(1) 1978年に英国より独立した英女王を元首とする立憲君主国家である。97年8月の総選挙の結果、ママロニ首相に代わって、ウルファアル議員が新首相に就任した。ウルファアル政権は、経済再建のため経済構造改革計画を進めており、当面の政策課題は財政上の諸問題(財政赤字、対外・対内債務)の解消と公共サービスの非能率化の改善である。
(2) 外交面では、歴史的に英国、豪州等英連邦諸国と緊密な関係を有しているが、かつて最大の援助国であった旧宗主国たる英国の援助が近年減少しているため、援助供与国の多角化を進めている。また国連、ESCAP、世界銀行、IMF、ADB等にも加盟し援助拡充を図っているほか、周辺国との連携を強め、協力関係を推進している。近年は南太平洋フォーラム(SPF)の枠組みを重視し、また、経済的つながりの強化のためアジア指向を強めている。
(3) 経済面では、木材、魚、コプラ(乾燥したやしの実)等の一次産品輸出に大きく依存しているため、常に一次産品の国際価格下落の影響を受けている。98年は、アジア経済危機などを背景に、丸太の輸出価格が半減し、輸出額が激減したため、漁獲高の伸びはあったもののGDP成長率はマイナスと見込まれている。また、依然として地方農村部においては自給自足経済が営まれており、都市部と地方との生活水準には大きな格差があるほか、急激な人口増加への対応が重要な課題となっている。
(4) 我が国との関係は、古くは第二次大戦時の占領に始まるが、極めて親日的であることに加え、漁業分野における関係も深い。95年11月にはフィリップ副首相兼外相、97年10月にはウルファアル首相(日・SPF首脳会議に出席)が訪日する等、近年両国関係は緊密化しつつある。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 324 | 375 | 389 | 403 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 187 | 341 | 349 | 350 |
一人当たり(ドル) | 580 | 910 | 900 | 870 | |
経常収支(百万ドル) | -27.76 | - | - | - | |
財政収支(百万ソロモンドル | 122.80 | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 11.8 | 3.8 | 3.9 | 2.4 | |
対外債務残高(百万ドル) | 120.5 | 157.5 | 145.1 | 135.4 | |
為替レート(年平均、IUSドル=ソロモン・ドル) | 2.5288 | 3.4059 | 3.5664 | 3.7169 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千㎞2) | 28.0 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | 90年 | 最新年 | ||
出生時の平均余命 (年) |
- | 71(97年) | 乳児死亡率 (1000人あたり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | - | 5歳未満地死亡率 (1000人あたり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | - | 妊産婦死亡率 (10万人あたり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 38x(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性女性)/% |
- | - | |
初等教育純就学率 (%) |
- | - | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
- | - | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | - | - | 森林面積(1000km2) | - | - |
中等教育 | - | - |
ソロモンは従来より親日的であり、同国200海里経済水域は我が国の漁業にとり重要な漁場である。また、英・豪等伝統的援助供与国がその規模を削減する中、雇用や経済活性の面からも我が国の経済協力に対する期待が高まっている。以上の観点から、水産分野や運輸インフラ整備を中心とする無償資金協力を実施するとともに、研修員受入れ、青年海外協力隊派遣、開発調査等を中心とする技術協力を行っている。
「ヘンダーソン国際空港整備計画」に対する無償資金協力を、96年度から2カ年にわたり実施し、増加する航空需要に対応するため、老朽化している国際線ターミナルビル、駐機場及び誘導路等の整備を行った。また、98年度には、「ルンガ地区電力開発計画」を実施し、電力の安定供給のための施設の整備を行っている。
また、97年2月には、プロジェクト確認調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を通じて、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。
(1)我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈 与 | 政府貸付 | 合 計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
8.59(-) 11.09(-) 13.44(-) 12.33(59) 7.69(-) |
9.18(-) 7.98(-) 6.44(-) 3.51(17) 2.75(-) |
17.77(-) 19.07(-) 19.88(-) 15.84(75) 10.44(-) |
- - - 6.71 1.01 |
-1.79(-) -1.95(-) -1.68(-) 5.20(25) -0.39(-) |
15.98(100) 17.13(100) 18.20(100) 21.03(100) 10.06(100) |
累計 | 93.43(50) | 62.75(34) | 156.16(84) | 41.69 | 29.55(16) | 185.72(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
DAC諸国、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合 計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
17.1 18.2 21.0 |
36.5 33.5 36.2 |
国際機関、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合 計 | ||||||||||
95 |
|
|
|
|
|
0.0 0.2 0.0 |
10.3 8.9 5.6 |
(3)年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 | ||
90年度までの累計 | なし |
65.11億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/ |
16.73億円
|
||
91 | なし |
0.04億円 草の根無償(2件)0.04) |
3.99億円
|
||
92 | なし |
1.22億円 ノロ地区港湾整備計画(0.84) |
5.57億円
|
||
93 | なし |
10.41億円 ガダルカナル島橋梁架け替え計画(1/2期)7.80) |
10.51億円
|
||
94 | なし |
7.02億円 消防機材整備計画(0.59) |
5.91億円億円
|
||
95 | なし |
13.40億円 ガダルカナル島橋梁架け替え計画(2/2期-2)(4.40) |
6.65億円
|
||
96 | なし |
19.16億円 ヘンダーソン国際空港整備計画I期)(11.94) |
4.03億円
|
||
97 | なし |
6.75億円 ヘンダーソン国際空港整備計画国債2.2期)(6.32) |
2.10億円億円
|
||
98 | なし |
8.43億円 ルンガ地区電力開発計画(7.94) |
2.91億円
|
||
98年度までの累計 | なし |
58.40億円 |
131.54億円
|
(注) | 1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5 月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA 経費実績ベースによる。 | |
3 . | 78年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm) |
|
(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案 件 名 | 協 力 期 間 |
プライマリーヘルスケア推進 |
91.9~96.8 |
(参考2)98年度実施開発調査案件
案 件 名 |
長期電力開発マスタープラン調査第1年次) 長期電力開発マスタープラン予備調査小水力発電計画) |
(参考3)98年度実施草の根無償資金協力案件
案 件 名 |
南太平洋大学ソロモンセンター・遠隔通信教育機材整備計画 国立職業・訓練・試験センター工具供与計画 キングジョージVI高等学校拡充計画 ソロモン諸島国立博物館施設拡充計画 カマオシ州立中高等学校農業・輸送用機材供与計画 セントジョーン中高等学校理科及び家政科実験室建設計画 ルアバツ中高等学校給水改善計画 クワイアナ村女性の会裁縫技術向上計画 |