(1) 1970年に英国から独立した。94年の総選挙でランブカが首相に再任され、その後、人種差別的と批判のある90年憲法の見直しが検討され、97年7月に憲法修正案が可決、承認された。この憲法修正は、98年7月に発効し、国名は「フィジー共和国」が「フィジー諸島共和国」に変更された。99年5月の総選挙では、労働党を中心とする野党連合「国民の連合」が大勝し、労働党のチョードリー党首が首相に就任した。
(2) 外交面では、従来より、(1)英連邦諸国(87年のクーデター後脱退したが、97年9月に再加盟)、特に豪州、ニュー・ジーランドとの関係強化、(2)他の太平洋島嶼国との協力関係重視、(3)アジアをはじめ各国との友好関係拡大化を基調としてきたが、共和制移行後は特に我が国、韓国、ASEAN諸国等アジア諸国との関係拡大に力を入れている。また、国連をはじめとする国際機関においても活発な活動を展開し、国連の平和維持活動にも協力している。
(3) 経済面では、アジアの経済不振、金の国際価格低迷に加え、長期に及んだ未曾有の干ばつで大打撃を受けた。砂糖きび生産は半減し、98年の成長率は対前年比マイナス3.9%と見込まれる。95年の大韓航空直行便の就航以来、韓国からの観光客が増加しているほか、北米大陸との航空便増加や観光客誘致に努めてきたが、97年末に至り、アジア経済の不振から観光客の対前年増加率は減少し始めている。フィジーは競争力ある低コスト経済を目指しており、財政赤字・財政支出の縮減、公営企業の民営化を推進している。
(4) 近年我が国各都市との直行便の就航等により、我が国からの観光客誘致や投資に期待をかけている。また、94年、97年のランブカ首相訪日(97年は日・SPF首脳会議に出席)など政府要人の頻繁な交流をはじめ、様々なレベルでの交流が盛んであり、対日感情も良好である。更に、98年7月、我が国は両国間の対話を促進するため、堀元駐フィジー大使を団長とする政策対話ミッションをフィジーに派遣した。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 749 | 775 | 803 | 815 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 1,326 | 1,895 | 1,983 | 2,007 |
一人当たり(ドル) | 1,770 | 2,440 | 2,470 | 2,460 | |
経常収支(百万ドル) | -94.0 | -112.7 | 10.2 | - | |
財政収支(百万フィジー・ドル) | -54.72 | -92.60 | -211.40 | -281.90 | |
消費者物価指数 | 100.0 | 120.7 | 124.1 | 131.1 | |
DSR(%) | 12.0 | 6.0 | 3.6 | 3.1 | |
対外債務残高(百万ドル) | 412.7 | 250.4 | 217.4 | 213.4 | |
為替レート(年平均、164ドル=フィジー・ドル) | 1.4809 | 1.4063 | 1.4033 | 1.4437 | |
分類(DAC/国連) | 低中所得国/- | ||||
面積(千㎞2) | 18.3 |
(参考2)主要社会開発指標
- | ||||||
出生時の平均余命 (年) |
- | 72(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 8(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率 (%) |
- | - | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
- | - | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | - | - | 森林面積(1000km2) | 12 | - |
中等教育 | - | - |
我が国との関係も緊密化し、我が国経済協力への期待感が高い。フィジーは97年までの支出純額累計ではPNGに次ぐ域内第二位の我が国二国間ODA受取り国となっている。
技術協力については、82年に青年海外協力隊派遣取極を締結し、JICA事務所を首都スヴァに開設した。通信・放送等の分野を中心とした研修員の受入れ、専門家及び青年海外協力隊等の派遣を行っており、また、86年より太平洋青年招へい事業も実施されている。更に、海図作成や河川流域対策・洪水制御対策、海洋資源調査にかかる開発調査を実施している。なお、日豪援助協調の一つとして、92年と93年に日豪合同ミッションを保健・医療分野におけるプロジェクトのためフィジーへ派遣し、日豪援助協調案件形成のための調査を実施した。その結果、対象案件として「ヘルス・プロモーション・プロジェクト」を選定し、日・豪・フィジーの三国による協力を進めている。
無償資金協力については、フィジーの所得水準が高く、原則として一般無償資金協力の実施は困難であるが、フィジーが南太平洋の島嶼国の要所を占めていることに鑑み、、周辺島嶼国にも裨益する緊急性の高い案件については協力の可能性を検討することとしている。「気象観測・予報設備整備計画」への協力を行い、サイクロンをはじめとする各種気象情報を周辺地域へ提供するための気象センターの建設、高層気象観測受信・解析装置等を整備した。98年度には、「植民地戦争記念病院新小児病棟建設計画」により、同病院における小児医療サービスの改善を実施し、「南太平洋大学通信体系改善計画」では、遠隔教育に対する支援を実施している。なお、97年度には、文化無償として学校放送ユニットに対して教育番組製作用機材の供与を行った。
有償資金協力については、初の円借款案件として、98年2月に「ナンディ・ラウトカ地域上水道整備計画」を実施している。これは、給水能力の改善等を通じて、地域住民の健康・福祉の向上、観光等の産業用需要への対応を図るものである。
また、98年3月には、プロジェクト確認調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を通じて、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。
(1)我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈 与 | 政府貸付 | 合 計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
0.10(1) 1.89(14) 5.64(30) 6.84(40) 11.26(59) |
11.11(99) 11.97(86) 12.95(70) 10.11(60) 7.97(41) |
11.21(100) 13.87(100) 18.59(100) 16.94(100) 19.23(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
11.21(100) 13.87(100) 18.59(100) 16.94(100) 19.23(100) |
累計 | 75.61(-) | 120.61(-) | 196.23(-) | 0.13 | -0.79(-) | 195.44(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
DAC諸国、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合 計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
13.9 18.6 16.9 |
39.1 40.7 39.1 |
国際機関、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合 計 | ||||||||||||
95 |
|
|
|
|
|
0.4 0.2 0.0 |
4.4 4.5 4.5 |
(3)年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 | ||
90年度 までの 累計 |
なし |
55.09億円 内訳は、1997年版のODA |
66.88億円
|
||
91 | なし |
11.46億円 教育病院建設計画(1/2期)(91)(96) |
8.60億円
|
||
92 | なし |
10.43億円 教育病院建設計画(2/2期)(96) |
7.80億円
|
||
93 | なし |
0.68億円 フィジー図書館サービスに対す |
11.10億円
|
||
94 | なし |
0.61億円 フィジー体育研究所に対する体 |
8.38億円
|
||
95 | なし |
6.67億円 気象観測・予報設備整備計画 |
億円
|
||
96 | なし |
22.27億円 気象観測・予報設備整備計画 |
11.30億円
|
||
97 |
22.87億円 ナンディ・ラウトカ地域上水道 |
1.12億円 学校放送のユニット・教育番組 |
11.07億円
|
||
98 | なし |
18.31億円 緊急無償洪水災害 (0.06) |
6.47億円
|
||
98年度 までの 累計 |
22.87億円 |
126.64億円 |
141.24億円
|
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.79年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)
年度有償資金協力無償資金協力技術協力
(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案 件 名 |
協力期間 |
水産養殖 稲作研究開発(91)(95) |
81.11~87.3 85.4~93.8 |
(参考2)98年度実施開発調査案件
案 件 名 |
河川流域管理及び洪水制御計画調査(第3年次) 北部ラウ諸島海域海図作成調査(第5年次) |
(参考3)98年度実施草の根無償資金協力案件
案 件 名 |
離島向け給水船海水淡水化装置整備計画 フィジー旱魃被害食料供与計画 フィジー医学部歯学部教育・実習用機材整備計画 フィジー洪水被害教育機関支援計画 スヴァ市立図書館整備計画 モアラ島ナロィ地区教育機関整備計画 フィジー盲学校生徒寮整備計画 ナンディ病院緊急用発電機整備計画 西部地区身障者協会整備計画 北部地区スカウト協議会研修訓練センター建設整備計画 ロトゥマ中等学校整備計画 ロトゥマ病院整備計画 オイスカ・フィジー研修センター製陶技術訓練機材整備計画 ナヌク・サンガム小学校整備計画 ドラランダム小学校拡充計画 ナヴィアゴ村-ヴィトンゴ村架橋復旧計画 タベウニ島ワイリキ地区給水業況改善計画 フィジー・キャリアエキスポ支援計画 ディルクシャ・メソジスト中等学校理科教育機材整備計画 ヒルトン身障者学校整備計画 |