ODAとは? ODA予算・実績

国別援助実績
1991年~1998年の実績
[12]マーシャル


1.概 説

 (1) マーシャルは、1947年以来、ミクロネシア、パラオ、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国連の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していたが、86年に米国との自由連合国家に移行した。米国との自由連合の下で、防衛、安全保障については米国が権限と責任を有するが、外交は独自に行っており、諸外国との外交関係拡大に努力している。91年には国連に加盟した。
 (2) 大首長という伝統的権威をも有するアマタ・カブア大統領の下で17年間内政は安定していたが、96年12月同大統領が逝去し、97年1月その従兄弟に当たるイマタ・カブア氏が、接戦の末に後継大統領に選出された。新大統領も、民間セクターの開発促進やインフラ整備、外国資本導入等の路線を踏襲している。なお、国内のクワジェリン環礁には、米軍基地が存在している。
 (3) 経済面では、伝統的自給経済と貨幣経済が混在しており、農業(コプラ)と漁業を除き見るべき産業は存在していないため、自由連合盟約下での米国からの資金援助及び基地関連収入に依存している。同援助が継続する自由連合盟約期間(86年から15年間)の間に経済的自立を達成することを最大の目標に置いているが、国家予算の半分以上を依然米国の援助に頼っているのが現状である。
 (4) 我が国との関係では、古くは1914年以来1945年まで我が国が南洋群島の一部として統治していた経緯があり、この歴史的関係に加え、漁業関係でのつながりも深く、国造り、経済開発における我が国経済協力への期待は大きい。88年、我が国との外交関係を開設した。また、96年6月及び98年8月には、長谷川前駐豪大使を代表とする政策対話ミッションを同国に派遣し二国間関係の強化に努めた。

 (参考1)主要経済指標等

90年 95年 96年 97年
人口(千人) 56 57 60
名目GNP 総額(百万ドル) 108 97
一人当たり(ドル) 1,890 1,610
経常収支(百万ドル)
財政収支(百万ドル)
消費者物価指数
DSR(%)
対外債務残高(百万ドル)
為替レート( ――――― )
分類(DAC/国連) 低中所得国/-
面積(千㎞2

 (参考2)主要社会開発指標

90年 最新年 90年 最新年
出生時の平均余命
(年)
乳児死亡率
(1000人当たり人数)
所得が1ドル/日以下
の人口割合(%)
5歳未満児死亡率
(1000人当たり人数)
下位20%の所得又は
消費割合(%)
妊産婦死亡率
(10万人当たり人数)
成人非識字率(%) 9x(95年) 避妊法普及率
(15-49歳女性/%)
初等教育純就学率
(%)
安全な水を享受しうる人口割合(%)
女子生徒比率
(%)
初等教育 森林面積(1000km2)
中等教育

 


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は、マーシャルと従来より友好的な関係にあること、我が国水産業界と密接な関係にあること、米国との自由連合盟約関係終了を2001年に控え経済的自立の達成に向けて我が国援助への期待感が高いこと等を踏まえ、水産、運輸、教育分野での無償資金協力を実施し、また、幅広い分野での研修員受入れを中心とした技術協力を行っている。「マジュロ環礁道路整備計画」に対する無償資金協力を97年度から実施し、首都マジュロの主要道路のアスファルト舗装の部分改修及び排水溝や歩道の建設を行っている。89年に青年海外協力隊派遣取極が締結され、91年度より派遣を開始した。97年12月に同国を襲った台風の被害に関連して災害緊急無償を実施した。
 マーシャルはADBの助言に基づき構造調整を行っていることから、我が国としてもADB等国際機関や主要援助国と調整を図りつつ支援を行うことが効果的である。98年11月には、ADB主催の支援国会合を東京で開催している。
 95年1月には、政策協議調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を行うとともに、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。


3.政府開発援助実績

 (1)我が国のODA実績

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 贈   与 政府貸付 合 計
無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額
94
95
96
97
98
1.30(43)
4.10(72)
8.80(64)
4.04(73)
6.28(67)
1.75(57)
1.61(28)
4.86(36)
1.46(27)
3.12(33)
 3.05(100)
5.71(100)
13.65(100)
5.50(100)
-9.40(100)




(-)
(-)
(-)
(-)
(-)
3.05(100)
5.71(100)
13.65(100)
5.50(100)
-9.40(100)
累計 39.75(69) 17.94(31) 57.68(100) (-) 57.68(100)

 (注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。

 (2)DAC諸国・国際機関のODA実績

 DAC諸国、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 うち日本 合 計
95
96
97
米国
米国
米国

26.0
55.0
46.0

日本
日本
日本

5.7
13.7
5.5

豪州
豪州
豪州

0.2
0.5
0.6

ニュージーランド 0.2
ニュージーランド 0.0
ニュージーランド 0.2



5.71
3.7
5.5
32.1
69.1
52.3
 国際機関、ODANET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 その他 合 計

95
96
97

ADB
ADB
ADB

5.5
3.0
10.1

UNDP
UNDP
UNFPA

0.8
0.5
0.3

UNFPA
UNFPA
UNDP

0.3
0.2
0.2

UNTA
UNTA
UNTA

0.2
0.1
0.1



0.0
0.0
0.0
6.8
3.8
10.7

 

 (3)年度別・形態別実績

(単位:億円)

年度 有償資金協力 無償資金協力 技術協力
90年度までの累計 なし 45.52億円


内訳は、1997年版のODA
白書参照、もしくはホー
ムページ参照
(http://www.mofa.go.jp/
mofaj/b_v/odawp/
index.htm

1.95億円
研修員受入
調査団派遣
機材供与

28人
56人
0.1百万円

91 なし

3.75億円

離島水産物流通改善計画
(1/2期(3.75)

0.89億円
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

15人
5人
5.3百万円

92 なし 5.88億円

離島水産物流通改善計画(2/2期(3.00)
漁船用水路及び橋梁修復計画(2.88)

1.29億円
研修員受入
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

7人
17人
1人.
4.8百万円

93 なし 1.48億円

小規模漁業開発計画(1.48)

1.25億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

10人
1人
9人
5人
5.1百万円

94 なし

 

6.17億円

マーシャル高校改善計画(1/2期(6.17)

1.07億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

9人
1人
2人
6人
3.8百万円

95 なし 10.56億円

マーシャル高校改善計画(2/2期(6.00)
第二次離島水産物流通改善計画
(4.53)
草の根無償(1件)(0.03)

1.43億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

10人
1人
5人
8人
3.8百万円

96 なし 0.67億円

マジュロ環礁道路整備計画(D/D(0.54)
草の根無償(3件(0.13)

5.07億円
研修員受入
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

10人
24人
7人
4.0百万円

97 なし 3.99億円

マジュロ環礁道路整備計画
(国債13期(3.05)
緊急無償台風災害(0.05)
草の根無償(11件)(0.89)

1.36億円
研修員受入
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

10人
2人
5人
5.3百万円

98 なし 6.52億円

マシュロ環礁道路整備計画(国債2/3)(6.23)
草の根無償(2件)(0.29)

1.33億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

10人
1人
2人
9人
5.2百万円

98年度までの累計

なし

84.54億円

15.88億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
協力隊派遣
機材供与

94人
4人
132人
46人47.4百万円
37.3百万円

(注)

1. 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2. 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3. 80年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)

 

 (参考)98年度実施草の根無償資金協力案件

案件名
南太平洋大学マーシャルセンター・遠隔通信教育機材整備計画
多目的職業訓練所設立援助

 



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