ODAとは? ODA予算・実績

国別援助実績
1991年~1998年の実績
[14] スリナム

 
1.概 説

 (1) 1980年のクーデター以降、軍事評議会が事実上政権を握っていたが、新憲法の下で行われた総選挙の結果、88年に7年ぶりに民主政治が復活した。96年5月に総選挙、引き続き同年8~9月に大統領選挙が行われ、軍の支持する国家民主党(NDP)候補のウェイデンボスが大統領に就任した。新政権は民主主義、人権保障、市場経済体制を堅持するとの従前の基本政策を踏襲している。99年5月にはインフレなど現政権への不満から首都パラマリボで抗議行動が発生したが、6月には終息し、大統領は総選挙の繰り上げ実施を発表した。(2000年5月に実施予定)
 (2) 外交面では、旧宗主国オランダとの関係が中心となっている。必然的にオランダからの経済援助が占める割合が大きいが、近年オランダからは、援助効果が見られないとの消極的評価に加え、97年8月には国際刑事警察機構(ICPO)に対し麻薬取引容疑でボータッセNDP党首の国際指名手配要請があり、蘭・スリナム関係は悪化した。このため、現政権はオランダ一辺倒の外交を脱却し、多角的外交を推進している。
 (3) 経済面では、鉱工業(ボーキサイト、アルミニウム)を主要産業としており、ボーキサイト産業は輸出額の7割を占めている。石油と金も今後は有望視されており、政府は天然資源の有効利用で一人当たりGDPを2001年までに2,000ドル(97年1,320ドル)を目指すとしている。なお、97年には初の石油精製所が完成し、これまで野放しに密掘されていた金も政府が規制に乗り出している。
 スリナムは主要外貨獲得源であるアルミナの輸出がふるわず慢性的な外貨不足にあり、基幹産業に必要な原材料、機械部品の輸入停滞、諸物資の欠乏現象が顕著で、インフレが進み国民生活に大きな影響を与えている。他方、95年後半より、物価の安定、通貨価値の回復が見られ下り坂をたどっていた経済に明るい兆しが見られており、GDP成長率

 (参考1)主要経済指標等

90年 95年 96年 97年
人口(千人) 447 410 432 412
名目GNP 総額(百万ドル) 1,365 360 433 544
一人当たり(ドル) 3,050 880 1,000 1,320
経常収支(百万ドル) 66.8 72.9
財政収支(百万スリナム・ギルダー)
消費者物価指数
DSR(%)        
対外債務残高(百万ドル)
為替レート(年平均、164ドル=スリナム・ギルダー) 1.78 442.23 401.26 401.00
分類(DAC/国連) 低中所得国/-
面積(千㎞2 156.0

 (参考2)主要社会開発指標

90年 最新年 90年 最新年
出生時の平均余命
(年)
71(97年) 乳児死亡率
(1000人当たり人数)
所得が1ドル/日以下
の人口割合(%)
5歳未満児死亡率
(1000人当たり人数)
下位20%の所得又は
消費割合(%)
妊産婦死亡率
(10万人当たり人数)
成人非識字率(%) -7(95年) 避妊法普及率
(15-49歳女性/%)
初等教育純就学率
(%)
安全な水を享受しうる
人口割合(%)
女子生徒比率
(%)
初等教育 森林面積(1000km
2
148
中等教育

も96年には3.0%、97年には5.0%と堅調に伸びている。
 (4) 我が国との関係は、93年より開始された日・カリブ協議(カリブ共同体との政策対話)等を通じ強化されつつある。貿易関係では、スリナムからエビを輸入しており、スリナム沖合のエビ漁場では我が国の漁船が操業している


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 (1) スリナムは、水産分野で我が国と緊密な関係にあること等を考慮し、特に水産分野を中心とする協力を行っている。
 (2) 無償資金協力については、91年に小規模漁業近代化計画、95年に漁業機材整備計画、96年にはパラマリボ大学病院医療機材整備計画を実施している。技術協力に関しては、漁業専門家派遣のほか、行政、農業分野等における研修員受入れを行っている。


3.政府開発援助実績

 (1)我が国のODA実績

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 贈   与 政府貸付 合 計
無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額
94
95
96
97
98
-(-)
-(-)
0.16(-)
2.55(-)
7.33(95)
0.86(-)
0.68(-)
0.49(-)
0.43(-)
0.35(5)
0.86(-)
0.68(-)
0.65(-)
2.98(-)
7.68(100)




-0.09(-)
-0.10(-)
-0.08(-)
-0.07(-)
-(-)
0.77(100)
0.59(100)
0.57(100)
2.91(100)
7.68(100)
累計 19.58(-) 4.14(-) 23.74(-) 2.45 -2.70(-) 21.05(100)

 (注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。

 (2)DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 うち日本 合 計
95
96
97
オランダ
オランダ
オランダ

61.6
96.2
64.9

米国
ベルギー
日本

5.0
3.3
2.9

ベルギー
米国
ベルギー

2.9
2.0
2.5

日本
日本
カナダ

0.6
0.6
0.2

ドイツ
カナダ
ドイツ

0.1
0.2
0.1

0.6
0.6
2.9
70.3
102.3
69.7
国際機関、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 その他 合 計

95
96
97

CEC
CEC
CEC

5.1
5.2
5.2

UNTA
WFP
IDB

0.6
1.9
0.8

IFAD
IDB
UNICEF

0.5
0.6
0.5

UNDP
UNTA
UNTA

0.1
0.6
0.4

UNFPA
UNICEF
UNDP

0.1
0.2
0.4

0.4
0.3
0.2
6.8
8.7
7.4

 

 (3)年度別・形態別実績

(単位:億円)

年度 有償資金協力 無償資金協力 技術協力
90年度
までの
累計

なし

8.88億円

(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm))

1.97億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与

7人
6人
15人
2百万円

91

なし

5.02億円

コモウェイナ地区小規模漁業近
代化計画(2/2期)(97)(5.02)

なし
92 なし なし なし
93 なし なし なし
94 なし なし 0.05億円
研修員受入

2人

95 なし

2.94億円

小規模漁業機材整備計画(2.94)

0.29億円
研修員受入
調査団派遣

2人
4人

96 なし

9.93億円

パラマリボ大学病院医療機材整
備計画(9.93)

0.52億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与

4人
1人
11人
0.7百万円

97 なし なし 0.42億円
研修員受入
機材供与

7人
0.3百万円

98 なし なし 0.35億円
研修員受入

6人

98年度
までの
累計
なし

26.77億円

3.59億円
研修員受入
専門家派遣

28人
7人

(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
   2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
   3.75年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
    (http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)

 



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