通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取組

令和元年6月25日
  1. 本年3月,4月及び6月,国連欧州本部(ジュネーブ)及び国連本部(ニューヨーク)において,国連軍備登録制度(UNROCA)に関する政府専門家会合(GGE)が開催されました。
  2. UNROCAは,1991年に我が国が当時の欧州共同体(EC)諸国と協力して国連総会に提出し,採択された決議「軍備の透明性」に基づき設置された制度です。各国は,過剰な蓄積によって地域及び国際社会の状況を不安定化させるおそれがあると位置付けられた7つのカテゴリーの通常兵器(参考)について,前年の輸出入に関する情報を国連事務局に報告することとなっています。また,UNROCAの運用状況や制度の強化・改善策を検討するためのGGEが,1994年以降3年おきに開催されています(ただし,2013年については,2012年のGGEが1年延期されて開催。)。
  3. 本年のGGEの参加国は,アルゼンチン(議長),ブラジル,中国,クロアチア,フランス,ドイツ,インド,日本,セネガル,シンガポール,南アフリカ,オランダ,ロシア,英国,米国の15か国であり,我が国からは大渡陽子・軍縮会議日本政府代表部一等書記官が,我が国が推薦した専門家として出席しました。
  4. 本年のGGEでは,「参加率の改善」,「報告の対象」及び「報告の活用」の3点について議論されました。これら諸点を含む報告書は,国連事務総長から全加盟国に配布され,報告書の勧告は,本年の国連総会決議を通じて実施されることとなります。
(1)参加率の改善
 近年,登録制度の参加国が減少傾向にあることに対していかに対応するか,登録内容をいかに活用するか等の登録制度の強化・改善策について集中的に議論。登録制度の目的や意義についての啓発活動の実施,国連軍縮部や地域センターによる加盟国への一層の参加働きかけ,オンライン登録ツールの活用等を通じて,登録制度への参加を促進するための措置をとることを,国連加盟国へ「勧告」することとなった。
(2)報告の対象
 犯罪や紛争で使用され,多くの人命を毀損している小型武器は,制度開始当初から他の侵攻用大型通常兵器と並ぶ正規のカテゴリーとして報告対象に含めるべきとの意見が多く存在。これを背景に,2016年GGEでは,2019年のGGE開催まで既存の7カテゴリー同様に小型武器の登録を奨励する「7プラス1」方式を試験的に運用することに合意。今次GGEにおいて,小型武器を第8の正規カテゴリーとすることは,時期尚早であるとして見送られたが,UNROCAにおける小型武器の定義案について合意し,「7プラス1」方式を引き続き運用することになった。
(3)報告の活用
 報告の活用を促進するため,オンラインデータの頻繁な更新や,報告を活用した信頼醸成措置の履行に合意。
  1. 我が国は今次会合において,登録制度が透明性の向上と信頼醸成の促進に資するものとなるよう,具体的な提案を行うとともに,積極的に議論に参加しました。

【参考】報告対象となる7カテゴリーの兵器
 (1)戦車(2)装甲戦闘車両(3)大口径火砲システム(4)戦闘用航空機及び戦闘用無人航空機(5)攻撃用ヘリコプター(6)軍用艦艇(7)ミサイル及びミサイル発射基


通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取組へ戻る