(1) 89年以降、民主化の流れの中で、大統領選挙、国民議会選挙等が実施されたが、95年1月の選挙の結果過半数を占めた野党側が成立させた内閣と大統領の対立が顕在化した。こうした中、96年1月マイナサラ国軍参謀長が民主化プロセスのやり直し等を求めてクーデターを起こし、直ちに民政移管の意向を表明し、同年5月国民投票により新憲法が採択された。新憲法に基づき、同年7月の大統領選挙によりマイナサラ大統領が選出され、同年11月には国民議会選挙が実施された。しかし、99年4月に同大統領が暗殺されたことを受け、ワンケ少佐を議長とする国家和解評議会が設立され、同少佐が国家元首となった。ワンケ政権は2000年1月の民政政権誕生に向け、民政移管プロセスを発表しており、同プロセスの実施が課題となっている。
国内最大の民族問題であるトアレグ自治問題については、フランス等の介入もあり、95年4月に最終的な和平合意が成立し、武装解除に向け顕著な進展がみられている。
(2) 外交面では、非同盟中立を標榜しつつ、経済困難を克服するため、特に旧宗主国フランスをはじめとする先進諸国との関係緊密化に努めるとともに、近隣諸国との友好関係の維持を図っている。
(3) 経済面では、伝統的農牧業と70年代半ばより急成長したウラン産業(95年確認埋蔵量約9万トン、94年の年間産出量は2,975トンで世界第2位)が中心である。87年以降、ウラン市況の急落、累積債務、天候不良による農作物の生産の落ち込み等により、経済は
低迷し、深刻な経済困難に陥っている。96年7月より世銀・IMF支援の下で開始された構造調整政策の着実な実施が求められている。
(4) 我が国は、ニジェールから木材等を輸入し(98年輸入額5万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額425万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 7,666 | 9,028 | 9,335 | 9,799 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 2,365 | 1,961 | 1,879 | 1,962 |
一人当たり(ドル) | 310 | 220 | 200 | 200 | |
経常収支(百万ドル) | -235.9 | -151.7 | - | - | |
財政収支(百万CFAフラン) | - | - | - | - | |
消費者物価指数(87年=100) | 96.4 | 126.6 | 132.7 | - | |
DSR(%) | 17.4 | 16.7 | 16.3 | 19.5 | |
対外債務残高(百万ドル) | 1,726 | 1,586 | 1,536 | 1,579 | |
為替レート(年平均、1USドル=CFAフラン) | 272.26 | 499.15 | 511.55 | 583.67 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千㎞2) | 1266.7 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
46 | 48(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
130 | 118(97年) | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | 61.5(92年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
221 | - | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
7.5(92年) | 2.6(95年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
700(80-90年平均) | 590(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 72 | 86(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
1(80-90年平均) | 8(90-98年平均) | |
初等教育純就学率 (%) |
25 | 25(96年) | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
61(88-90年平均) | 48(96年) | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | 36 | 38(96年) | 森林面積(1000km2) | 24 | 26(95年) |
中等教育 | 30 | 35(96年) |
我が国は、96年1月のクーデター以降、原則として新規の援助を見合わせていたが、民主化プロセスの進展等に鑑み、97年1月以降、即効性の高い食糧援助や、民主化の定着に資する援助の実施を検討し、これまで、食糧援助・食糧増産援助や、農業、水供給(上下水道)分野といった基礎生活分野を中心とした無償資金協力、農業分野等における青年海外協力隊派遣、研修員受入、開発調査を中心とした技術協力を実施してきた。また、同国の構造調整努力を支援するため、これまで、87年度に「運輸セクター計画」に対し32億円の円借款を供与したほか、ノン・プロジェクト無償資金協力を98年度までに合計45億円を供与した。
99年4月のクーデター発生に対し、同国に対する経済協力に関しては、ワンケ新政権が民政移管への確固たる意思を表明し、また、ニジェールが最貧国の状態にあり国民に直接裨益する援助を必要としていること等に鑑み、今後の同国の民主化プロセスの進捗状況、治安状況等に留意しつつ、実施及び実施の検討を進めることとしている。
(1) 我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
DAC諸国、ODANET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 |
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 |
フランス 73.4 フランス 86.8 フランス 94.6 |
米国 31.0 ドイツ 18.3 ドイツ 17.4 |
ドイツ 21.8 米国 12.0 米国 16.0 |
日本 20.0 オランダ 9.3 日本 13.6 |
カナダ 8.7 ベルギー 7.2 イタリア 11.0 |
20.0 4.8 13.6 |
193.9 163.2 181.2 |
国際機関、ODANET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 40.7 CEC 38.7 IDA 44.9 |
IDA 20.9 IDA 28.7 CEC 40.5 |
WFP 8.1 WFP 6.7 AfDF 17.9 |
UNDP 6.1 UNDP 5.4 IMF 17.3 |
UNICEF 4.1 UNICEF 5.0 WFP 8.2 |
0.4 11.2 20.6 |
80.3 95.6 149.4 |
(3) 年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 |
技術協力 |
||
90年度 までの 累計 |
32.00億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
273.22億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
33.22億円
|
||
91 |
なし |
14.56億円 ウアラム農村復興計画(2/3期)(96) (4.41) |
7.36億円
|
||
92 | なし |
8.67億円 ウアラム農村復興計画(3/3期)(96) (3.39) |
7.91億円
|
||
93 |
なし |
24.45億円 ヤンタラ浄水場拡充計画(2/2期-1) (2.29) |
9.86億円
|
||
94 | なし
|
16.60億円 ヤンタラ浄水場拡充計画(2/2期-2) (5.48) |
9.49億円
|
||
95 | なし |
3.23億円 第二次ウアラム農村復興計画 |
7.63億円
|
||
96 |
1.06億円 債務繰延 (1.06) |
20.76億円 第二次ウアラム農村復興計画 |
4.35億円
|
||
97 |
0.94億円
債務繰延 (0.94) |
19.72億円 第二次ウアラム農村復興計画 |
5.42億円
|
||
98 |
なし |
12.97億円 ギニアウォーム撲滅対策飲料水 |
6.79億円
|
||
98年度 までの 累計 |
34.00億円 |
404.18億円 |
92.01億円
|
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.76年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)
(参考1)98年度実施開発調査案件
案 件 名 |
ティラベリ県砂漠化防止計画調査(第2年次) |
(参考2)98年度実施草の根無償資金協力案件
案 件 名 |
女性教育促進センター拡充計画 |