(1) 8割のギリシャ系住民と2割のトルコ系住民から成り、1960年に英国から独立した。74年にサイプラス内部の混乱をきっかけとしてトルコ軍が侵攻して以来、南部の政府支配地域(ギリシャ系)と北部のトルコ軍占領地域(トルコ系)に事実上分離され緊張関係にあり、サイプラス共和国政府及び議会はギリシャ系のみで構成されている。93年2月の選挙において民主運動党のクリリーディス大統領が選出され、問題解決に取り組んでいるが、両系和解の鍵を握るギリシャ、トルコ両国の関係それ自体が緊張状態にあり、解決の見通しはついていない(なお、北部のトルコ系住民は83年「北サイプラス・トルコ共和国」の独立宣言を行ったが、現在まで同国を承認しているのはトルコのみ)。98年の大統領選ではクリリーディス大統領が再選された。
外交面では、ギリシャと共同歩調をとりつつ、サイプラス問題の早期解決(具体的には国連、米国、英国、EUによる仲介の受入れ、ギリシャとの共同防衛計画の推進)とEUの早期加盟に積極的である。97年7月欧州委員会は、サイプラスを新規加盟交渉対象国とし、98年から加盟交渉が始まった。
(2) 経済面では、欧州・中東を結ぶ通商・観光の中心地として発展しており、貿易収支の赤字を観光、運輸、その他のサービス産業を含む貿易外収支によって補う構造となっている。80年代を通じて年平均5%を上回る経済成長を遂げたが、93年は付加価値税導入の影響で1.6%、95年は5%、96年は1.9%にとどまっている。また、96年で失業率31%、インフレ率3.0%とEU諸国と比べても安定している。一方、北部のトルコ占領地域ではトルコの援助以外に外貨獲得の道がないこともあり、経済の発展は立ち遅れている。なおサイプラスは97年1月よりDACリストのパート1(ODA受取り開発途上国・地域)からパート2(移行経済国及びより進んだ開発途上国・地域)に移行している。
(3) 我が国との関係では、89年及び90年にヴァシリウ大統領が訪日している。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 701 | 734 | 740 | 747 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 5,633 | - | - | - |
一人当たり(ドル) | 8,040 | - | - | - | |
経常収支(百万ドル) | -154.3 | -212.6 | - | - | |
財政収支(百万サイプラス・ポンド) | -136.08 | -39.90 | - | - | |
消費者物価指数(90年=100) | 100.0 | 126.1 | 128.8 | - |
|
DSR(%) | - | - | - | - | |
対外債務残高(百万ドル) | - | - | - | - | |
為替レート(年平均、1サイプラス・ポンド=USドル) | 2.1874 | 2.2113 | 2.1446 | 1.9476 | |
分類(DAC/国連) | より進んだ開発途上国/- | ||||
面積(千㎞2) | 9.2 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
- | 78(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 6x(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率 (%) |
- | - | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
- | - | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | - | - | 森林面積(1000km2) | 13 | - |
中等教育 | - | - |
我が国は、サイプラスが工業製品輸出中心の産業構造に移行しつつあり、比較的国内産業の工業化が進んでいること及び所得水準がかなり高いこと等から、これまで技術協力を行ってきたが、最近の協力は小規模なものとなっている。
(1) 我が国のODA実績 | (支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈 与 | 政府貸付 | 合 計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
0.23(100) 0.12(100) 0.29(100) 0.04(100) 0.01(100) |
0.23(100) 0.12(100) 0.29(100) 0.04(100) 0.01(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
0.23(100) 0.12(100) 0.29(100) 0.04(100) 0.01(100) |
累計 | -(-) | 2.13(100) | 2.13(100) | - | -(-) | 2.13(100) |
(注) ( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
DAC諸国、ODA NET | (支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合 計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
0.1 0.3 0.0 |
8.0 13.4 -1.1 |
国際機関、ODA NET | (支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合 計 | ||||||||||||||
95 |
|
|
|
|
|
0.2 0.0 0.0 |
12.2 18.0 50.4 |
(3) 年度別・形態別実績 | (単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 | ||
90年度 までの 累計 |
なし | なし | 0.22億円
|
||
91 | なし | なし | 0.06億円
|
||
92 | なし | なし | 0.05億円 | ||
93 | なし | なし | 0.08億円
|
||
94 | なし | なし | 0.14億円
|
||
95 | なし | なし | 0.12億円
|
||
96 | なし | なし | 0.21億円
|
||
97 | なし | なし | 0.02億円
|
||
98 | なし | なし | 0.02億円
|
||
98年度 までの 累計 |
なし | なし | 0.93億円
|