(2)自然災害時の緊急人道支援

2016年12月、インドネシア・アチェ州の地震被害に対し、日本の緊急援助物資が届けられた。(写真:アフマド・アリスカ)
日本は、海外で大規模な災害が発生した場合、被災国政府、または国際機関の要請に応じ、直ちに緊急援助を行える体制を整えています。日本の人的援助としては、国際緊急援助隊の①救助チーム(被災者の捜索・救助活動を行う)、②医療チーム(医療活動を行う)、③感染症対策チーム(感染症対策を行う)、④専門家チーム(災害の応急対策と復旧活動について専門的な助言・指導などを行う)、⑤自衛隊部隊(大規模災害など、特に必要があると認められる場合に、医療活動や援助関連の物資や人員の輸送を行う)の5つがあり、個別に、または組み合わせて派遣します。
また、物的援助としては、緊急援助物資の供与があります。日本は海外4か所の倉庫に、被災者の当面の生活に必要なテント、毛布などを備蓄しており、災害が発生したときには速やかに被災国に物資を供与できる体制にあります。日本は、2017年には、スリランカ、シエラレオネ、キューバ、ベトナムなどに対して緊急援助物資の供与を行いました。
さらに、日本は、海外における自然災害や紛争の被災者や避難民を救援することを目的として、被災国の政府や被災地で緊急援助を行う国際機関等に対し、援助活動のための緊急無償資金協力を行っています。その国際機関が実際に緊急援助活動を実施する際のパートナーとして、日本のNGOが活躍することも少なくありません。
また、日本のNGOがODA資金を活用して、政府の援助がなかなか届かない地域で、そのニーズに対応した様々な被災者支援を実施しています。NGO、経済界、政府による協力・連携の下、緊急人道支援活動を行う組織「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」(「ウ.NGOが行う事業への資金協力」を参照)は自然災害や紛争によって発生した被災者および難民・国内避難民支援のために出動し、JPF加盟のNGO団体が支援活動を実施しています。
●国際機関等との連携
日本は、2006年に設立された「世界銀行防災グローバル・ファシリティ」への協力を行っています。このファシリティ(基金)は、災害に対して脆弱(ぜいじゃく)な低・中所得国を対象に、災害予防の計画策定のための能力向上および災害復興の支援を目的としています。
また、日本はASEAN(アセアン)防災人道支援調整センター(AHA(アハ)センター)に対して、情報通信システムの支援や人材の派遣等を行うとともに、緊急備蓄物資の提供と物資の管理・輸送体制の構築支援を行っています。