気候変動
国連気候変動枠組条約第64回補助機関会合(SB64) 結果概要
(科学上及び技術上の助言に関する補助機関第64回会合(SBSTA64)、
実施に関する補助機関第64回会合(SBI64))
1 会合の概要
2026年6月8日~6月18日(現地時間)、ドイツ・ボンにおいて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第64回補助機関会合(SB64)(注)が行われ、2026年11月にトルコ・アンタルヤで開催予定の国連気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31)及びパリ協定第8回締約国会合(CMA8)等に向けて締約国が議論し、結論文書等が採択された。我が国代表団も、結論の採択に向けて積極的に議論に貢献した。
我が国から、外務省、環境省、経済産業省、文部科学省、農林水産省、林野庁、国土交通省、気象庁及び関係機関が参加した。
また、議題に関する交渉に加えて、COP、CMA決定等に基づく複数のイベントが開催された。
さらに、会期中には、複数の関係国及び関係団体と気候変動に関する意見交換を行い、また、二国間クレジット制度(JCM)について、JCMグローバルパートナーシップ会合を実施するとともに、パリ協定第6条に沿ったJCMの更なる実施に向け二国間協議を行った。
(注)科学上及び技術上の助言に関する補助機関第64回会合(SBSTA64)及び実施に関する補助機関第64回会合(SBI64)の合同会合。
2 各議題の交渉結果について
(1)緩和
「緩和作業計画(MWP)」において、2026年以降の緩和議題の継続等に関する議論が行われた。我が国からはMWPの議題継続や今後の緩和の取組の強化の重要性等を主張したが、各国の意見の隔たりが埋まらず、SB65で検討を継続することとなった。
(2)適応
適応に関する世界全体の目標(GGA)議題については、COP30で採択されたベレン適応指標の今後の運用に向けた技術的課題を検討するベレン・アディスビジョンのモダリティ及びバクー適応ロードマップの進め方について議論が行われた。我が国からは指標の作業を実施するタスクフォースについては技術的作業に集中すべきであり、その構成は専門家中心とすべきと主張するも合意できず、SB65で再度検討することとなった。
(3)公正な移行
公正な移行作業計画(JTWP)の実施やレビュー、また、公正な移行メカニズムの運用について議論を開始。JTWPのレビューに関する付託事項(ToR)が作成、採択されるとともに、公正な移行メカニズムの運用化に関して各締約国の意見を聴取の上、COP31における議論の基礎としてJTWPの共同議長により論点をまとめた非公式文書が作成された。日本からは、気温上昇を1.5度に抑える取組と公正な移行の経路の追求との関連性を強調するとともに、公正な移行に関連する既存のメカニズム等を整理の上、これらを最大限有効活用する重要性を強調した。
(4)技術
CTC(気候技術センター)の2027年以降のホスト機関選定について議論が行われ、UNEPをホストとして推薦し、UNIDO-UNOPSを含む他機関との協力の検討を促すことになった。
(5)その他
適応基金、適応委員会のレビュー、国別適応計画、研究と組織的観測、透明性枠組、農業、対応措置、キャパシティ・ビルディング、非市場アプローチ作業計画のレビュー、気候エンパワーメント行動(ACE)、交渉プロセス・ロジ、事務局事項、事務局とその他国際機関との協力等に関する議論が行われた。
3 SB会期中の主な関連イベントについて
(1)進捗の促進的な多国間検討(FMCP)
各国が提出した隔年透明性報告書(BTR)に基づき、国が決定する貢献(NDC)の進捗や実施状況についての相互的な対話を行う場であるFMCPが実施された。我が国からは、日本の脱炭素政策等を発表し、他の締約国との意見交換を実施した。
(2)グローバル・ストックテイク(GST)実施に関するUAE対話
GSTの成果の実施における、機会、課題、障壁、ニーズについて経験・情報共有する場として、初めて開催された。我が国からは、日本の国際協力事例等を紹介するとともに、IPCC含む科学的知見の重要性を主張した。
(3)年次GST-NDC対話
GSTの成果が、NDCの検討にどのように情報提供されるかについて、知識と優良事例の共有を促進することを目的に議論が行われた。我が国からは、日本の野心的なNDCと地球温暖化対策計画等について紹介した。
(4)海洋と気候変動対話2026
NDCにおける海洋ベースの取組や海洋・気候・生物多様性のシナジー等について議論が行われ、我が国からはブルーカーボンのNDCへの反映等の取組を発表した。
(5)気候変動と貿易に関する対話
WTO、ITC、UNCTADにより貿易による効果(脱炭素製品の普及拡大)等に関するプレゼンが行われた後、貿易措置の公平性に関する課題、対話の位置づけ、以後の対話で取り扱うべき内容、成果の取りまとめ方等について意見交換が行われた。
(6)気候資金作業計画(ワークショップ)
昨年のCOP30での「グローバル・ムチラオ決定」パラ54に基づき立ち上げられた、「パリ協定第9条全体の文脈でのパリ協定第9条1に関するものを含む、気候資金に関する2年間の作業計画」として、初めてワークショップが開催された。締約国が2年間の議論のモダリティやスコープについて議論した後、NGO等の非締約国ステークホルダーも参加し、気候資金の提供、アクセス、透明性の向上等について意見交換が行われた。
(7)パリ協定第2条1(c)に関する第1回ヴェレダス対話
資金の流れを気候変動対策の方針に適合させることを目的としたパリ協定第2条1(c)に関する議論を加速させるための実務者級会合として初めて開催された。第2条1(c)について、各国が決定するそれぞれの実施と国際的な側面について、ベストプラクティスが紹介された後、締約国と民間セクター等の非締約国ステークホルダーが関与する形で議論が行われた。
(8)第18回研究対話
気候モデル・シナリオ、セクター変革、気候リスク等に関するテーマで実施され、基調講演ではIPCC等から最新の科学的知見が共有された。分科会では、地域規模の高解像度データやAI活用による予測・リスク評価の高度化、衡平性や1.5度オーバーシュートを考慮したシナリオの検討、セクター別・横断的な変革の重要性、複合・連鎖的リスクやティッピングポイント等が議論された。
(9)パリ協定第6条2野心対話
各国・各機関でパリ協定第6条2の実施状況の共有や意見交換を目的とした対話が開催され、我が国からパリ協定第6条を実施するための国内の承認体制、パリ協定第6条報告やレビューの経験を紹介した。
(10)非市場アプローチ(パリ協定第6条8)に関するワークショップ
非市場アプローチの取組登録や情報共有のためのプラットフォームについて、知見やベストプラクティスの共有と意見交換が行われた。我が国から、SUBARU(SUstainable Business of Adaptation for Resilient Urban Future)イニシアティブ及びCEFIA(Cleaner Energy Future Initiative for ASEAN)について発表し、今後のプラットフォームの運用に向けた教訓について共有の上、さらなる利用促進に向けた方策について意見交換した。
(11)農業と食料安全保障に関する気候変動対策ワークショップ
農業と食料安全保障に関する気候変動対策の実施に向けたアプローチや優良事例について議論が行われた。我が国からは、ミドリ・インフィニティに基づくマレーシアでの事例等を紹介した。
