特集 新型コロナウイルス感染症対策
コロナ禍で活かされる日本の支援
トルコ
遠隔地医療
草の根・人間の安全保障無償資金協力 アルトゥンオルドゥ市巡回検診用車両整備計画(2018年)
トルコでは、山間部に居住する住民およびシリア難民等に対し定期的な健康診断を実施するため、日本の支援で巡回検診用車両および検診用機材が整備されました。2020年3月、供与された車両や検診用機材を用いた活動が開始され、通常の巡回検診だけでなく、新型コロナウイルス感染症に関する検診でも活躍しています。


ミャンマー
保健・医療機材
補正予算(2020年)無償資金協力(経済社会開発計画)
8月中旬、本計画で供与する医療機材の第一便(ICUベッド、シリンジポンプ、サクションポンプそれぞれ10セット)がヤンゴン国際空港に到着し、丸山市郎駐ミャンマー日本国特命全権大使からゾー・タン・トゥン保健・スポーツ省医学研究局長に対して引き渡されました。その後も機材の調達が終了したものから順次、ミャンマー政府に引き渡され、同国内の医療機関で活用されています。日本政府としては、新型コロナ対策だけでなく、ミャンマーの国造りと国民のために様々な分野での支援を今後も積極的に行っていきます。
バングラデシュ
医療用個人防護具の現地生産*
技術協力 看護サービス人材育成プロジェクト(2016年-2021年)
バングラデシュでは、医療用マスク、ガウン、ゴーグルなどの個人防護具(PPE: Personal Protective Equipment)が不足しています。最前線で活躍する医療従事者の保護のため、現地JICA事務所がバングラデシュ保健省に呼びかけ、日本の検品企業であるK2社の指導によりWHO規格に適合したPPEをバングラデシュ企業SNOWTEX社が生産し、国内に供給しました。これにより、世界経済の落ち込みを受けて苦境にあった現地の縫製工場で働く労働者の保護に貢献するとともに、バングラデシュの輸出産業強化にも寄与することが期待されます。*

(写真:JICA)
カンボジア
保健・医療機材
補正予算(2020年)無償資金協力(経済社会開発計画)
保健・医療体制が脆弱なカンボジアにおいては、ひとたび新型コロナの感染が拡大すれば甚大な人的被害が想定されます。そのため、日本は、早急な支援を実施すべくかつてないスピードで手続を進め、8月には医療機関で必須の機材である高濃度酸素発生器を供与しました。これらの機材はカンボジア国内の病院などで有効に活用されています。引き続き、カンボジア政府と緊密に連携しながら、救急車や超音波画像診断など、人々の命を守るための機材を届けていきます。
ブータン
東日本大震災の教訓学んだ通信BCP
~通信をつなぎ世の中を助ける使命感
技術協力 ブータン王国ブータン国災害対策強化に向けた通信BCP策定プロジェクト(2018年-2021年)
本件は、地震活動が活発なブータンで災害発生時の業務継続計画(BCP: Business Continuity Plan)の策定のため開始されたプロジェクトです。2019年12月の運用開始から約3か月後の2020年3月にブータン初の新型コロナ感染者の発生が確認されたことから、日本での研修で、BCPや安全確保の重要性を学んだブータン・テレコム職員は、本プロジェクトで策定された大規模災害用のBCPを参考に今回のパンデミックのためのBCPを策定し、現在も新型コロナ対策に活用されています。

女性と子どもに配慮した迅速な措置*
技術協力(国別研修) ジェンダー主流化、女性のエンパワーメント及び子どもの福祉と権利(2019年-2021年)
ブータンでは、3月に初の感染者が確認されたわずか2週間後から、ジェンダーと子どもに配慮した新型コロナへの対応が開始されました。日本で研修を受けたジェンダー担当職員が中心となる形で、女性と子ども国家委員会(NCWC :National Commission for Women and Children)により、コロナ禍における家庭内暴力のリスク増加に関する啓発や保育所への備品供与などが実施されています。日本の支援を受けて製作された家庭内暴力に関するドキュメンタリービデオは国営放送で5日間にわたり10回以上放送されました。また、NCWCが管理する保育所では、子どもたちや保護者に適切な衛生指導を行うことができるよう、手洗い励行、感染予防方法、新型コロナウイルスの基礎知識などの啓発ポスターやパンフレットが配布されました。

(写真:JICA)
ラオス
保健・医療機材
補正予算(2020年)無償資金協力(経済社会開発計画)
ラオスの医療体制は極めて脆弱(ぜいじゃく)であり、今後感染が拡大した場合にはラオス国内のみならずメコン域内への急激な感染拡大に繋がる危険性もあります。そのため、本計画では、ラオスに対し、小型救急車、病棟用ベッド等の保健・医療関連機材を供与し、同国の保健・医療体制の強化を通じて、同国及び国際社会全体における新型コロナの拡大防止に資する協力を行いました。8月23日、茂木外務大臣のラオス訪問時に行われた引渡式では、第一陣で到着したシリンジポンプや除細動器が茂木大臣自らの手でサルムサイ外相に手渡され、ラオス側から日本の支援に対する深甚なる謝意が表明されました。これらの資機材はラオス国内の病院などで有効に活用されています。
ルワンダ
医療用フェイスシールドの現地生産
技術協力 ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト(2017-2021年)
3Dプリンター、NC工作機器、レーザーカッターなどを完備しているものづくりラボ、FAB LAB(ファブラボ)は、JICAによってルワンダのICT起業家支援のために2016年に設立されました。新型コロナの感染拡大を受け、2020年、FABLABは国内唯一の医療用フェイスシールド製造拠点としてルワンダ政府から認定を受け、国内医療機関にフェイスシールドを配布しています。

(写真:JICA)
エチオピア
安全な水の供給
日本NGO連携無償資金協力(2017-2020年)
エチオピアでは、日本の国際協力NGOである特定非営利活動法人ホープ・インターナショナル開発機構が、2017年から水の供給と衛生教育を実施しています。新型コロナの感染拡大を受け、同機構はマスク、消毒液、石鹸(せっけん)などを配布して手洗い指導を行いました。また、簡易水道の建設後も住民自身が水道設備を管理・補修できるように、住民自らが参加して建設を行っています。さらに、施設完成後に住民が組織する運営委員会でも女性委員の選出が奨励(しょうれい)されており、女性の地位向上・社会参加にも貢献しています。

(写真:ホープ・インターナショナル開発機構 近藤史門)
マーシャル
保健医療機材
補正予算(2020年)無償資金協力(経済社会開発計画)
マーシャルは29の環礁と多数の島から成る島嶼(とうしょ)国です。入国を全面的に停止するなどの措置が功を奏し、国内での新型コロナの感染は抑えられていますが、今後に備え、日本は、検疫・診断・隔離などのための施設・医療機器の整備および中長期的医療レベルの向上を目的とした支援を決定しました。日本の支援により、X線撮影装置、CTスキャナー、患者モニター装置などが国内主要病院に整備される予定です。このうち、聴診器、血圧計などの機器は既にマーシャルに到着し、離島の52か所のクリニックに配布され、基礎医療の向上に役立っています。
ブラジル
新型コロナ対策における5S、カイゼンの実践*
JICA日系社会研修(2016年)
多くの感染者を出しているブラジルでは、新型コロナ対応でJICA日系社会研修事業の研修員が活躍しています。サンタクルス病院は、サンパウロ市に1939年に日本病院として建設され、長く日本人移住者と地域住民の医療機関として親しまれてきました。同病院で働く看護師は、2016年、日系社会研修「5Sカイゼンによる看護師の管理能力向上」および「カイゼンと5S」に参加し、感染予防から見た5Sおよび医療機材の5Sカイゼンを習得しました。現在、同病院では、帰国研修員が中心となり、5Sおよびカイゼンの知識を活用しながら、院内外関係者向けのガイドラインの作成、ICUと一般病床を担当する看護師を区分するゾーニング計画の策定、感染の疑いのある患者とそれ以外の患者の動線を区分し接触を避ける取組などを行っています。

*エピソードの詳細は、JICA コロナ特設ホームページ
(https://www.jica.go.jp/COVID-19/ja/index.html#TeamJICAinaction)にも掲載されています。