気候変動
第19回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合(概要)
外務省気候変動課
1 会合の目的
「『気候変動に対する更なる行動』に関する非公式会合」(略称:日伯非公式会合)は、我が国とブラジルが共同議長を務め、2002年から毎年東京にて開催しています。この会合は、各国の交渉実務担当者(首席交渉官級)が非公式な形で率直な議論を行うことを目的としたものです。本年の会合は、新型コロナウイルスの感染拡大により、オンライン形式で開催され、開催が本年11月に延期されたCOP26に向けた交渉の方向性や課題について、意見交換が行われました。
2 日程・場所・共同議長
- (1)日程:
- 3月10日(水曜日)・11日(木曜日)
- (2)場所:
- オンライン
- (3)共同議長
- (日本側)小野 啓一 外務省地球規模課題審議官
(ブラジル側)ファビオ・マルザノ 外務省国家主権・市民担当副次官
3 参加国・オブザーバー
参加国
アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、豪州、ベリーズ、ブータン、ブラジル、カナダ、チリ(COP25議長国)、中国、コスタリカ、エジプト、エチオピア、欧州連合、フランス、ガボン、ドイツ、ギニア、インド、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、パナマ、韓国、ロシア、シンガポール、南アフリカ、スイス、英国(COP26議長国)、米国
オブザーバー
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局、科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)議長、実施に関する補助機関(SBI)議長、Center for Climate and Energy Solutions(C2ES)
4 議論の概要
(1)セッション1 「COP26への期待」
コロナ禍によって対面での交渉が行われなかった昨年の経験を踏まえつつ、本年11月のCOP26に向けた議論の進め方や、COP26でどのような成果を期待するか等について議論が行われました。
参加国からは、パリ協定の着実な実施のため、COP26の成功に向けた強い期待が表明されました。また、国連気候変動枠組条約事務局が実施した「ジューン・モメンタム(June Momentum)」(6月)や「気候対話(Climate Dialogues)」(11月)等を含め、昨年、オンライン形式による有意義な意見交換が行われたことを踏まえ、オンラインであっても締約国間で議論し、COP26に向けて必要な準備作業を進展させるべきという意見が出されました。その一方で、インターネット接続や時差、また、各交渉グループ内での協議・調整が実施しにくい等の課題が指摘され、オンライン形式で準備作業を進めることへの懸念も示されました。
また、交渉議題のほかにも、NDC(国が決定する貢献)の更新、カーボン・ニュートラルの表明、長期戦略や適応計画の策定等、各国における最近の気候変動対策の取組状況について情報交換が行われました。
(2)セッション2 「パリ協定の各議題の交渉見通し」
COP26で交渉が行われる個別の論点について、各国の見解や今後必要な作業等について議論が行われました。
参加国からは、既にパリ協定の実施期間が始まっていることを念頭に、6条(市場メカニズム)においてはCOP24からの継続議題となっていること、13条(透明性枠組み)においては最初の報告書を2024年までに提出する必要があることから、COP26での実施指針の決定が極めて重要であるという認識が示されました。
適応については、気候変動影響によって先進国と途上国の隔たりなく、その重要性が高まっており、COP26においても重要なテーマの一つであることが確認されました。
気候資金について、2020年の年間1000億ドル資金動員目標の達成や民間資金動員が議論され、ポスト2025資金目標の重要性が指摘されました。
その他、NDCの共通タイムフレーム、ロス&ダメージ、気候変動と農業等についても議論が行われました。
これらの議題の進展を図るため、SBSTA及びSBI議長主催の非公式専門家会合やCOP議長国主催の首席交渉官による非公式協議等の機会を活用し、締約国間の共通理解を形成していくべきという認識が示されました。