人道支援
日本政府による世界食糧計画(WFP)を通じた支援
1 概要
世界食糧計画(WFP)は、国連唯一の食料支援機関として、世界120か国以上で飢餓や食料不安に直面する人々に対する活動を行っています。
日本は、治安上の理由等から直接の支援が出来ない紛争地や被災地等において、現場で活動するWFPを通じた食料・栄養支援等を実施しています。
2 具体例
(1)食料支援
ハンユニスのキッチンで温かい食事を受け取る子ども(パレスチナ・ガザ地区)
Photo: WFP/Ali Jadallah
WFPは紛争や災害等により、食料へのアクセスを奪われている人々を中心に、救命のための食料支援を行っています。
例えば、2023年10月7日のイスラエルとパレスチナ武装勢力間の衝突発生以降、特にガザ地区の全人口が食料危機に直面しており、日本はWFPを通じて緊急食料支援を実施しています。
(2)栄養支援
ニジェールの小学校で学校給食の準備をする女性
Photo: WFP/Adamou Sani Dan Salaou
アフガニスタンでは、不安定な国内情勢により、1,000万人近くが食料支援の必要な状態にあり(2025年9月時点)、特に十分な栄養が必要な妊娠中・授乳中の女性や5歳未満の乳幼児は深刻な急性栄養不良状態にあります。日本はWFPを通じて脆弱なアフガニスタンの人々に対して栄養食品の供給を行うことで、栄養不良の治療・予防を行っています。
また、日本はWFPを通じてアフリカやアジアやアフリカの多くの国で学校給食支援も行っています。学校給食は、子どもたちの栄養状態の改善のみならず、貧しいことが原因で学校に通えない子どもたちが通学できるきっかけとなったり、授業に集中することができるようになるなど、幅広い効果があります。
(3)自立支援
WFPは食料・栄養支援を中心に活動していますが、紛争や気候変動等、様々な要因で食料不安に直面する人々が支援に頼らずに自立した生活を送れるようにサポートする事業も行っています。
例えば、日本はWFPを通じて、干ばつやハイパーインフレ等で深刻な食料不安に陥っているジンバブエのコミュニティに対し、共同菜園や井戸、家畜用水飲み場等の整備や、住民に対する作物・畜産生産能力及び経済的自立強化に関する研修等を実施しました。これらの活動を通じ、コミュニティでは地域住民の安全な飲料水・農業用水へのアクセスが向上したほか、共同菜園での作物生産により安定した食料生産を行い、所得の安定化が図られました。

