(1) 90年以降民主化の動きが高まり、91年8月には国政上の実権がエヤデマ大統領から暫定政府のコフィゴー首相に移管されたが、同大統領を支持する軍の一部が首相襲撃未遂事件を起こす等、民主化プロセスの妨害が続いた。その後、94年2月の総選挙の結果、野党連合が過半数を占めたため、同年5月与党トーゴー人民連合は野党第二党のコジョー党首を首班とする連立新内閣を成立させて政権維持を図った。同内閣は民主化に積極姿勢を示し、政治的混乱期に生じた人権問題についても一応の進捗を見せた。98年6月の大統領選挙によりエヤデマ大統領が再選されたが、選挙結果に対し、野党側、EU諸国等がその不透明性を指摘しており、EU諸国を仲介に内政対話をすすめているが、まだ、不安定要因を抱えている。
(2) 外交面では、91年以降の民主化プロセスの行き詰まり及び人権問題のため、エヤデマ政権は国際的に非難され、主要援助国から人道援助を除く援助を停止されていたが、フランスは94年6月より支援を再開した。一方、エヤデマ大統領は西アフリカ域内における内戦等の平和的解決に積極的に努力している。
(3) 経済面では、農業がGDPの約40%、労働人口の約70%を占めている。カカオ、コーヒー及び綿花を生産し、これらが輸出収入の約30%を占めている。また、燐鉱石は輸出収入の約半分を占める重要な輸出産品である。
コジョー内閣の成立による民主化プロセスの漸進的進展、国内人権状況の改善等を受け、96年4月世銀・IMFとの間で構造調整計画の合意が成立し、94年以降経済成長は順調に回復している。
(4) 我が国は、トーゴーから実綿等を輸入し(98年輸入額6万ドル)、同国に自動車、綿織物等を輸出している(同輸出額2447万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 3,638 | 4,085 | 4,230 | 4,345 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 1,474 | 1,266 | 1,278 | 1,485 |
一人当たり(ドル) | 410 | 310 | 300 | 340 | |
経常収支(百万ドル) | -99.8 | - | - | - | |
財政収支(百万CFAフラン) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 11.9 | 4.5 | 8.4 | 8.1 | |
対外債務残高(百万ドル) | 1,275 | 1,464 | 1,479 | 1,339 | |
為替レート(年平均、1USドル=CFAフラン) | 272.26 | 499.15 | 511.55 | 583.67 | |
分類(DAC/国連) | 低所得国/- | ||||
面積(千㎞2) | 54.4 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
54 | 50(97年) |
乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
90 | 86(97年) | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
147 | 138(97年) | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
420(80-90年平均) | 640(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 57 | 48(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
12(80-90年平均) | - | |
初等教育純就学率 (%) |
72 | 85(96年) | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
71(88-90年平均) | 55(96年) | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | 39 | 41(96年) | 森林面積(1000km2) | 14 | 12(95年) |
中等教育 | 25 | - |
我が国は、これまで無償資金協力及び保健医療・工業分野等での研修員受入等の技術協力を中心に援助を実施しており、無償資金協力については、食糧援助、食糧増産援助、水供給等の基礎生活分野を中心に実施してきた。また、同国の構造調整努力を支援するため、これまで合計約93億円の円借款と合計17億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。
93年1月以降、反政府勢力・民主派への弾圧が多く見られたため、主要援助国は原則として援助を停止し、我が国も事実上援助を停止していた。その後、民主化プロセスの再開により、96年8月我が国は、ODA大綱、国内情勢の安定化等を総合的に勘案し、今後本格的に援助を再開することとした。
今後の援助の実施については、同国の政治的安定性及び援助受入能力を見極めつつ基礎生活分野を中心に検討していくこととしている。
(1) 我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
1.53(88) 0.50(74) 1.86(7) 9.83(36) 10.67(-) |
0.21(12) 0.18(26) 0.37(1) 1.00(4) 0.63(-) |
1.74(100) 0.68(100) 2.23(8) 10.83(39) 11.30(-) |
- - 25.01 17.70 0.63 |
-(-) -(-) 24.45(92) 16.69(61) -0.30(-) |
1.74(100) 0.68(100) 26.68(100) 27.52(100) 11.00(100) |
累計 | 75.64(50) | 5.13(3) | 80.78(54) | 71.60 | 69.10(46) | 149.87(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績(支出純額、単位:百万ドル)
DAC諸国、ODANET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 68.0 フランス 36.0 フランス 32.6 |
ベルギー 16.2 日本 26.7 日本 27.5 |
ドイツ 12.8 ドイツ 20.1 ドイツ 8.7 |
スペイン 7.7 イタリア 3.1 米国 2.0 |
英国 5.8 |
0.7 |
117.8 |
国際機関、ODANET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
(3) 年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mof(1).go.jp/mof(1)j/b_v/od(1)wp/
index.htm))
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mof(1).go.jp/mof(1)j/b_v/od(1)wp/index.htm))
2.72億円
研修員受入 38人
専門家派遣 7人
調査団派遣 18人
機材供与 5.7百万円
地下水開発計画(2/2期) (2.79)
食糧援助 (1.00)
食糧増産援助 (2.50)
債務救済 (0.16)
0.15億円
研修員受入 2人
調査団派遣 4人
債務救済 (0.31)
0.07億円
研修員受入 4人
債務救済 (0.16)
0.12億円
研修員受入 5人
債務救済 (0.47)
0.26億円
研修員受入 11人
債務救済 (0.31)
食糧援助 (1.00)
食糧増産援助 (3.00)
0.22億円
研修員受入 9人
経済復興調整計画(49.46)
ノンプロジェクト援助 (5.00)
食糧増産援助 (4.00)
債務救済 (0.47)
食糧援助 (2.00)
0.63億円
研修員受入 10人
調査団派遣 10人
村落給水計画(1/2期) (7.93)
債務救済 (1.37)
債務救済 (0.76)
食糧援助 (1.70)
食糧増産援助 (3.00)
1.36億円
研修員受入 11人
調査団派遣 27人
債務救済 (0.76)
食糧増産援助 (3.50)
村落給水計画(国債1/3) (1.86)
0.11億円
研修員受入 8人
98年度
までの
累計
5.63億円
研修員受入 98人
専門家派遣 7人
調査団派遣 59人
機材供与 5.7百万円
(注) | 1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、 96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 | |
3. | 79年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm) | |