(1)1986年よりバラゲル大統領が政権を担当してきたが、96年6月に実施された大統領選挙でフェルナンデス候補(ドミニカ解放党)が選出され、同年8月に新政権が発足した。
(2)外交面では、対米協調を基軸とし中南米諸国及び西欧諸国との関係を重視している。フェルナンデス大統領は、カリブ・中米諸国及び南米地域に対し、地域経済統合等への参加を求めるなど積極的な外交を展開している。
(3)経済面では、基本的に農業、鉱業、軽工業及び観光業に依存し、農林水産業がGDPの約15%を占めている。主要な農産品は、砂糖、コーヒー、カカオ、タバコであり、主要な鉱産品はフェロニッケル、金、銀である。但し、近年は、観光業の比重が上昇している。
(4)92年以降、経済成長は順調に推移し、96年は中南米随一の7.5%の成長率を達成し、インフレも約4.0%に収束した。98年は、9月にハリケーン・ジョージにより大規模な被害を受けたが、7.0%の経済成長を達成している。輸入依存度が高く(米国からの輸入が約6割を占める)、貿易赤字が定着している。これは観光業、フリーゾーン等の貿易外収支及び約100万人の米国に滞在する同国人より送金される移転収支により補われているものの、経常収支も恒常的に若干の赤字となっている。対外債務残高は近年減少傾向にあるが、約50億ドルとなっている。
(5)現在の移住者・日系人数は約800名である。貿易の規模は小さく、98年実績で我が国の輸出は385億円、輸入は35億円である。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | - | 7,822 | 7,964 | 8,107 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | - | 11,390 | 12,765 | 14,148 |
一人当たり(ドル) | - | 1,460 | 1,600 | 1,750 | |
経常収支(百万ドル) | -279.6 | -101.1 | -110.1 | - | |
財政収支(ペソ) | 367.3 | 1,720.3 | 540.6 | 2,038.0 | |
消費者物価指数 | 100.0 | 216.6 | 228.3 | 247.4 | |
DSR(%) | 10.4 | 6.3 | 6.3 | 6.2 | |
対外債務残高(百万ドル) | 4,372 | 4,448 | 4,332 | 4,239 | |
為替ルート(年平均、1USドル=ペソ) | 8.525 | 13.597 | 13.775 | 14.265 | |
分類(DAC/国連) | 低中所得国/- | ||||
面積(千㎞2) | 48.4 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
67 | 71(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
61 | 40(97年) | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | 19.9(89年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
78 | 47(97年) | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
4.2(89年) | 4.2(89年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | 110(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 17 | 18(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
50(80-90年平均) | 64(90-98年平均) | |
初等教育純就学率 (%) |
- | 81(96年) | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
63(88-90年平均) | 73(96年) | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | 49 | 50(96年) | 森林面積(1000km2) | 11 | 16(95年) |
中等教育 | - | 57(96年) |
(1)ドミニカ共和国は安定した民主主義国家であり、カリブ地域の平和と安定に重要な位置を占めること、構造調整政策により国内経済立て直しに堅実に取り組んでいること等を考慮し援助を実施している。99年6月には、前年のハリケーン・ジョージの被害を勘案し、ドミニカ共和国政府の要請に基づき総額約29億円(円借款約18億円、民間債務約11億円)にのぼる債務救済措置を講じた。
(2)有償資金協力では、80年代に通信、農業開発、水力発電などの案件を行い、85年度、92年度に債務繰延べ、93年度には「アグリポ地域農業開発計画(II)」に対し円借款を供与している。
無償資金協力については、医療・保健、教育、農業分野等における一般プロジェクト無償のほか、食糧増産援助、文化無償、草の根無償等を供与している。開発調査については農業分野で実施している。
また、99年4月に経済協力政策協議調査団を派遣している。技術協力では、農業、保健・医療などの分野を中心に専門家派遣、研修員受入れ等の協力を行っており、青年海外協力隊も派遣している。
(1)我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈 与 | 政府貸付 | 合 計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
5.97(-) 15.31(27) 14.00(-) 13.70(-) 10.63(-) |
11.10(-) 12.95(23) 9.93(-) 8.63(-) 8.35(-) |
17.07(-) 28.26(50) 23.93(-) 22.33(-) 18.98(-) |
1.37 35.53 3.05 1.54 3.22 |
-6.64(-) 28.35(50) -3.89(-) -4.99(-) -0.71(-) |
10.42(100) 56.61(100) 20.04(100) 17.34(100) 18.27(100) |
累計 | 106.55(36) | 110.35(37) | 216.90(72) | 123.83 | 83.05(28) | 299.95(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
国際機関、ODANET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合 計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
56.6 20.0 17.3 |
81.2 57.3 31.3 |
DAC諸国、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合 計 | ||||||||||
95 |
|
|
|
|
|
1.8 0.5 2.7 |
40.5 44.1 44.4 |
(3)年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 | ||
90年度 までの 累計 |
229.87億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
39.05億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
58.55億円
|
||
91 |
なし |
12.77億円 教育番組拡充機材整備計画(1/2期) (5.27)沿岸漁業開発計画(97)(3.88) コロンブス記念灯台博物館に対する歴史教育機材 (0.47) 食糧増産援助 (3.00) 草の根無償(5件) (0.15) |
10.06億円
|
||
92 | 55.67億円 債務繰延べ (55.67) |
10.53億円 教育番組拡充機材整備計画 (7.40)食糧増産援助(92)(3.00) 草の根無償(6件) (0.13) |
9.80億円
|
||
93 | 90.13億円 アグリポ地域農業開発計画(2) (90.13) |
9.07億円 コンスタンサ畑地灌漑計画 (1/2期)(95) (5.46)食糧増産援助 (3.00) 文部省芸術局付属劇場に対する照明・音響機材 (0.47) 草の根無償(4件) (0.14) |
9.11億円
|
||
94 |
なし |
7.67億円 コンスタンサ畑地灌漑計画(2/2期-1)(95) (0.32)西部三県給水計画(1/2期) (3.91) 食糧増産援助 (3.00) 国営ラジオ・テレビ局に対する教育・文化番組ソフト (0.24) 草の根無償(5件) (0.20) |
12.12億円
|
||
95 | なし | 17.06億円 ダハボン地区農村開発計画(詳細設計) (0.30)サント・ドミンゴ市ごみ処理計 (3.21) 西部三県給水計画(国債1/2期) (1.21) コンスタンサ畑地灌漑計画(国債2/2期)(95) (9.46) 食糧増産援助 (2.00) 国立交響楽団に対する楽器 (0.36) 草の根無償(12件) (0.52) |
11.72億円
|
||
96 | なし | 15.46億円 西部三県給水計画(2/2期の国債2/2) (9.83)ダハボン地区農村開発計画(国債1/2) (1.18) 初等学校建設計画(詳細設計) (0.38) 食糧増産援助 (3.00) 国立図書館機材供与 (0.50) 草の根無償(10件) (0.57) |
10.47億円
|
||
97 | なし | 10.44億円 ダハボン地区農村開発計画(国債2/2期) (4.97)初等教育施設拡充計画(国債1/2期) (1.41) エルシリア・ペピン文化センター音響・照明・視聴覚機材供与 (0.50) 草の根無償(9件) (0.56) 食糧増産援助 (3.00) |
10.16億円
|
||
98 |
なし |
38.48億円 ハラバコア灌漑整備計画 (9.58)初等教育施設拡充計画(国債2/2) (11.21) 食糧増産援助 (4.00) 食糧増産援助 (2.40) 草の根無償(11件) (0.66) 日本・ドミニカ共和国友好医療教育センター建設計画 (10.16) サント・ドミンゴ自治大学LL機材 (0.48) |
11.30億円
|
||
98年度 までの 累計 |
375.67億円 | 160.54億円 | 143.28億円
|
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.79年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)
(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案 件 名 | 協 力 期 間 |
胡椒開発 胡椒開発計画(II) 消化器疾患研究・臨床 山間傾斜地農業開発 |
87.7~92.7 |
(参考2)98年度実施開発調査案件
案 件 名 |
ジャケデルスール川流域農業開発計画調査(第2年次) |
(参考3)98年度実施草の根無償資金協力案件
案 件 名 |
サン・イグナシオ・デ・ロヨラ農業学校機材整備計画 東部地域幼児教育センター修復計画 「ラ・フロリダ」地区ラ・サーレ小学校拡張計画 山火事管理防止計画 サンティアゴ地域住民教育、養成センター建設計画 ラジオ・サンタ・マリア教育番組放送局インフラ整備計画 聖心女子会職業訓練所整備支援計画 パードレ・アルトゥーロ学園校舎修復計画 パードレ・アブレウ子供の家インフラ改善計画 ダハボン地域教会医療診療所インフラ整備計画 ビジャ・エスペランサ養護施設環境改善計画 |