2008年9月25日、ニューヨーク
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議長、有り難うございます。はじめに、今回このような時宜に適った会合を主催された潘基文事務総長に感謝申し上げます。また、ゼーリック世銀総裁のリーダーシップを賞賛します。食料危機と気候変動への対処は、ミレニアム開発目標(MDGs)と人間の安全保障の達成のために不可欠です。
我が国はこれらの課題をTICADIVと北海道洞爺湖サミットで取り上げました。我々が行った提案や約束が、国際社会の前向きな対応を促したことを願います。民間部門、市民社会を含むすべての関係者とともに世界的パートナーシップを構築し、これらの問題に対処していかなければなりません。
食料危機に関し、G8は、今なお飢餓や栄養失調に苦しむ人々への緊急支援の拡充を呼びかけました。我が国は、本年1月以降に約束した3億ドルの緊急支援の過半を実施済みであり、更なる取組を検討中です。
今夜の議題の関連では、農産物の輸出規制の撤廃をG8は呼びかけています。また、仮想備蓄システムの可能性を検討することを約束しました。この会合での議論を踏まえ、こうしたイニシアティブを更に進める方途を探ります。
これらに加えて、G8は、世界の食料生産を促進するための数々の中長期的施策を約束しました。農業分野の途上国への支援・投資を大幅に増加させます。また、アフリカにおける主要食用作物の生産を倍増するという目標に向け取り組んでいます。この場を借りて、他のドナーに対し、我々のコミットメントへの参加を呼びかけるとともに、途上国にも農業分野の投資促進を求めたいと思います。
我が国としても、これらの約束を速やかに実行に移すとともに、国内の農業生産の強化に取り組んでいく考えです。
次に、今夜の議題の一つである「農業への投資」について述べます。ここでは3点述べます。
第一に、品種改良に関する研究開発と人材育成の重要性です。1960年代の「緑の革命」も地道な品種改良と技術移転の成果であり、日本の稲塚権次郎博士が、「小麦農林10号」の開発を通じて、大いに貢献しました。今、我が国は、アフリカにおいてネリカ米等の開発を支援しています。優良種子の普及を、農民組織や農民一人ひとりの育成とあわせ、進めていく考えです。
第二に、技術移転は、灌漑施設等のインフラ整備に関する資金協力と連携させることが重要です。流通・市場アクセスも同時に強化されなければなりません。我が国がタンザニアのキリマンジャロ州で行なった灌漑稲作への支援によって、単位面積当たりの収量が2.5倍になったという成功例もあります。こうした取組みにおいては、NGOや民間セクターの役割が特に重要です。
三点目は、気候変動についてです。天候不順は我が国でも感じられ、統計上、毎年平均3回日本列島に上陸していた台風が、4年前は10回も訪れ、今年は皆無です。非常にランダムになっています。
我々が、途上国の適応対策を拡充していくことは、緩和努力と並び、急務の課題です。このため我が国は、5年間で100億ドル規模の「クールアース・パートナーシップ」を構築しています。
また、2013年以降の国際枠組みを実効的なものとしなければなりません。我が国は、COP14(国連気候変動枠組条約第14回締約国会議)に向け、次期枠組みに関する具体的提案を行います。来年末までの枠組み合意の実現を主導していく考えです。
最後に、今夜示された「行動提案」は確かにこれまでの取組みに沿ったものです。今夜のうちに数値目標に合意することは難しいかもしれませんが、我々は、これらの提案をいかに進めていくかについて検討していきます。