外交政策

平成25年7月31日
 2013年6月3日~7日,パリにおいてオーストラリア・グループ(AG)(生物・化学兵器関連物資・技術の拡散防止のための国際輸出管理レジーム)の総会が開催されたところ、同総会後に発出された報道機関向け資料の主要点は以下のとおり。
 
1 シリア

 2013年1月28日に発表したシリアの情勢に関する懸念声明に続き、AGは、シリアにおける化学兵器が引き続き中東を更に不安定化させる重大な脅威であり、また、不拡散に関する世界的な規範への挑戦であるとの見解を再確認した。AG参加国は、化学兵器の使用を示唆する証拠の増加及びより多数の大規模な使用の危険性を深く憂慮している。シリア国民に対する化学兵器の使用の脅威により、将来にわたる化学兵器の完全な廃絶及び化学兵器禁止条約の普遍化の必要性が強調された。
 AGは、化学兵器の使用は、いかなる状況においても認められず、国際社会の法規範に反するものであることを強調した。AGは、シリアにおける化学兵器の使用の疑いを調査する国連調査団に対する支持を求めた。
 AG総会は、シリアにおける騒擾の全ての当事者に対し、化学兵器及びあらゆる状況における同兵器の使用を放棄し、全ての備蓄を廃棄するための対策を講じることを求めた。それまでの間にも、シリアは、保有している化学兵器の安全を国際社会に確約しなければならない。
 2012年のAG総会における要請に基づき、AGは、生物・化学兵器と潜在的に関連のある汎用品のシリアへの輸出について、全ての国が一層の注意を払い、綿密な審査を行う必要性を強調した。
 
2 輸出管理の強化

 今次総会に参加した各国の専門家は、同総会の過程で、輸出管理の対象となり得る生物・化学関連品目のリストの見直しを継続した。更新されたAG規制リスト及びガイドラインは、AGのウェブサイト他のサイトヘで閲覧が可能である。AG参加国は,AGの規制リストがますます生物・化学関連の機微な汎用資機材及び無形技術に対する規制の国際的なベスト・プラクティスの基準として活用されていることに言及した。
今次総会により、輸出許可審査及び執行分野の専門家は、生物・化学関連の機微な汎用資機材の拡散の試みを防止するための経験と情報を共有することができた。同時に、AG参加国は、自国の輸出管理が生物・化学分野における合法的な貿易及び技術協力を阻害しないことを確保する決意を確認した。
 AGは、各国の輸出規制リストに将来挿入することが必要となり得る資機材を特定するため、新たな技術及び新興の技術に関連した拡散リスクについて検討するプロセスを継続した。化学剤の開発や、生命科学及びナノテクノロジーにおける最近の進展の検討並びに化学・生物関連の汎用の製造装置に関する発展が重要な焦点となった。
 
3 AGの課題

 AG参加国は、AGの効率性を更に向上させるため、査証審査への取組及びキャッチオール規制その他の措置の実施における経験についての更なる情報共有を通じて協力を深化させていくことで合意した。
 AG参加国は、拡散の観点から機微な技術の移転及び仲介業に対する規制についての認識を高めることを含め、AGの活動を支援するために産業界及び学界を関与させる決意を再確認した。
 
4 新規参加国

 複数の国から提出されたAGへの正式な参加申請について検討が継続された。
 
5 アウトリーチ活動の継続

 AGは、生物・化学兵器の拡散を防止するための取組を更に促進するため、AGの規制リスト及び取組が更に多くの国に採用されるよう、2013年から2014年においても国際的なアウトリーチ活動に関する積極的な計画を継続してくことで合意した。
 
(同総会に関する報道機関向け資料については,http://www.australiagroup.net/en/media_june2013.html他のサイトヘを参照。)

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