G7
宮路外務副大臣のG7開発大臣会合出席


10月16日から19日まで、宮路拓馬外務副大臣は、G7開発大臣会合に出席するため、米国・ワシントンDCを訪問したところ、概要は以下のとおりです。
1 G7開発大臣会合
10月17日に開催された同会合では、「経済的繁栄のためのパートナーシップ構築」のテーマの下、セッション1では「開発協力におけるG7の優先事項」、セッション2では「経済的変革と相互成長の機会」について議論が行われました。
(1)セッション1:「開発協力におけるG7の優先事項」
宮路副大臣は、世界で対立と分断が深まる時代だからこそ、対話と協調によって共通点を見出し、基本的価値や原則を共有するG7が連携して課題解決を主導していく必要性が高まっているとした上で、途上国は経済成長を遂げる一方、抱える課題が複雑化しており、今後は経済成長だけではなく課題解決力を有する多様なアクターと連携した上で「共創」のアプローチが重要である旨述べました。
その上で、日本がオーナーシップを重視しながら、人への投資を通じた協力により、途上国の自立的かつ持続可能な発展に貢献してきた旨紹介し、こうした協力が途上国の質の高い成長のみならず、日本経済への裨益という成長の好循環を生み出している旨強調しました。
加えて、途上国への資金源が多様化する中、資金フローを正確に把握し、限りある資金を効果的に活用することが重要であり、全ての開発協力提供者が、国際ルールやスタンダードを遵守した透明で公正な開発金融を行うよう、引き続きG7として取り組んでいく必要がある点を強調しました。また、開発資金ニーズは高まる一方であり、(1)途上国の腐敗対策や税制度整備等を通じた国内資金動員、(2)被援助国が将来的に支援する側に転じることを通じたドナーベースの拡大、(3)ODAを触媒とした民間資金動員など、多角的な資金調達戦略が必要である旨述べました。
なお、本セッションでは、各国の開発分野における優先事項やアプローチについて発言があり、G7間で連携を強化していくべき分野について議論が行われました。
(2)セッション2:「経済的変革と相互成長の機会」
宮路副大臣は、複合的な危機の時代では、経済社会の自律性及び強靭性の強化、質の高いインフラ整備、デジタルといった分野における取組を通じた、時代に即した「質の高い成長」の実現がますます重要となっている旨指摘し、その観点から、日本が主導する「質の高いインフラ投資に関するG20原則」に沿った、質の高いインフラ投資促進が重要である点を強調しました。関連して、G7のインフラに関する取組である「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」については途上国の繁栄を実現し、民間資本動員のための投資を促進する新たな成長の起爆剤であるとし、日本がTICAD 9で広域オファー型協力の立ち上げを発表したナカラ回廊と、PGIIの下で進むロビト回廊開発との相乗効果に期待する旨述べました。
また、喫緊の課題である重要鉱物のサプライチェーンの強靱化・多角化につき、責任ある鉱物開発の観点からは、新たな供給源の開拓のみならず、持続可能な資源プロジェクトの推進及び人材育成が不可欠である旨を強調し、日本が取り組む「RISE(強靱で包摂的なサプライチェーンの強化)パートナーシップ」等に言及しました。最後に、人への投資を始めとする日本のこれまでのきめ細やかな協力は、東南アジア等の新興国を援助被供与国から開発協力のパートナーへと変容させたことに触れた上で、開発援助を巡る国際情勢が変化する中で、こうした援助国・被援助国の関係を越えたパートナーシップを構築しながら、共に課題に取り組み、その活力を世界の課題解決にも繋げていきたいと述べました。
なお、本セッションでは、招待国・機関も交える形で、民間資金動員の促進、質の高いインフラ開発、重要鉱物のサプライチェーンの強靱化・多角化に向けてパートナーシップを強化する重要性について議論が行われました。
2 その他
宮路副大臣は、G7開発大臣会合の機会を捉え、ランディープ・サライ・カナダ国務大臣(国際開発担当)、エレオノール・カロワ仏欧州・外務大臣付仏語圏・国際連携・在外仏人担当大臣、ジェニー・チャップマン女男爵・英外務・英連邦・開発省閣外大臣、リーム・アラバリ=ラドヴァン独経済協力開発大臣、ヨゼフ・スィーケラ欧州委員(国際パートナーシップ担当)等と短時間懇談を行い、開発分野における協力について意見交換を行いました。
(参考1)G7メンバー及び今般の開発大臣会合における招待国・機関
- G7
日本、カナダ(議長国)、フランス、米国、英国、ドイツ、イタリア、EU - 招待国
インドネシア、ペルー、カタール、南アフリカ - 招待機関
世界銀行、カナダ開発金融機関(FinDev Canada)