(1) 93年8月の大統領選挙により選出されたパタセ大統領は、内政の安定及び民主化促進に取り組み、内政面での安定的基盤を確立したかに思われた。しかし、96年4月、給与遅配に抗議する国軍の一部兵士による反乱事件が発生して以来、同年5月、11月にも国軍兵士による反乱事件が発生し、現地情勢は悪化した。これに対し、ガボン、ブルキナ・ファソ、マリ及びチャードの4元首による共同調停が試みられ、97年1月にバンギ合意(停戦合意)が成立した。これを受けて、これら4ヶ国並びにトーゴー及びセネガルの各国軍隊から成るMISAB(アフリカ仲介軍)が派遣され、同年8月には国連安保理によりその活動が承認された。更に98年4月からは、MISABに代わり、MINURCA(国連中央アフリカ共和国ミッション)が派遣され、首都の治安維持等にあたっている。98年11月~12月にはMINURCAの側面支援の下、国民議会選挙が成功裡に実施された。
(2) 外交面では、非同盟を基本としつつ、内陸国という地理的条件を考慮し、近隣諸国との友好関係の維持を図るとともに、経済困難からの脱却を図るために旧宗主国フランスをはじめとする先進諸国からの経済協力の獲得に努める現実的政策をとっている。98年1月には中国と外交関係を再開した。
(3) 主要産業は農林業であり、GDPの約57%を占めている。96年のGDP成長率は、現地情勢の悪化を受けてマイナス成長(-1.5%)となったが、その後の情勢安定化に伴い経済も回復しつつあり、98年のGDP成長率は推定5.5%と見込まれている。現在、IMF、世銀の支援の下、構造調整計画を実施中である。
(4) 我が国は、中央アフリカから木材、郵便切手等を輸入し(98年輸入額61万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額503万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 3,036 | 3,275 | 3,344 | 3,418 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 1,194 | 1,123 | 1,024 | 1,104 |
一人当たり(ドル) | 390 | 340 | 310 | 320 | |
経常収支(百万ドル) | -89.1 | - | - | - | |
財政収支(百万CFAフラン) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 13.2 | 6.8 | 6.7 | 6.1 | |
対外債務残高(百万ドル) | 698.5 | 946.0 | 932.8 | 885.3 | |
為替レート(年平均、1USドル=CFAフラン) | 272.26 | 499.15 | 511.55 | 583.67 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千㎞2) | 623.0 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
50 | 49(97年) |
乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
100 | 98(97年) | |
所得が1ドル/日以下 の人口割合(%) |
- | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
169 | 160(97年) | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
600(80-90年平均) | 700(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 62 | 40(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | 14(90-98年平均) | |
初等教育純就学率 (%) |
55 | - | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
12(88-90年平均) | 23(96年) | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | 39 | - | 森林面積(1000km2) | 306 | 299(95年) |
中等教育 | 28 | - |
我が国は、無償資金協力及び工業・社会基盤分野等での研修員受入等の技術協力を中心に援助を実施している。無償資金協力については、食糧増産援助のほか、水供給、道路分野等で一般無償を実施している。また、98年度までに構造調整支援のためのノン・プロジェクト無償資金協力を合計19億円を供与した。
同国に対する支援は、96年に相次いで発生した国軍の一部兵士の反乱事件による政情不安、治安の悪化に伴い、研修員受入を除き一時的に中断された。その後、MISAB及びMINURCAの治安維持活動もあり、現地情勢が一応落ち着いたため、支援を再開している。98年10月には、国民議会選挙支援のため、UNDPを通じ33万ドルの民主化支援のための無償資金協力を実施した。
(1) 我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
8.90(85) 48.26(97) 27.11(89) 18.41(92) 12.62(90)1 |
1.52(15) 1.54(3) 3.49(11) 1.56(8) 1.39(10) |
10.43(100) 49.80(100) 30.61(100) 19.97(100) 14.00(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
10.43(100) 49.80(100) 30.61(100) 19.97(100) 14.00(100) |
累計 | 205.69(91) | 16.34(7) | 222.05(98) | 4.46 | 4.46(2) | 226.51(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
DAC諸国、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 52.5 フランス 66.6 フランス 31.1 |
日本 49.8 日本 30.6 日本 20.0 |
ドイツ 11.6 ドイツ 10.6 ドイツ 8.8 |
米国 3.0 デンマーク 7.3 オランダ 0.5 |
イタリア 2.7 |
49.8 |
122.4 |
国際機関、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
(3) 年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
90年度
までの
累計
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm))
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm))
6.72億円
研修員受入 66人
専門家派遣 8人
調査団派遣 37人
機材供与7 5.0百万円
三号国道舗装計画(2/3期) (13.50)
ノンプロジェクト援助 (5.00)
食糧増産援助 (3.00)
債務救済 (0.04)
草の根無償(1件) (0.05)
0.61億円
研修員受入 8人
調査団派遣 2人
三号国道舗装計画(3/3期) (12.54)
食糧増産援助 (2.00)
草の根無償(2件) (0.07)
0.85億円
研修員受入 7人
専門家派遣 1人
調査団派遣 2人
機材供与 (16.6百万円)
西部地下水開発計画(1/3期) (8.13)
道路建設機械増強計画 (18.03)
ノンプロジェクト援助 (3.00)
食糧増産援助 (3.00)
草の根無償(4件) (0.14)
1.47億円
研修員受入 10人
調査団派遣 13人
機材供与 0.7百万円
西部地下水開発計画(2/3期) (4.27)
三号国道舗装計画(1/3期) (21.90)
食糧増産援助 (3.00)
青年・スポーツ・芸術・文化省に対するスポーツ器材 (0.49)
草の根無償(7件) (0.22)
1.78億円
研修員受入 13人
調査団派遣 14人
三号国道舗装計画(2/3期) (14.15)
西部地下水開発計画(3/3期) (4.03)
ノンプロジェクト援助 (5.00)
食糧増産援助 (4.00)
草の根無償(11件) (0.55)
2.05億円
研修員受入 8人
調査団派遣 15人
機材供与 64.9百万円
開発調査 1件
三号国道舗装計画(3/3期) (14.79)
食糧増産援助 (4.00)
ノンプロジェクト援助 (3.00)
草の根無償(6件) (0.36)
3.70億円
研修員受入 8人
調査団派遣 26人
機材供与 1.4百万円
開発調査 1件
医療機材整備計画 (5.10)
草の根無償(7件) (0.26)
食糧援助 (5.00)
食糧増産援助 (4.00)
1.22億円
研修員受入 15人
調査団派遣 13人
機材供与 50.8百万円
開発調査 1件
緊急無償民主化支援(UNDP経由) (0.39)
三号国道舗装計画(1/4期) (12.67)
食糧増産援助 (2.60)
草の根無償(5件) (0.43)
2.56億円
研修員受入 14人
調査団派遣 22人
機材供与 24.2百万円
開発調査 1件
20.96億円
研修員受入 149人
専門家派遣 9人
調査団派遣 144人
機材供与 233.6百万円
開発調査 1件
(注) | 1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 | |
3. | 78年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm) | |
(参考1)98年度実施開発調査案件
案 件 名 |
バンギ市地下水計画調査(第3年次) |
(参考2)98年度実施草の根無償資金協力案件
案 件 名 |
カサイ産院・小児病棟改修及び医療機材供与計画 バンギ市街地域道路補修計画 ウアンゴ産院改修及び医療機材供与計画 サテマ郡医療センター及び深井戸建設計画 モバイ郡小児科病棟建設計画 |