人道支援

令和7年9月5日

1 概要

 国連人道問題調整事務所(OCHA)は、人道危機にさらされた人々の命を救い、保護するために不可欠な国際的な人道支援活動の調整を行っています。また、人道支援の基本原則である人道、公平、中立、独立といった原則を尊重しながら、ドナー、現地政府、国際機関、NGO等それぞれの強みを活かし、連携することを通じて、効率的で効果的な支援を行うための環境整備を行っています。

 加えて、OCHAは、世界各地の人道危機におけるニーズや支援状況の分析といった不可欠な情報を迅速に提供し、日本政府を含むドナーや国際機関等が効率的・効果的な支援を行うことに貢献しています。また、OCHAは、戦闘が激化する地域において、非政府主体の武装集団を含むすべての当事者と対話し、一般市民や日本の市民社会を含む人道支援関係者の安全を確保すべく人道アクセスの確保に努めるとともに、当事者との対話を通じた国際人道法の遵守に向けた努力を行っています。加えて、被災国政府が直ちに対応することが難しい被災地の最前線であっても、地元に根差した支援団体を通じ、現地主導の人道支援を促進しています。

 日本政府は、海外の被災国・地域が独力で被災者の救済を行うことが難しい災害や紛争等に対し、ニーズに応じて様々な形で人道支援を実施しています。それら支援が迅速かつ効果的に行われるように、OCHAによる人道支援の環境整備を支援しています。

2 具体例

シリア北西部イドリブ周辺のニーズ調査を行う様子。人道基金は、内戦の前線で破壊された家屋や給水所の修復を助成しています。 (写真:Ataa Relief提供)
シリア難民の多くが身を寄せるレバノンで、現地NGOが人道基金からの助成を受けて、日本製の器材を用いて水・衛生の支援を実施。 (写真:OCHA提供)

 10年以上続くシリア危機においては、OCHAからの定期的な支援ニーズ情報を踏まえ、日本政府は、国際機関等を通じて、食料や援助物資の供与、保健、水・衛生、教育や職業訓練等の分野での支援を実施してきました。

 2024年、OCHAは、日本政府を含むドナーからの支援を受けて、国内の300近い人道支援団体を通じて毎月約270万人に支援を届けるための環境整備を行いました。特に、2024年12月、シリア前政権が崩壊した際には、フレッチャー人道問題担当国連事務次長兼緊急援助調整官(OCHA代表)が暫定政権との間で人道アクセスについて交渉し、過渡期の混乱にも関わらず、約330万人に支援を届けるための環境整備を行いました。

 また、日本政府は、OCHAが運営するシリア人道基金(SHF)やシリア越境人道基金(SCHF)を通して、現地NGOにも活動資金を提供することにより、被災者自身による命をつなぐための支援を行なっています。現地NGOを通じた支援は、二国間支援や国際機関を通じた支援を補う有効な支援の1つです。


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