2020年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)コロナ禍で活かされる日本の支援
(詳細については、「特集」を参照)

2010年にマダガスカルに派遣されたJICA海外協力隊員は手洗いの重要性を子どもたちに伝えるために手洗いソングを発表。マダガスカル国内では大人から子供まで広く歌われ、現在も受け継がれている。(写真:JICA)

2010年にマダガスカルに派遣されたJICA海外協力隊員は手洗いの重要性を子どもたちに伝えるために手洗いソングを発表。マダガスカル国内では大人から子供まで広く歌われ、現在も受け継がれている。注4(Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=xRzjhj7LWocより)(写真:JICA)

日本は、従来から、人間の安全保障の理念に基づき、SDGsの達成に向けて、保健、水・衛生、教育、ジェンダーなど様々な分野の支援を実施してきました。このような日本の支援は、今回のパンデミックにおいても、開発途上国の人々のために大きく貢献しています。

特に、保健・医療分野においては、戦後、日本自身がマラリアをはじめとした感染症の撲滅(ぼくめつ)を実現した経験を持っており、平均寿命を世界最高水準に引き上げたその知見を、世界中の国々と共有してきた実績があります。ODAが開始されて65年以上、日本は、保健・医療分野において幅広い支援を実施し、国際保健分野において主導的役割を果たしてきており、その取組が多くの国で評価されています。日本自身の経験に基づいたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進、マラリア予防のための蚊帳(かや)の活用、手洗いの励行(れいこう)、母子手帳の普及、上下水道の整備などはその一例です。

途上国におけるコロナ対策においては、これまで日本の支援で建設された医療施設・上水道施設、供与された医療関連機材が稼働しているだけではなく、日本が地道に積み重ねた技術支援・能力構築支援により、研修を受けた各国の医療従事者・公衆衛生の専門家などが、最前線で活躍しています(ガーナ野口記念医学研究所について「国際協力の現場から」を参照)。

また、保健・医療分野、水衛生分野での支援に加え、ロックダウンで学校に通えない子供たちのための情報通信技術(ICT)支援を通じた遠隔教育の導入(「匠の技術、世界へ」も参照)や、産業人材育成支援を通じた途上国国内での医療用マスク、ガウン、ゴーグルなどの個人防護具(PPE:Personal Protective Equipment)生産支援など、これまでの日本の支援がパンデミック収束に向けた取組の中で活かされています。

3Dプリンターによって作成された飛沫防御シールド(上)を病院に届けるマレーシア日本国際工科院の関係者ら(写真:JICA)
マレーシア日本国際工科院の関係者ら(写真:JICA)

3Dプリンターによって作成された飛沫防御シールド(上)を病院に届けるマレーシア日本国際工科院の関係者ら(写真:JICA)


  1. 注4 : エピソードの詳細は、JICAコロナ特設ホームページ(https://www.jica.go.jp/COVID-19/ja/index.html#TeamJICAinaction)にも掲載されています。
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