気候変動

平成29年5月18日
(写真1)気候変動に関する国際連合枠組条約に基づく第2回隔年報告書の多国間評価
(画像1)気候変動に関する国際連合枠組条約に基づく第2回隔年報告書の多国間評価
(写真2)気候変動に関する国際連合枠組条約に基づく第2回隔年報告書の多国間評価

 日本を含む先進国は,「気候変動に関する国際連合枠組条約」の下でのカンクン合意及びダーバン決定に基づき,2年ごとに自国の気候変動対策・施策等をとりまとめた隔年報告書(BR)を提出することが求められています。2016(平成28)年1月1日までに提出された第2回隔年報告書(BR2)につき,2017年5月に,ドイツ・ボンで開催された第46回実施に関する補助機関会合において,日本を含む17か国に対し,第2回多国間評価(MA2)が行われました。日本は5月12日に最近の気候変動対策について説明を行い,これに対して各国から質問が提起されるなど,活発な質疑が行われました。日本のプレゼンテーションと質疑応答の概要は以下のとおりです。

日本のプレゼンテーション

 日本は自国の気候変動対策・施策に関し,主に以下について紹介しました。

  • 2014年度以降は省エネルギーの進展や電力排出原単位の改善により,GHG排出量は2年連続で減少。
  • 2011年以降,東日本大震災に伴う原子力発電所の停止により火力発電所依存度の増加により,温室効果ガス(GHG)排出量が増加。
  • 日本は国内における温室効果ガス(GHG)の排出量を2030年に2013年比で26%減少させる目標を掲げ,その目標実施に向け,着実に施策を実施している。
  • 日本は「3E+S」(3E:エネルギーの安定供給,経済効率性の向上,環境への適合,S:安全性)を基本方針とするエネルギー政策を打ち出している。
  • 産業界の自主的な取組(低炭素社会実行計画),電力の低炭素化,産業部門のエネルギー効率の向上,省エネ製品の導入促進,次世代自動車の導入促進,住宅・ビルの省エネ化,国民に積極的行動を促すCOOL CHOICE別ウィンドウで開く等の取組を実施している。
  • G7伊勢志摩サミットでの首脳宣言の下,日本でも長期低排出発展戦略の策定に向けて,関係省庁で検討が進められている。

質疑応答

 各国からの主な質問に対する日本の主な回答は以下のとおりです。

GHG排出量の部門別の削減

  • 家庭部門では,世帯あたりのエネルギー消費量は2015年度には2000年度比25%程度減少している。また,一人あたりのエネルギー消費量は2015年度には2000年度比13%程度減少している。
  • 家庭部門では,高効率な省エネルギー機器の普及で2030年に1500万t-CO2,住宅の省エネルギー化で同1000万t-CO2のGHG排出量の削減効果を見込んでいる。
  • 業務部門では,業務床面積あたりのエネルギー消費量は2015年度には2000年度比18%程度減少している。
  • 業務部門では,トップランナー制度別ウィンドウで開くを実施することでエネルギー消費量や排出量の減少を見込んでおり,2030年に1700万t-CO2の削減効果を見込んでいる。また,建築物の省エネルギー化で同1200万t-CO2の削減を見込んでいる。
  • 運輸部門の排出量は2001年から継続的に減少している。加えて電気自動車,プラグインハイブリッド自動車,燃料電池自動車等の次世代自動車の導入も進めている。次世代自動車については,2030年までに新車販売の50~70%を占めるという目標を掲げている。

再生可能エネルギー

  • 2030年には電力の22~24%を再生可能エネルギーで賄う目標を立てている。
  • 2050年に向けたエネルギー・環境イノベーション戦略別ウィンドウで開くを策定(2016年4月)し,再生可能エネルギー,蓄電池,水素利用等の研究開発を進めている。

原子力発電所

  • 原子力発電所は,安定供給の確保,電力コストの引下げ,CO2排出の抑制といった3点を実現するために不可欠である。原子力規制委員会によって世界で最も厳しいレベルの基準に適合すると認められた場合には,その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めるというのが政府の方針である。

第3回隔年報告書

  • 地球温暖化対策計画が2016年5月に策定されたため,第3回隔年報告書には気候変動対策の定量的な効果の分析結果を含めることができる。

参考

MA2対象国

カナダ,キプロス,フランス,ギリシャ,アイスランド,アイルランド,日本,カザフスタン,リヒテンシュタイン,ルクセンブルグ,モナコ,ポルトガル,ルーマニア,ロシア,スロベニア,スペイン,アメリカ



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