(1) 93年2月、新憲法下で大統領選挙が実施された結果、ザフィー大統領が選出された。同年6月に国会議員選挙が実施され、民主化プロセスを完了したものの、国内で大統領辞任及び内閣改造要求が強まり、96年5月には内閣不信任案が可決され、同年9月には同大統領の弾劾が決定された。同年11月~12月の大統領選挙の結果、ラチラカ元大統領が返り咲き、97年2月には新内閣が成立した。98年3月には憲法改正による国民投票、同年5月には国民議会選挙が実施され、7月にはアンドリアナリヴ首相を中心とした新内閣が成立した。
(2) 外交面では、インド洋における仏語圏の拠点として、仏との友好関係強化を主眼としつつ、経済開発を進める観点から先進諸国との関係強化を図っている。
(3) 経済面では、労働人口の80%、GDPの約30%を農業が占めている。91年以降の内政混乱により経済は低迷し、94年は二度にわたり、今世紀最大級といわれる大型サイクロンの被害を受け、政府は、消費物資の輸入禁止等、IMF・世銀の支援する構造調整に逆行する措置を取った。その後、自由変動相場制の導入等の自由化政策を強化し、96年11月、IMF・世銀との間で構造調整に関し合意が成立した。これによりマクロ経済はかなり安定したが、今後は、財政・金融面の改善、国内生産及び輸出の増進、投資促進等が課題である。
(4) 我が国は、マダガスカルからエビ、クロム鉱、バニラ等を輸入し(98年輸入額3,057万ドル)、同国に貨物・乗用自動車等を輸出している(同輸出額3,304万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 11,620 | 13,651 | 13,705 | 14,148 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 2,710 | 3,178 | 3,428 | 3,575 |
一人当たり(ドル) | 230 | 230 | 250 | 250 | |
経常収支(百万ドル) | -265 | -276 | -291 | - | |
財政収支(十億マダガスカルフラン) | -39.8 | -212.8 | -217.5 | - | |
消費者物価指数(90年=100) | 100.0 | 297.6 | 350.7 | 377.0 | |
DSR(%) | 45.5 | 7.6 | 10.2 | 27.0 | |
対外債務残高(百万ドル) | 3,701 | 4,322 | 4,145 | 4,105 | |
為替レート(年平均、1USドル=マダガスカルフラン) | 1,494.1 | 4,265.6 | 4,061.3 | 5,090.9 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千㎞2) | 581.5 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
55 | 58(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
115 | 94(97年) | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | 72.3(93年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
176 | 158(97年) | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
5.8(93年) | 5.1(93年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
570(80-90年平均) | 500(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 20 | 54(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | 19(90-98年平均) | |
初等教育純就学率 (%) |
64 | 61(96年) | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
22(88-90年平均) | 16(96年) | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | 49 | 49(96年) | 森林面積(1000km2) | 158 | 151(95年) |
中等教育 | 50 | 33(96年) |
(1) 我が国は有償資金協力、無償資金協力及び技術協力の各形態により援助を実施してきたが、近年は無償資金協力の比重が高まっている。97年12月には、無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施し、基礎生活分野、地方開発に資するインフラ分野、環境分野及び人造り分野を重点分野として援助を実施することを確認した。今後とも、同国の政情、経済改革努力等に留意しつつ、無償資金協力及び技術協力を中心に援助実施を検討していく方針である。
(2) 有償資金協力については、水力発電及び通信施設プロジェクト等に対し円借款を供与したが、同国の債務問題の発生により、近年は債務繰延べを行うに留まっている。
無償資金協力については、食糧援助・食糧増産援助に加え、水供給分野等の基礎生活分野を中心に、水産、経済インフラ分野についても積極的に援助を実施している。また、同国の構造調整努力を支援するため、98年度までに合計110億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。
技術協力については、研修員受入、専門家派遣、開発調査を中心に、農林水産業、運輸・交通、基礎生活等の分野において実施している。
(1)我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈 与 | 政府貸付 | 合 計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
27.49(80) 23.61(-) 41.74(83) 24.95(85) 43.29(83) |
6.32(18) 6.40(-) 5.77(12) 4.14(14) 6.34(12) |
33.81(98) 30.01(-) 47.52(95) 29.09(99) 49.63(96) |
3.18 - 4.41 1.11 2.63 |
0.52(2) -2.89(-) 2.54(5) 0.37(1) 2.34(5) |
34.33(100) 27.13(100) 50.06(100) 29.46(100) 51.96(100) |
累計 | 357.60(68) | 56.35(11) | 413.99(79) | 171.21 | 109.52(21) | 523.51(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
国際機関、ODANET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合 計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
27.1 50.1 29.5 |
194.9 229.8 549.0 |
DAC諸国、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合 計 | ||||||||||
95 |
|
|
|
|
|
-4.8 10.0 10.5 |
108.3 134.7 288.7 |
(3)年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 | ||
90年度 までの 累計 |
294.12億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
226.54億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
32.17億円
|
||
91 |
12.84億円 債務繰延べ (12.84) |
12.22億円 南部生活用水供給計画(2/2期) (7.59)食糧援助 (1.50) 食糧増産援助 (3.00) 草の根無償(3件) (0.13) |
1.41億円
|
||
92 | なし | 45.95億円 南西部地下水開発計画(1/2期) (6.03) |
2.12億円
|
||
93 | なし | 24.44億円 南西部地下水開発計画(2/2期-1) (3.22) |
6.28億円
|
||
94 | なし |
25.61億円
トリアリ地方病院センター医療機材整備計画 (3.42) |
6.14億円
|
||
95 | なし |
36.43億円
国道二号線橋梁改善計画(D/D期) (0.46) |
6.48億円
|
||
96 | なし | 28.50億円
職業訓練センター強化計画 (3.00) |
3.22億円
|
||
97 | なし | 31.30億円 国道二号線三橋梁改善計画(国債23期) (492)南部地方給水計画(33期) (767) 小学校建設計画(12期) (1101) 草の根無償(15件) (070) 食糧援助 (250) 食糧増産援助 (450) |
4.85億円
|
||
98 |
104.05億円 |
16.34億円 国道二号線三橋梁改善計画(国債3/3) (1.28)小学校建設計画(2/2期) (8.97) 食糧援助 (2.00) 食糧増産援助 (3.20) 草の根無償(17件) (0.89) |
6.84億円
|
||
98年度 までの 累計 |
411.01億円 |
447.33億円 |
69.51億円
|
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.72年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)
(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案 件 名 | 協力期間 |
畜産開発(85) 北西部養殖振興計画 |
77.11~83.11 |
(参考2)98年度実施開発調査案件
案 件 名 |
首都圏周辺地理情報システムデータベース作成調査(第1年次) 首都圏周辺地理情報システムデータベース作成調査(技術評価審査) 首都圏周辺地理情報システムデータベース作成事前調査(SPW協議) |
(参考3)98年度実施草の根無償資金協力案件
案 件 名 |
ザラツォア診療所建設計画 アンボヒトラコンゴナ熱帯降雨林保護のための流域管理計画 ディエゴ地域教育環境改善計画 ソアビナ・アツィムンドラノ地方訓練センター建設計画 トリアラ域教育環境改善計画 フィアナランツォア市内小学校リハビリ計画 アンチラベ市内小学校リハビリ計画 67IB保健・社会教育センター建設計画 ラヌマインティ地区住民参加により林業プロジェクト 農工具生産性向上のための支援計画 アンボヒトリマンジャカ中等学校リハビリ計画 性病・エイズのための診療所支援計画 自立運営のための医薬品補完計画 アナララバ中等学校リハビリ計画 マンドロセザ地区保健・教育センター建設計画 ファンドリアナ住民参加による植林計画 アンボヒトリマンジャカ高等学校機材供与計画 |
プロジェクト所在図