(1) 1980年に英・仏共同統治下より独立した。1991年の総選挙以降、独立以来の英寄りの政権に替わって、仏寄りの穏健諸党連合(UMP)が他党と連立して政権に就いていたが、95年11月の総選挙後は首相が目まぐるしく交代し、98年3月に、総選挙を経てカルポカス・ヴァヌアアク党党首が政権に就いた。
(2) ヴァヌアツは、歴史的な関係から英仏との関係が強く、様々な面で両国の影響力が大きい。外交面では、非同盟主義の推進、南太平洋諸国との連携強化、ニュー・カレドニア島に見られる各地独立運動の支援、反核政策の推進等を基調としている。独立以来、主要西側諸国に加え、中国、キューバ、リビア、イスラエル等と多角的に外交関係を開設している。
(3) 経済面では、経済的自立、人的資源開発、国内天然資源の効果的開発等を目的とした第三次国家開発計画(92~96年)を導入し、社会・経済開発に取り組んできた。しかし、農林水産業等第一次産業、各種基盤インフラ等いずれの分野をとっても未だ開発が不十分であるため、外国援助に対する期待も大きい。ADBの協力を得て始まったCRP(包括的改革計画)の下、投資誘致、輸出促進、小規模企業の育成、農村部の経済活動の奨励等を通じ、民間セクター活性化を図っている。主要産業は農業と観光であり、農産品は輸出の大半、GDPの約1.5を占め、コプラの輸出が年々増加している。牛肉、木材、ココア、カボチャが主要輸出品であるが、輸出額は輸入額の約25%(96年)にとどまり多額の貿易赤字を抱えている。一方、サービス産業はGDPの約2.3を占め、中でも観光は重要な外貨収入源である。
(4) 我が国との関係では、81年1月に外交関係を設立した後、95年6月にコーマン首相、97年10月にヴォオール首相(日・SPF首脳会議出席)が訪日する等近年要人の交流が活
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 157 | 169 | 173 | 177 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 167 | 202 | 224 | 238 |
一人当たり(ドル) | 1,060 | 1,200 | 1,290 | 1,340 | |
経常収支(百万ドル) | -6.18 | -18.25 | - | - | |
財政収支(百万ヴァツ) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | 100.0 | 122.8 | - | - | |
DSR(%) | 2.1 | 1.5 | 1.4 | 1.5 | |
対外債務残高(百万ドル) | 40.2 | 48.2 | 47.1 | 47.9 | |
為替レート(年平均、164ドル=ヴァツ) | 117.06 | 112.11 | 111.72 | 115.87 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千㎞2) | 12.2 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
- | 67(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 36x(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率 (%) |
- | - | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
- | - | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | - | - | 森林面積(1000km2) | 9 | - |
中等教育 | - | - |
発化している。貿易面でも牛肉の輸入額が増加する等徐々に緊密化しつつある。両国間の対話を促進するため、我が国は96年6月に長谷川前駐豪大使を、98年7月には堀元駐フィジー大使を団長とする政策対話ミッションをそれぞれヴァヌアツに派遣した。
LLDCであるヴァヌアツは、第一次産業、各種基盤インフラ等のいずれの分野をとっても開発余地が大きく、両国関係の緊密化に伴い、我が国への期待感も毎年高まりを見せており、無償資金協力及び技術協力を実施してきている。
無償資金協力では、運輸・電力等のインフラ整備や医療機材整備等のBHN分野に対する協力を行っている。97年度には「エファテ島道路改良計画(1期)」として、首都ポートヴィラの位置するエファテ島の道路舗装を行うとともに、道路維持管理機材の供与を行った。また、初めての文化無償案件として、ポートヴィラのマラポア・カレッジに対し理科実験機材を供与した。
技術協力では、同国が周辺諸国の中では比較的人口も多く、かつその約半数が若年層であるという事情から、教育・訓練等の人造り分野を中心に協力を実施してきている。また、太陽光発電を利用した地方電化についても、技術移転を図っている。
99年3月には、プロジェクト確認調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を行うとともに、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を実施した。
(1)我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈 与 | 政府貸付 | 合 計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
6.53(-) 10.32(-) 0.17(-) 1.06(-) 2.16(-) |
5.08(-) 2.62(-) 2.14(-) 1.86(-) 1.68(-) |
11.61(-) 12.94(-) 2.31(-) 2.91(-) 3.84(-) |
- - - - - |
-0.06(-) -0.12(-) -0.10(-) -0.09(-) -0.09(-) |
11.56(100) 12.81(100) 2.21(100) 2.82(100) 3.75(100) |
累計 | 43.54(66) | 21.37(33) | 64.90(99) | 1.22 | 0.76(1) | 65.66(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
DAC諸国、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合 計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
12.8 2.2 2.8 |
39.6 26.6 23.4 |
国際機関、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合 計 | ||||||||||
95 |
|
|
|
|
|
0.3 0.0 0.1 |
6.2 4.4 3.8 |
(3)年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 | ||
90年度 までの 累計 |
なし |
34.74億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm) |
5.96億円
|
||
91 |
なし |
0.04億円 草の根無償(3件) (0.04) |
1.48億円
|
||
92 |
なし |
0.06億円 草の根無償(1件) (0.06) |
1.19億円
|
||
93 |
なし |
9.79億円 サント島サラカタ川水力発電所建設計画(1/2期) (9.79) |
1.48億円
|
||
94 |
なし |
7.59億円 国立病院機材整備計画 (5.00) |
4.94億円
|
||
95 |
なし |
1.44億円 ごみ処理機材改善計画 (1.44) |
2.27億円
|
||
96 |
なし |
0.05億円 草の根無償(2件) (0.05) |
2.07億円
|
||
97 |
なし |
4.45億円 エファテ島道路改良計画(1/2期) (4.22) |
2.31億円
|
||
98 |
なし |
4.14億円 エファテ島道路改良計画(詳細設計・2/2) (0.08) |
2.12億円
|
||
98年度 までの 累計 |
なし |
62.30億円 |
23.84億円
|
(注) |
1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 | |
3. | 81年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 | |
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm) |
(参考)98年度実施草の根無償資金協力案件 |
案 件 名 |
マレクラ島ワララノ地区給水状況改善計画 |