核軍縮・不拡散
ジュネーブ軍縮会議(CD)
令和7年3月1日
1 組織(CD:Conference on Disarmament)
- 今日に至るまで累次の国連総会決議において、国際社会における唯一の多国間軍縮交渉の場(the single multilateral disarmament negotiating forum of the international community)として認められた機関
- 1978年の第1回国連軍縮特別総会の際に、関係国が「軍縮委員会(the Committee on Disarmament)」の設置に合意し、1979年に立ち上げ。1984年に現在の「軍縮会議」へと名称変更された。米ソが中心となって東西両陣営から5か国ずつ参加した「10か国軍縮委員会(the Ten Nation Committee on Disarmament)」(1960~1961年)、その後、非同盟諸国8か国が参加した「18か国軍縮委員会(the Eighteen Nation Committee Disarmament)」(1962~1968年)、さらに参加国を26か国(75年に31か国)に拡大した「軍縮委員会会議(the Conference of the Committee of Disarmament)」(1969~1978年)を前身とする。
- 加盟国は65か国。西側グループ(25か国)、東側グループ(6か国)、G21グループ(33か国)、いずれのグループにも属さない中国により構成。我が国は1969年以来の加盟国。
- 機構上、国連等特定の国際機関の決定により設置された機関ではなく、加盟国の合意により、独自の手続規則を定め、議題や作業計画等を含めた意思決定を行うため、国連等他の国際機関からは独立。ただし、国連とは特別な関係を有しており、国連総会が軍縮会議に対して議題を勧告する他、国連総会の決定により、国連事務局(国連軍縮部)が事務局機能を果たしている(国連欧州本部事務局長が軍縮会議事務総長を務める)。
- 軍縮会議における意思決定はすべてコンセンサス方式。
2 活動
(1)会期
1年1会期、3部制。
- 第1部:1月20日~3月28日
- 第2部:5月12日~6月27日
- 第3部:7月28日~9月12日
(2)本会議
軍縮会議の活動は主に本会議によってなされる。本会議は、通年議題及び作業計画を審議・採択すると共に、最低年一回国連総会に対して報告書を提出する。
(3)議長
全加盟国がアルファベット順に4週間交代で務める。議長は、対外関係について軍縮会議を代表し、仮議題、作業計画及び国連総会への報告案等を起草。2025年会期の議長は、イタリア、日本、カザフスタン、ケニア、マレーシア、メキシコが議長を務める。
(4)議題
本会議において、毎年第1会期の冒頭で議題を採択する。
(注)軍縮会議では、議題採択にかかる無用の議論・混乱を避けるため、慣習として毎年同じ議題を採択している。
- 議題1:「核軍備競争停止及び核軍縮」
- 議題2:「核戦争防止」(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)を想定)
- 議題3:「宇宙における軍備競争の防止(PAROS)」
- 議題4:「非核兵器国に対する安全保証の供与(NSA)に向けた効果的な国際的合意」
- 議題5:「放射性兵器等新型大量破壊兵器」
- 議題6:「包括的軍縮計画」
- 議題7:「軍備の透明性(TIA)」
- 議題8:「国連総会への報告書」
(5)作業計画
- 年間の「作業計画(Programme of Work)」は、会期冒頭に採択された議題に基づいて検討・決定される。
- 作業計画では、実質的事項に関する審議・交渉のための具体的なマンデートを持ったアドホック委員会の設置や調整役等の設置が決定される。
- 作業計画に基づき設置されたアドホック委員会等により、軍縮・不拡散条約に関する実質的な審議・交渉作業が行われる。
(注)軍縮会議では、2009年以来作業計画の合意ができておらず、毎年、採択された議題に基づいた議論の進め方についての決定(「作業に関する決定」)を行っている。
(6)これまでの成果
軍縮会議及びその前身となる諸機関では、これまで、核兵器不拡散条約(NPT、1968年)、生物兵器禁止条約(BWC、1972年)、化学兵器禁止条約(CWC、1993年)、包括的核実験禁止条約(CTBT、1996年)等、重要な軍縮関連条約を作成。
3 現状
- 軍縮会議は、1994年から1996年にかけてCTBTを交渉して以来、実質的交渉をほとんど行っていない。毎年採択されるべき年間の作業計画は1998年に一旦は合意されたものの、翌年は合意が成立せず、それ以降(1998年は同年会期の第三部末での採択であったこともあり、実質的な議論は行われなかった)、合意できない状態が続いてきた。
- 2009年、同年の議長を務める6大使の間で調整が行われ、非公式会合を行うこととなった。第二会期冒頭の5月19日、議長国アルジェリアから、FMCTについては交渉を、PAROS及びNSAについては実質的な議論を、核軍縮については意見及び情報交換を行うことを決定する作業計画案(CD/1864)が提案され、5月29日にコンセンサス採択された。続いて、作業計画の実施に必要な決定案(作業日程、作業部会議長等)の協議が行われたが、パキスタンの修正要求により合意に至らず、2009年中の作業計画実施は見送られることとなった。2010年以降も作業計画合意に向けた協議が行われたが、合意には至らなかった。
- 近年は、作業計画に合意できないことから、非公式な協議を通じて議論が行われてきた。2018年には、5つの補助機関(補助機関1:核軍備競争停止及び核軍縮、補助機関2:核戦争の防止及び関連事項(FMCT等を議論)、補助機関3:宇宙空間における軍備競争の防止(PAROS)、補助機関4:核兵器の使用及び威嚇から非核兵器国の安全を保証する効果的な国際取決め(NSA)、補助機関5:新型大量破壊兵器及び兵器体系(包括的軍縮計画・軍備の透明性))を立ち上げ、実質的な議論を行う試みが行われた。
4 我が国の立場
- 我が国は、軍縮会議の議題としてはFMCT交渉の早期開始を優先事項と考えており、軍縮会議の停滞状況を打開すべくFMCTの作業文書を提出する等、様々な外交努力を展開してきている。
- 軍縮会議本会議ハイレベル・セグメントにおいて、政務レベル等によるステートメントを実施(軍縮会議における活動)。
【参考】CD加盟国(65か国、英語のABC順)
- 西側グループ(25か国)
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、フィンランド、仏、独、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、伊、日本、オランダ、NZ、ノルウェー、ポーランド、韓国、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英、米 - 東側グループ(6か国)
ベラルーシ、ブルガリア、カザフスタン、ルーマニア、露、ウクライナ - G21グループ(33か国)
アルジェリア、バングラデシュ、ブラジル、カメルーン、チリ、コロンビア、北朝鮮、コンゴ民主共和国、キューバ、エクアドル、エジプト、エチオピア、インド、インドネシア、イラン、イラク、ケニア、マレーシア、メキシコ、モンゴル、モロッコ、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、セネガル、南ア、スリランカ、シリア、チュニジア、ベネズエラ、ベトナム、ジンバブエ - 中国
(注)2003年2月、セルビア・モンテネグロのオブザーバー加盟が承認されたため、正規加盟国としての旧ユーゴスラヴィアの議席は抹消された。