に平和構築基金(PBF)が,回復及び復興の努力において,できる限り速やかに,より実質的で長期の資金を引き出す触媒的役割を果たすべきであることを強調する。理事会は,PBFとPBCの間のより大きな相乗効果を慫慂する。
  11. 安全保障理事会は,国内の能力の開発を支援するため,特に途上国及び女性の文民専門家の待機要員を拡充及び深化させる必要性を認識し,加盟国,国際連合,及び他の関係するパートナーに対し,このような能力の構築において協力及び調整を強化することを慫慂する。理事会は,事務総長報告書(S/2009/304)の事後報告書において,国際連合の文民能力の見直しの勧告に期待する。
  12. 安全保障理事会は,国際連合システムが,特に計画及びプログラムの間の一貫性と調整を促進することにより,他の国際的,地域的及び準地域的機関,並びに金融機関との戦略的パートナーシップを強化する必要性を強調する。これに関連して,理事会は,本部及び現場の双方における国際連合と世界銀行の間の協力の更なる強化を期待し,また,事務総長に対し,同じ事後報告書において,要請に従い,主要な平和構築の分野のために,より時宜を得た,予見可能で説明責任のある対応を引き出すために執られた措置に関する詳細を含めることを期待する。

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