国連

麻生総理の「食料危機・気候変動に関する国連事務総長主催夕食会」への出席について

平成20年9月25日

1.国連総会出席のためニューヨークを訪問中の麻生総理は、25日19時45分頃より約1時間、国連本部で開催された「食料危機・気候変動に関する国連事務総長主催夕食会」に出席した。

2.この会合は、食料危機と気候変動に対し、今後国際社会がとるべきステップについて議論し、これらの問題に対するハイレベルの政治的意思を示すことを目的に開催された。

3.会合には、バングラデシュ、リベリア、グレナダ、東ティモール等の食料・気候変動に大きな影響を受けている国々の首脳、デンマーク首相、バローゾ欧州委員会委員長等の約35カ国の代表に加え、世界銀行及び関連国連機関の長が参加し、活発な意見交換が行われた。

4.冒頭、パン事務総長等より、会合の趣旨説明があった後、麻生総理が、各国代表の最初の発言者として、要旨以下のとおり発言を行った(麻生総理大臣演説(和文仮訳英文))。

(1)我が国は、食料危機と気候変動を、TICAD IV及び北海道洞爺湖サミットで取り上げた。民間部門、市民社会を含む全ての関係者とともに世界的パートナーシップを構築し、問題に対処していくことが必要。

(2)食料危機に関し、G8は緊急支援の拡充を呼びかけた。我が国は、本年1月以降に約束した3億ドルの緊急支援の過半を実施済みであり、更なる取組を検討中。G8はまた、農産物の輸出規制の撤廃を呼びかけ、農業分野の途上国の支援・投資の大幅な増加等にコミット。我が国は、これらの約束を速やかに実行に移すとともに、国内の農業生産の強化に取り組んでいく考え。

(3)本会合の議題の一つである「農業への投資」について、(イ)品種改良に関する研究開発と人材育成が重要、我が国はアフリカにおいてネリカ米等の開発・普及を推進、(ロ)技術移転は、灌漑施設等のインフラ整備に関する資金協力と連携させるべき、我が国がタンザニアのキリマンジャロ州で行なった灌漑稲作への支援によって、単収が2.5倍になったという例もあり。

(4)気候変動については、途上国の適応対策を拡充していくことが、緩和対策と並び、急務の課題。同時に、2013年以降の国際枠組みを実効的なものとする必要がある。我が国は、COP14(国連気候変動枠組条約第14回締約国会議)に向け、次期枠組みに関する具体的提案を行い、来年末までの枠組み合意の実現を主導していく考え。

5.引き続き、各国より、気候変動と食料価格高騰の関連を指摘する発言が多くあった。途上国側からは、この危機を好機とするために、農業への投資に更に力を入れるべき、特に、灌漑施設の改善、改良種子の普及、小規模農家への支援が重要といった発言があった。ドナー側からは、今後更なる緊急支援、農業支援を実施していくとの意思が表明された。また、国際機関より、人道支援を妨げている輸出規制等の問題の除去や、農業支援の強化の重要性が強調され、具体的な施策の提案があった。気候変動については、ボズナン会議(COP14)を成功させ、COP15において枠組み合意を実現すべく、政治的リーダーシップを発揮したい旨発言があった。

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