ODAとは? ODA予算・実績

国別援助実績
1991年~1998年の実績
[2]キリバス


1.概 説

 (1) 1979年に英国より独立した。日付変更線及び赤道の両側に広がる広大な水域に散在する島嶼国で、域内で国際市場からの地理的隔絶及び国土の拡散性が最も顕著であり、社会経済開発には多くの困難を伴っている。
98年9月に総選挙が行われ、与党キリバス共同体党が勝利し、11月にはシト大統領が再選された。基本政策としては、近隣諸国との経済関係強化や離島振興を実施している。
 (2) 外交面では、豪州、ニュー・ジーランドを含む南太平洋諸国との友好協力関係の維持・強化を基調とし、米国、我が国、ドイツなどの先進諸国との友好関係を推進している。また、キリバスにとっては広大な200海里経済水域が唯一・最大の資源であり、環境保護の観点からその汚染には極めて敏感で、96年5月には、パルミラ環礁への核廃棄物の廃棄に反対する旨の決議が議会でされ、核に関する厳しい態度を表明した。なお、国連に加盟を申請中である(99年8月現在)。
 (3) 経済面では、79年に燐鉱石が枯渇して以来主要な輸出産品はコプラと魚類であるが、天候等の要因により大きく影響を受けるため経済状況は安定していない。政府は旧宗主国である英国からの財政援助と、燐鉱石枯渇後に備え設立していた収入均衡準備基金等により国家財政を支えてきたが、英国からの経常予算に対する財政援助が86年に打ち切られたことから、援助ソースの多元化を図っている。96年シト大統領が中国を公式訪問し、中国から70万米ドルの援助を受けている。
 (4) 我が国とは、キリバスが広大な200海里経済水域を有しており、我が国のかつお・まぐろ漁業にとり重要な漁場になっていること、宇宙開発事業団の衛星追跡センターをキリバスのクリスマス諸島に設置していること等関係は深い。97年10月の日・SPF首脳会議には、シト大統領が初来日している。また、98年8月、

 (参考1)主要経済指標等

90年 95年 96年 97年
人口(千人) 70 79 82 83
名目GNP 総額(百万ドル) 54 73 75 76
一人当たり(ドル) 760 920 920 910
経常収支(百万ドル)
財政収支(百万ドル)
消費者物価指数
DSR(%)
対外債務残高(百万ドル)
為替レート(年平均、1オーストラリア・ドル=USドル) 0.7813 0.7415 0.7829 0.7441
分類(DAC/国連) 後発開発途上国/LDC
面積(千㎞2 0.7

 (参考2)主要社会開発指標

90年 最新年 90年 最新年
出生時の平均余命
(年)
60(97年) 乳児死亡率
(1000人当たり人数)
所得が1ドル/日以下
の人口割合(%)
5歳未満児死亡率
(1000人当たり人数)
下位20%の所得又は
消費割合(%)
妊産婦死亡率
(10万人当たり人数)
成人非識字率(%) 7x(95年) 避妊法普及率
(15-49歳女性/%)
初等教育純就学率
(%)
安全な水を享受しうる
人口割合(%)
女子生徒比率
(%)
初等教育 森林面積(1000KM2
中等教育

 


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 LLDCであるキリバスは、地理的に国際市場からの隔絶性及び国土の拡散性が極めて高い。かつての主要輸出品であった燐鉱石が枯渇した現在、水産業が同国の主要産業として経済を支えている。
 こうした状況に鑑み、無償資金協力では、広大な200海里経済水域に恵まれ、また基幹産業である水産業の底上げを図るべく、水産無償を供与してきている。97年度から4カ年にわたる「ベシオ港整備計画」が実施されており、同国の島嶼国海上輸送の改善を目的として、岸壁、スリップウェイ及び陸上施設の整備を行っている。
 技術協力については、研修員受入を中心に実施しているが、98年3月より漁業分野の広域専門家を派遣している。
 また、国際機関を通じる援助としては、我が国は91年よりUNDPへの拠出を通じ、太陽光発電を基礎にした電力供給システムの構築に協力している。98年1月には、ADB主催の支援国会合を東京で開催した。


3.政府開発援助実績

 (1)我が国のODA実績

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 贈   与 政府貸付 合 計
無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額
94
95
96
97
98
0.23(7)
1.57(38)
2.85(63)
5.73(86)
7.66(90)
3.27(93)
2.59(62)
1.68(37)
0.97(14)
0.88(10)
3.51(100)
4.16(100)
4.53(100)
6.70(100)
8.54(100)




-(-)
-(-)
-(-)
-(-)
-(-)
3.51(100)
4.16(100)
4.53(100)
6.70(100)
8.54(100)
累計 62.98(64) 36.00(36) 98.97(100) -(-) 98.97(100)

 (注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。

 (2)DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 うち日本 合 計
95
96
97
豪州
豪州
日本

4.2
4.8
6.7

日本
日本
豪州

4.2
4.5
4.9

ニュージーランド
ニュージーランド
ニュージーランド

1.6
2.0
2.4

英国
オランダ
オランダ

1.4
0.2
0.1

オランダ
フランス
ドイツ
フランス

0.1
0.0
0.0
0.0

4.2
4.5
6.7
11.4
11.4
14.2
国際機関、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 その他 合 計

95
96
97

CEC
CEC
CEC

1.9
0.9
0.6

ADB
UNDP
UNTA

0.8
0.4
0.5

UNTA
UNTA
UNDP

0.7
0.2
0.4

UNDP
UNFPA
UNFPA

0.4
0.1
0.1

UNFPA
ADB
ADB

0.1
-0.1
-0.1

0.1
0.0
0.0
4.1
1.5
1.6

 (3)年度別・形態別実績

(単位:億円)

年度 有償資金協力 無償資金協力 技術協力
90年度
までの
累計

なし

56.06億円

(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm))

15.70億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査

75人
11人
68人
70.2百万円
3件

91

なし

11.83億円

多目的貨客船建造計画(94) (11.83)

5.80億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査

11人
3人
8人
0.7百万円
2件

92

なし

4.07億円

トゥンガル総合病院上水供給改善計画(96) (1.96)
南タラワ及び南タビテウア小規模漁業振興計画 (2.11)

1.91億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査

13人
3人
11人
42.0百万円
1件

93

なし

なし

1.68億円
研修員受入
調査団派遣
開発調査

14人
29人
2件

94

なし

2.24億円

第二次離島漁業振興計画 (2.24)

1.87億円
研修員受入
調査団派遣
開発調査

22人
19人
1件

95

なし

2.15億円

第三次離島漁業振興計画 (2.09)
草の根無償(2件) (0.06)

1.09億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣

16人
1人
14件

96

なし

6.56億円

中等教育施設整備計画 (6.10)
ベシオ港整備計画(D/D) (0.46)

0.98億円
研修員受入
調査団派遣

19人
12人

97

なし

3.34億円

ベシオ港整備計画国債(1/4期) (3.31)
草の根無償(1件) (0.03)

0.51億円
研修員受入
調査団派遣
機材供与

20人
2人
1.6百万円

98

なし

10.85億円

ヘシオ港整備計画国債(2/4) (10.80)
草の根無償(2件) (0.05)

0.93億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与

22人
2人
6人
13.7百万円

98年度
までの
累計

なし

97.10億円

30.47億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査

212人
20人
169人
128.3百万円
4件

(注)

1. 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)

2. 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3. 79年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)

 

   (参考)98年度実施草の根無償資金協力案件
案   件  名
アベママ島地域太陽光発電機整備計画
キリバス栄養管理センター・母乳授乳啓発ビデオ製作支援計画

 



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