ODAとは? ODA予算・実績

国別援助実績
1991年~1998年の実績
[31]ナイジェリア


1.概 説

 (1) ナイジェリアは、三大民族間の対立等を背景として、1960年の独立以来内戦や度重なる軍事クーデター等を経験してきた。93年11月に政権を奪取したアバチャ軍事政権は、民主的機構(憲法、議会等)を廃止・解散するとともに政治活動を禁止し、反政府勢力の指導者多数を投獄・処刑したが、これらの民主化逆行・人権軽視の措置は国際社会の強い反発を招いた。
 その後、98年6月のアバチャ元首急死に伴い、新元首に就任したアブバカール国軍参謀長は、重要政治犯の順次釈放に努め、7月には、民政移管の日程を発表し、政党を自由化するとともに、全政治犯の釈放を約した。上記の民政移管プロセスの下で、99年2月には連邦議会選挙及び大統領選挙が行われ、大統領選挙で当選した、オバサンジョ元元首は、同年5月に大統領に就任し、民政移管が完了した。
 (2) 外交面では、非同盟中立を標傍している。アフリカにおける大国を自任するアフリカ外交を重視し、アフリカ統一機構(OAU)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)等で指導的立場にある。シエラ・レオーネでの97年5月の軍事クーデターに対しては、カバ民主政権の即時復帰を求めて介入する等、西アフリカ安定化のための地域的イニシアティブを主導している。
 (3) アフリカ最大の産油量(97年平均日産約228万バーレル)を誇るOPEC第5位の産油国であり、石油がGDPの約36.5%、輸出収入の約95%を占める(97年IMF)。アバチャ政権は、95年に規制緩和路線に転換し96年末に「VISION2010」と称する包括的な経済・社会・政治プログラムを開始した。更に、アブバカール政権において石油製品価格の自由化(実質値上げ)、二重為替制度の廃止等の改革を実行、99年2月には世銀・IMFの協力を得て構造調整計画を導入し、今後は同計画の実施状況が注目される。また、対外債務

(参考1)主要経済指標等

90年 95年 96年 97年
人口(千人) 117,510 111,273 114,568 117,897
名目GNP 総額(百万ドル) 31,285 28,411 27,599 33,393
一人当たり(ドル) 270 260 240 280
経常収支(百万ドル) 4,988 -3,123 3,092
財政収支(百万ナイラ) -22,116 -6,753 37,049
消費者物価指数
DSR(%) 22.6 13.8 14.0 7.8
対外債務残高(百万ドル) 33,440 34,093 31,407 28,455
為替レート(年平均、1USドル=ナイラ) 8.038 21.895 21.884 21.886
分類(DAC/国連) 低所得国/-
面積(千㎞2 910.8

 

(参考2)主要社会開発指標

90年 最新年 90年 最新年
出生時の平均余命
(年)
52 52(97年) 乳児死亡率
(1000人当たり人数)
101 77(97年)
所得が1ドル/日以下
の人口割合(%)
31.1(92-93年) 5歳未満児死亡率
(1000人当たり人数)
167 122(97年)
下位20%の所得又は
消費割合(%)
5.1(92年) 4.0(92-93年) 妊産婦死亡率
(10万人当たり人数)
800(80-90年平均) 1,000(90-97年平均)
成人非識字率(%) 49 43(95年) 避妊法普及率
(15-49歳女性/%)
6(80-90年平均) 6(90-98年平均)
初等教育純就学率
(%)
安全な水を享受しうる
人口割合(%)
50(96年)
女子生徒比率
(%)
初等教育 43 44(96年) 森林面積(1000km2) 156 138(95年)
中等教育 43 21(96年)

 残高は97年末現在約270億ドル(ナイジェリアの発表、中央銀行)に達しており、債務削減も重要な課題となっている。
 (4) 我が国は、ナイジェリアから原油等を輸入し(98年輸入額8,622万ドル)、同国にバス、鉄鋼板等を輸出している(同輸出額2億2,925万ドル)。99年4月には就任直前のオバサンジョ大統領が来日し、99年5月には橋本前総理が同大統領就任式出席のためナイジェリアを訪問した。


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 (1) 我が国は、アバチャ軍事政権が、民主化への動きに逆行する措置をとったため、我が国はODA大綱を踏まえ、94年3月以降、原則として緊急・人道援助を除き新規の援助を停止していた。しかし、99年5月の民政移管完了を機に、それまでの新規援助原則停止の方針を見直すこととした。
 (2) なお、援助停止以前は、(1)アフリカ最大の人口を有する大国であり、OAUやECOWASで指導的立場にあること、(2)原油生産国であり、我が国と経済関係を中心に良好な関係にあること等から、農業の再建による食糧自給率の向上を目的とした食糧・農業分野に対する支援、地方住民のための飲料水確保等を目的とした水供給分野等の基礎生活分野に対する支援、及び、構造調整努力に対する支援を中心に援助を行ってきた。
 具体的には、有償資金協力については、81年度までに農業、運輸、エネルギー等の分野において供与を行ってきたが、その後は、同国の経済状況の悪化に伴い、債務繰延べを行っている。無償資金協力については、所得水準の低下により、86年度以降食糧増産援助、農業、水供給等基礎生活分野を中心に援助を拡充してきた。技術協力については、これまで保健・医療、農林水産業等の分野で、研修員受入、プロジェクト方式技術協力等を実施していた。
 また、同国の構造調整努力を支援するため、88年度に250億円の円借款の供与を行ったほか、92年度までに合計90億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。


3.政府開発援助実績


                                                  
(1) 我が国のODA実績

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 贈与 政府貸与 合計
無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額
94
95
96
97
98
6.72(-)
4.25(32)
-(-)
-(-)
-(-)
3.15(-)
2.71(20)
1.63(-)
0.64(100)
0.62(-)
9.87(-)
6.96(52)
1.63(-)
0.64(100)
0.62(-)

6.34


-19.25(-)
6.34(48)
-3.68(-)
-(-)
-11.47(-)
-9.39(100)
13.30(100)
-2.05(100)
0.64(100)
-10.85(100)
累計 144.44(30) 77.17(16) 221.61(46) 381.67 262.23(54) 483.83(100)

(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。

 

(2) DAC諸国・国際機関のODA実績(支出純額、単位:百万ドル)

DAC諸国、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 うち日本 合計
95
96
97
ドイツ 16.2
ドイツ 14.5
英国 14.2
フランス 15.6
英国 11.5
ドイツ 14.1
日本 13.3
フランス 6.1
米国 12.0
英国 11.2
米国 5.0
フランス 4.0
米国 5.0
デンマーク 1.9
アイルランド 1.6

13.3
-2.1
0.6

72.6
47.3
52.2

国際機関、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 その他 合計
95
96
97
IDA 84.9
IDA 89.2
IDA 81.6
AfDF 15.6
UNDP 25.0
UNDP 33.0
UNICEF 13.9
UNICEF 14.5
AfDF 16.7
UNDP 7.8
AfDF 7.3
UNICEF 13.2
UNFPA 4.9
UNFPA 2.7
IFAD 6.2
12.8
5.7
-0.5
139.9
144.
5150.2

(3) 年度別・形態別実績

(単位:億円)

年度 有償資金協力 無償資金協力 技術協力
90年度までの累計
709.21億円

内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)

121.46億円

内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)

69.47億円

研修員受入 631人
専門家派遣 204人
調査団派遣 282人
機材供与 929.9百万円
プロジェクト技協 4件
開発調査 6件

91 164.61億円

通信網拡充計画 (131.66)
債務繰延べ (9.98)
債務繰延べ (22.97)

19.34億円

ナイジャー州ギニアウォーム対策飲料水確保計画(2/2期)(94) (2.68)
連邦漁業専門学校施設改善計画(2/2期) (13.16)
食糧増産援助 (3.50)

5.50億円

研修員受入 41人
専門家派遣 8人
調査団派遣 28人
機材供与 56.5百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 1件

92 なし 45.41億円

北西部地域飲料水確保計画 (6.41)
ノンプロジェクト援助 (35.00)
食糧増産援助 (4.00)

10.08億円

研修員受入 43人
専門家派遣 4人
調査団派遣 54人
機材供与 56.8百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 1件

93 なし 4.00億円

食糧増産援助 (4.00)

4.98億円

研修員受入 30人
調査団派遣 18人
機材供与 64.1百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 1件

94 なし

 

なし

1.17億円

調査団派遣 9人
機材供与 0.8百万円
開発調査 1件

95 なし

 

なし

1.20億円

調査団派遣 5人
機材供与 60.2百万円

96 なし

 

なし

0.52億円

研修員受入 4人
調査団派遣 2人

97 なし

 

なし

0.33億円

研修員受入 4人
機材供与 26.0百万円

98 なし

 

0.86億円

緊急無償民主化支援(EAS経由) (0.48)
草の根無償(4件) (0.36)

0.47億円

研修員受入 7人
調査団派遣 5人
機材供与 4.0百万円

98年度 までの 累計 873.82億円 191.05億円

93.72億円

研修員受入 760人
専門家派遣 216人
調査団派遣 403人
機材供与 1,198.1百万円
プロジェクト技協 4件
開発調査 6件

(注) 1. 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度の実績については、96年度に閣議決定を行い、97年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2. 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3. 66年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm)

(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件

案   件   名 協力期間
ナイジェリア大学医学部
イフェ大学医学部
ジョス大学医学部(84)(88)(91)                                              
ローア・アナンブラ灌漑稲作
72.12~79.3
72.12~79.3
82.7~87.7
89.1~93.12

 (参考2)98年度実施草の根無償資金協力案件

案件名
北東部ナイジェリア・ギニア・ウォーム撲滅事業支援計画
北西部ナイジェリア・ギニア・ウォーム撲滅事業支援計画
南西部ナイジェリア・ギニア・ウォーム撲滅事業支援計画
南東部ナイジェリア・ギニア・ウォーム撲滅事業支援計画

 



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