ODAとは? ODA改革

「ODA総合戦略会議」第2回会合・議事録

1.日時

 平成14年7月15日(月)8:30~10:00

2.場所

 外務省飯倉公館

3.出席者

 ODA総合戦略会議委員(ただし、杉浦副大臣、今村政務官は欠席)。外務省(事務局)より経済協力局長他が出席。関係府省、JICA(国際協力事業団)及びJBIC(国際協力銀行)がオブザーバー参加した。

4.議論の経過

 議事は以下のとおり。浅沼委員、西岡委員による自己紹介に続き、事務局より情報の発信・受信方法、ODA改革・15の具体策、G8カナナスキス・サミットの概要、国別援助計画の概要について説明し、渡辺議長代理より今後2年間の具体的審議事項について説明があった。その後、各委員による自由討議が行われた。

(1)浅沼委員、西岡委員による自己紹介

(川口議長) ただいまから「ODA総合戦略会議」第2回会合を開催致します。今日は前回ご欠席でした浅沼委員、西岡委員がいらっしゃいます。前回他の方にして頂きましたので、まず自己紹介を簡単にして頂けますか。

(浅沼委員) 浅沼です。一橋大学に2年前に新しいアジア公共政策プログラムを作ってアジア諸国の若い官僚の方を預かって修士プログラムを実施しています。私は学者ではありませんで、バックグラウンドは世界銀行に長くいました。それから、国際投資銀行にも長くいまして、その関係でアジアの政府の国際金融顧問をしていたこともあります。どうぞよろしくお願い致します。

(川口議長) ありがとうございました。それでは、西岡委員お願い致します。

(西岡委員) 三菱重工業の社長の西岡です。よろしくお願い致します。同時に日本経団連の国際協力委員会の共同委員長に6月から就任しています。ODA問題については、経団連でも昨年10月にODA改革に関する提言を取りまとめまして、小泉内閣におけるODAの見直しが単に予算削減の議論に終始しないで、効率的かつ国内外から共感を得られるよう抜本的な改革となるよう提言したと聞いています。
 一方、三菱重工業としましては、ODA関連では各発展途上国でのインフラ整備、すなわち発電の設備、あるいは橋梁の設備、新交通システム等、各地域でその国の発展に寄与する仕事をさせて頂いています。私たちの経験では、当社から出かけるのはせいぜい10人から20人程度でして、現地ではだいたい数千人規模のプラント設備を建設しています。設備を無事完成させると、電気が通じるとか交通の渋滞が緩和するということによって、その国の政府はもちろん一般大衆が大変喜ぶ姿を実際に見ていまして、ODAが日本の存在を示す上で非常に重要で、また、各国の発展に貢献しているということを実感しています。
 一方、国際ビジネスでは、欧米企業が国益の旗印の下に、政官民一体となって事業展開をしますが、日本ではほとんど民間企業独立のような形です。そのような意味では、ODAに関する作業が数少ない官民の協力プロジェクトであると思っています。ODAは国際貢献という意味で非常に有意義な制度と思っています。
 私どもの社是としましては、世界的視野に立って、社会の進歩に貢献することを旨としていまして、国際貢献に寄与すべく積極的に取り組んでいるのが実情です。
 ODAに関しては、実際の国際ビジネスの経験を踏まえて、企業側の観点から発言させて頂きたいと思っています。よろしくお願い致します。

(川口議長) ありがとうございました。それでは自己紹介が全員終わりましたので、次に移りたいと思います。


(2)事務局による資料説明

(イ)情報の発信・受信方法

(川口議長) まず、前回の会議でご議論がありましたこの会議の情報の受信・発信の方法について、事務局からご説明をしますが、西田局長が遅れていますので、代わりに滑川審議官からお話をさせて頂きます。

(滑川経済協力局審議官) 経済協力局の滑川です。よろしくお願い致します。前回の会合において、この会議における情報をどのように発信するか、受信するかについて、ご議論を頂きました。その結果、前回の最後に一通りのコンセンサスがあったと理解しています。そのコンセンサスを事務局で文書の形で整理しましたので、皆様方にもう一度ご確認頂きたいと思います。「資料2」に沿って、簡単に項目だけご説明させて頂きます。
 第1は、情報発信についてです。外交政策、その他の関係で、公開が困難、不適当なものはこの限りではありませんけれども、原則として、この会議の議事録及び配布資料については発言者名入りでODAのホームページ上で公開させて頂きたいと思います。付け加えますと、前回の議事録につきましては、皆様方にご覧頂いた上で、先週の金曜日(7月12日)にホームページに掲載しています。
 情報発信の2つ目ですが、会合の終了後、渡辺議長代理から記者ブリーフをして頂きます。
 それから、3つ目はODAタウンミーティングです。後程ご紹介致しますODA改革の15項目の中でも、情報発信の一つとして挙げていますが、このタウンミーティングでは、委員の皆様方にも、ご参加頂きながら、広くご意見を伺っていくことを考えています。7月20日に、ODAだけではなく、外務省全体のタウンミーティングがありますが、これには草野委員にご参加をお願いすることを予定しています。また、8月末には金沢でODAのタウンミーティングを予定しています。
 以上、3つの方法で発信を致します。
 他方、「2.」のいろいろ意見を受信する方です。これについては、一つはODAホームページの中に専用メールボックスを設置して意見を求めるということを考えています。その際、次回会合での審議事項等を前広に掲載した上で、意見を頂くことを考えています。「第2次ODA改革懇談会」でもメールボックスを設けて、10ヶ月で約300件の様々なご意見を頂きました。今回もまた様々な意見を頂けるものと期待しています。
 それから2つ目として、先程発信の方でご紹介しましたが、受信についてもODAタウンミーティングをあげさせて頂きます。いろいろなご意見を伺うとともに、アンケートを各回させて頂くことを考えています。その意見を集約し、その結果を、先程のホームページでのご意見とタウンミーティングでのご意見とあわせて、随時この会議に報告するということで進めたいと思っています。以上です。

(川口議長) ありがとうございました。

(ロ)ODA改革・15の具体策

(川口議長) 続いて、この間発表しましたODA改革とG8のカナナスキス・サミットについて、ご報告をさせて頂きたいと思います。以上全体についてのご質問等ありましたら、後で自由討議の時にお話を伺いたいと思います。

(滑川経済協力局審議官) 資料3」の「ODA改革・15の具体策」、「資料4」のG8カナナスキス・サミットの2つについて、簡単にご報告致します。
 まずODA15の改革ですが、先週の火曜日に大臣から公表致しました。これは、「第2次ODA改革懇談会」、それから大臣がご提示した「骨太の改革」方針で扱われたODA改革の方向をベースにして5つの項目に分けて、具体的に実施をするものを挙げたものです。なお、この5つの中には、既に発足していましたので、「ODA総合戦略会議」は入っていませんが、これも併せてODA改革のとりあえずの全体像です。5つの柱というのは、(1)監査、(2)評価、(3)NGOとの連携、(4)人材の発掘・育成・活用、(5)情報公開・広報の5分野です。
 監査については、各スキームにおいて、全て外部監査を導入をします。その中で、いわゆる「抜き打ち」監査を実施し、通常的ではない形の監査を行い、意識を高めることを考えています。それと併せて、その結果をきちんとフォローアップできる、あるいはそれを具体的な業務に反映できるための仕組みについて、実施者、実施機関及び外務省に外部の監査法人の参加を得て進めることを考えていまして、予算、その他の手配、手続きの必要な部分が若干ありますので、具体的にはさらに検討を進めています。
 2番目の評価については、1つ目として、今までは自己評価をかなり行ってきましたが、今後は第三者の視点が入った形で評価結果がまとめられる仕組みを取ることを考えています。それと併せて、外部の有識者からの評価を頂くための組織を外務省、実施機関に設置してきていますので、このような機関の評価に対する助言、さらにはフィードバック機能についての体制を強化したいと思っています。
 それから、次の項目としましては、被援助国の政府あるいは機関との連携を強化致します。そこでの評価もしていきたいということです。相手国による評価を拡充していくとともに、昨年、東京でアジアの諸国を招いて、国際機関等も含め評価のワークショップを開きましたが、これを引き続き開催していくことを考えています。
 それから評価の7番目の項目ですが、評価を行っている学界、NGO、実施機関、国際機関等を含めた形でセミナーを行いたいと思っています。
 2枚目のNGOとの関係では、今までもありましたNGO・外務省定期協議をさらに機能強化し、これまで一本でやっていた定期協議を小委員会として2本立てにするとともに、より幅広くご意見を頂くような全体会議を作ることにしています。
 また、東京だけではなく、現地の大使館、これはODA大使館という名前を使っていますが、ODAに関係した実施機関、NGO等を含め、多くの方々にご参加頂いたものを夏頃に実施するということで、現在ODAを行っている主要大使館に話をしています。
 さらに、NGOへの無償資金協力については、今年度から一元化する形で整理し、窓口も一元化しました。
 4番目の人材の発掘・育成・活用については、第2次ODA改革懇談会でご提言頂きました「国際協力に関する人材センター(仮称)」という、人材のネットワーク化、マッチングがうまくできるための仕組みについて、どのような形でこのようなものを考えらたらよいか検討を開始しています。
 さらに、開発教育プログラムを、各地方に手足があるJICAで定期的に生徒、学生を相手として進めることを考えています。
 最後に情報公開・広報ですが、まずは先程申しあげたODAタウンミーティングの開催です。 また、11日に発刊したODAメールマガジンを大体月に2回の予定で発行し、ODAの情報を次々と提供したいと思っています。
 さらに、秋を目途に、ODAワンストップショップを立ち上げ、ODA案件について、様々な写真その他を含め、どのようなことを実施しているかを見られるものを準備することを考えています。簡単ですが、以上御説明をさせて頂きました。

(ハ)G8カナナスキス・サミット

(滑川審議官) カナナスキス・サミットについては、6月に行われ、随分時間経ちましたので、皆様、新聞報道その他で十分ご存知かと思いますが、開発関連の主な項目だけ簡単に紹介させて頂きます。
 一つはアフリカです。今回のカナナスキスではアフリカが非常に重要な課題になり、アメリカあるいはEUがODAを増やすと言っていますが、その増額分の半分或いはそれ以上をアフリカに向けるという方針が述べられています。その意味でアフリカ支援を集中的に行うということが言われていますが、それと併せて、選択的実施ということで、開発・発展のための努力を行っているアフリカ諸国に対して、一種の選択性、セレクティビティをもって援助を行うということをいっています。
 さらに、3つ目の債務問題です。これは既にHIPCのイニシアティブとして、ずっとサミットでやってきています。これは仕組みとしてはできていますけれども、国際機関のHIPCへの債務救済に対して、資金不足があり得るということで、G8の更なる協力が述べられています。ただし、現行のHIPCスキームの見直しその他については扱われていません。
 それから、重点分野としまして、教育が挙げられており、教育に関しての宣言がまとめられています。
 あわせて、ポリオについては、2005年までのポリオの根絶が目標として謳われています。
 以上、とりあえずの御説明ということで終わらせて頂きます。

(川口議長) ありがとうございました。


(3)国別援助計画の概要説明

(川口議長) それでは、具体的な審議事項、作業日程についての議論に移りたいと思います。この会議の重要な審議事項となる国別援助計画の概要について、担当の西田局長から御説明をしたいと思います。

(西田経済協力局長) 遅参しまして失礼致しました。「資料5」の国別援助計画関連資料に基づいて、簡単にご説明したいと思います。国別援助計画の基本的な計画、狙いについては、各委員既にご承知と思います。改めてご説明を申し上げますと、基本的な考え方は、ODA効率性・透明性の向上に向けた取り組みの一環としまして、被援助国の政治・経済・社会情勢の認識を踏まえ、またそれぞれの国の開発計画、開発上の課題を勘案した上で、目途として5年程度、今は社会情勢・国際情勢が非常に流動的ですので、5年間よりももう少し早いタイミングで見直すことが要請をされていますけれども、当初考えましたのは5年間程度のいわゆる中期目標、中期計画として我が国の援助計画を示すものです。
 我が国の援助政策においては、「ODA大綱」、その下にあります「ODA中期政策」の下に、国別援助計画を作るという位置付けになっています。本計画の策定によって、我が国の主要な被援助国に対する我が国援助計画を国内外に対して公表し、被援助国情勢等に大きな変化があれば随時見直しを行い、国民や外国から様々なコメント等があれば、それを吸収するという仕組みになっています。
 経緯は平成10年7月の当時小渕総理就任後の初閣議における指示を踏まえて、平成10年11月、「対外経済協力閣僚会議幹事会」の申し合わせに基づいて、作成を決定致しました。これまでどの国について策定が済んでいるか申しますと、平成12年から始まり、バングラデシュ、タイ、ベトナム、エジプト、ガーナ、タンザニア、フィリピン、ケニア、ペルー、中国、マレーシア、カンボジア、チュニジア、ザンビア、ニカラグアが既に策定を済んでいます。チュニジア、ザンビア、ニカラグアについては、近々発表することになっており、それ以外の国については、既に公表済みです。
 事務局として、策定を予定しています主要な国を以下に列記していますが、スリランカ、モンゴル、インド、インドネシア、セネガル、パキスタン、ラオス、カザフスタン、グアテマラ等です。
 一般的な構成については、特定国の政治・経済・社会情勢の分析と当該国の開発上の課題、それから我が国の当該国に対する援助政策、内容としては、何故行うのかという意義、大綱との関係、目指すべき方向性、重点分野、課題別援助方針、それから援助を実際に行っていく上での留意点等々の構成となっています。次のページにこれまでの具体的な援助計画策定の流れを示させて頂いています。まず、現地主導による原案の作成ですが、それぞれの大使館、在外公館が中心となりまして、先方政府関係者、現地で活躍しているNGO、さらに現地に事務所がある場合には現地JICA、JBICの事務所と協議して、原案を作成致します。
 それが東京に送られ、本邦のNGO、経団連、学者、有識者等広く国民の意見を聴取するとともに、JBIC、JICAの本部等実施機関の意見も聴取しまして、東京の原案を作成致します。そして、東京で作成したものをもう一度、現地の大使館に戻して、相手国政府と議論し、改めて現地NGOからも意見を聴取し、加筆・訂正を行います。
 このようにして一巡したものを国内の関係省庁と最終的に調整致しまして、政府としてこれを決定し、その上で公表するということになっています。次のページはそのフローチャートを図示したもので、今ご説明したことが図に書いてあります。これまでどのようにして国を決めてきたかという選定の基準ですが、次の4ページに書いてあります。
 我が国の被援助国の数は大変に多数にのぼっていますので、どの国を選んで制度を作るかには、大きくいって3つの要素があると思います。
 第1番目は「援助の量」です。国民の税金を原資とするODAですから、その効果的、効率的活用の観点を含め、我が国の援助の量が多いというのが一つの基準です。
 2番目は「外交政策上での重要性」です。我が国との関係、主に政治・外交面での関係、2番目に投資・貿易等経済関係、3番目に当該国自身の政治的、経済的な役割という当該国の外交政策上のポジションが2番目の考慮点です。
 それから、3番目は「開発のニーズ」です。貧困やエイズ、あるいは復興、グッド・ガバナンス等現在の国際社会が抱えている開発ニーズ上、より重要な役割を占めていると思われる国について、優先的にこれを選択してきています。また、そのような中で当然のことながら、ある種の地域的な配慮も行ってきまして、結果としてアジア、中南米、アフリカ、中近東と各地域にある程度のバランスをもって行ってきています。
 最後になりますが、我が国の2000年における二国間援助の実績として、1番目のインドネシア以下30カ国程度我が国の援助量から見た、主要な被援助国の順番が並んでいます。その中で黄色の国がこれからやっていこうと、それからブルーの国は既に策定済みということです。この表からもわかるように、基本的には援助量の多い国から順番ということがかなり大きな要因になっています。以上です。

(川口議長) ありがとうございました。


(4)今後2年間の具体的審議事項

(川口議長) あと1つだけご説明をさせて頂きたいと思います。渡辺議長代理から今後2年間の具体的審議事項及び作業日程についてご説明致します。

(渡辺議長代理) 前回発言したことですが、この会議の目的はODAを上流・中流・下流と分けた場合、まずは上流に位置する基本政策を議論して、これを作成するということです。そしてこの基本政策に基づいて、中流・下流のODAが展開されていくということになりますけれども、この3つの間の整合性について恒常的にウォッチングし、申し上げるべきことは常に申し上げるということに関心を持たなければならないと思います。
 さて、この基本政策は2つからなっています。1つは国別援助計画、もう1つは分野別援助計画です。前者の国別援助計画が日本のODA政策の縦糸、分野別計画が横糸になります。この2つの糸がうまく織り合わされて我が国のODAの基本政策が構成されるということになる訳です。我々の会議のまずやらなければならないことは、この縦糸と横糸の基本政策を中心に審議することです。また、この間も議論され、今日も既にお話がありましたが、ODAの内外で起こっている主要課題について、その時々に会議の意見をまとめることももちろん必要です。
 平成14年ですが、今申し上げた国別援助計画の作成を始めたいと思います。そこで、新規の国別援助計画をどの国で作ればいいのか、同時に進めていく見直しについてはどの国を取り上げるかということです。既に8月に入るところで、今年はあまり多くのことは出来ないと思いますので、新規の国を1つ、見直しの国を1つ設定して、パラレルに進め、その過程で様々な経験やノウハウが蓄積されていくと思いますので、翌年はそれをもう少し広げていくというのはどうかと思っています。
 これは後で議論して頂きたいのですけれども、外務省ではかねてより、次の国別援助計画策定の対象国としてスリランカを設定しており、計画を既に入手済みです。スリランカは、従来から比較的援助吸収能力が高い国と言われていますし、また、日本のODAに対するニーズが高いと判断されていまして、外務省は国別援助計画を策定する優先度が高い国であると考えているとのことです。既に計画を入手済みでもありますので、ケースとして一番適当ではないかと考えております。
 ベトナムの国別援助計画の策定は平成12年6月ですから、それほど古くはありませんけれども、べトナムを巡る内外の事情はかなり変化しています。平成13年4月下旬には共産党大会が開かれまして10カ年戦略が公表され、同年12月には5カ年計画が決議されました。この2つの計画を踏まえてベトナムの各省庁間でアクション・プログラムを策定中だということです。このような事情がありまして、各ドナー間の援助協調の議論が活発化しつつありますし、また活発化させなければならないという要請もあります。従って、平成12年6月に策定・公表された国別援助計画ではありますが、新たに付け加えるべきもの、あるいは減らすべきところがあれば、早急に見直しを行ったほうがいいであろうと考えます。
 従って、平成14年には新規対象国としてスリランカ、見直し対象国としてべトナムをやってみるのはどうかというのが私の考えです。これをしばらくやってみて、平成15年については徐々に決めていきたいと思っています。まだ決まっていませんが、事務局との相談では、平成15年には新規の国別援助計画対象国としては例えばモンゴル、それから大きい国ですがインド、見直し対象国としてはガーナ、平成16年には新規の国別援助計画対象国としてはセネガル、あるいはまだグレーですがインドネシアを入れようと思っています。それから見直しの対象国としてはタイを考えています。今6もしくは7ヶ国申し上げましたけれども、これは徐々に詰めていきたいと思います。ただ、今年については新規スリランカ、見直しベトナムではどうかというのが提案です。
 以上が国別援助計画、つまり縦糸の基本政策の今年やるべきことについて申し上げたわけですが、横糸の分野別援助計画を本格的に始めるのは来年以降、平成15年以降がいいのではないかと思っています。つまり、縦糸である国別援助計画が出来て、それとの関係を保ちながら、既にある分野別イニシアティブの実施状況のフォローアップを行い、いいものを作っていきたいと考えています。既存の分野別イニシアティブとは、例えば、教育、感染症、環境等についてです。国別援助計画を念頭にして、それとの関係において分野別援助計画を立てる方向で進めていきたいと考えます。そのためにも横糸は平成15年にスタートしてはどうかと思っています。
 それから、ODAの主要課題、国際的な動向については、その時々に応じてタイミングのいい時に議論して頂きたいと思います。これについては、早急に方針を決めて出すという要求も次々に与えられるだろうと思いますので、今から予定は立てにくい。
 そういうことで、新規としてスリランカ、見直しとしてベトナムということで早速進めていきたいと思います。これをこの中で一斉に議論するわけにはいきませんので、優れた専門家からなるタスクフォースをできるだけ早く立ち上げ、また、何人かの委員にスリランカを訪問頂き、関係する国際機関等との調整等もやって頂いて充実した案を作りたいと思います。案がどのような形で我々に上ってくるかという点については、先程外務省から説明があったような手続になると思います。この点何かご意見等があれば、後で伺わせて頂ければありがたいと思います。以上でございます。
(川口議長) どうもありがとうございました。


(5)委員による自由討議

(川口議長) それでは、渡辺議長代理からご説明がありましたこの会議の具体的な審議事項、西田局長から説明がありました国別援助計画の概要について、ご意見を頂ければと思います。併せて、最初に説明を致しました情報の受信・発信、G8カナナスキス・サミット、ODA改革の3つについてもご質問、ご意見等あれば出して頂ければと思います。カテゴリーの区別をしませんので、どなたからでも出して頂ければと思います。それでは、伊藤さんどうぞ。

(伊藤委員) 情報公開の関連で確認したいと思います。会議後、公式な議事録が出るまで時間がかかります。委員としては、その前にNGOの仲間など、他の人たちと議論の要点だけでも出来るだけ早く共有し、意見を交換し、次の会合に備えたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

(川口議長) 事務局からお話致します。

(西田経済協力局長) 委員の方々は、基本的にいわば個人のキャパシティーで来て頂いています。その知見、ご判断で会議が続いていくと思いますので、その範囲内において、個々の委員のご判断で適切と思われる形で情報の伝達が行われることは、事務局としては当然と考えています。もちろん他の委員の方々にご意見があれば頂きたいと思います。

(川口議長) 今の点、皆様方がよろしければそのように致します。磯田委員どうぞ。

(磯田委員) 全般に渡っていくつかあります。情報発信・受信方法について、受信方法の点で1つだけコメントをしたいと思います。ホームページで意見を吸収するのは大変いいことであると思います。ただ、意見を出した側はそれがどこにどのように採用されたかがわからず、砂に吸収されたようになっていると感じており、意見を出すということに対して意欲が湧きにくい状況です。参加を考えた場合には、意見だけ聞いてもらって、それがどのように生かされるか保証がなければ、それは参加ではないと思います。そのような意味で、ある時点でどのような意見が出ているかについての公表をして頂きたいと思います。部分的に出ているホームページもあると思います。意見に対しての対応やそれがどこに生かされたということ、あるいは生かせないのであればその理由等を公表して頂きたいと思います。それを毎回行うのは大変だと思いますけれども、意見を集める以上、ある程度そのようなことが必要であると思います。あるいは、この場でそれを提示して頂けば、議事録に残りますので、そのような形でもいいのかもしれませんけれども、意見がそのままどこかに吸収ということではなく、きちんと対応した方がいいと思います。
 それから、この会議の審議事項ですけれども、当初から書かれてあることでは、国別援助計画を縦糸に、分野別援助計画を横糸に、その他のことも議論するということですが、国別援助計画については、他の実施機関でも類似のものを作っています。JICAでも、国別援助研究会報告書があり、現地でのヒアリングが行われて策定されています。 拝見しますと、外務省の国別援助計画と同じとは言いませんけれども、その国の問題状況、開発の課題をどう見るか、各セクターごとに何に取り組むべきか。何を重点課題とするかが書かれています。重複している感じが若干あります。もちろん実施機関と外務省の政策はレベルが違うとは思うのですが、JBICも同じようなものを作ろうとしているとも聞いていますし、現場に近い者としては重複したものがいくつもあるように感じます。JICAの策定方法は、国によって若干違うかもしれませんが、その国の地域専門家の方に参加頂いたり、現場等のヒアリング等も随分やっていたりとかなり丁寧だということです。
 どこかで国別援助計画の一本化というか、ある種の調整、整合性が必要だと思います。、いろいろなものを作っても国民としても一体何なのか分からない。従って、新規策定や見直しの前にどのような位置付けなのかをもう一度きちんと議論しなければ、見直しも出来ないのではないかと思います。それを是非取り上げて頂きたいと思います。
 同様に、最終案決定の段階で他の省庁との擦り合せがありますが、私は外にいるのでそのメカニズムは全然分かりませんけれども、外務省で作ってから、他の意見を聞くという形でいいのか正直私にはわかりません。意義のある国別戦略を作るのであれば、作成の仕組みをきちんと確認した上で作らないと意味がないのではないかとの印象を持っています。そのことについては、現状に関しての情報提供を頂いた上で、どの国について、どのようなものとして作るのかとの中身の議論の前に、位置付けについて議論しなければ、先に進むことは出来ないという印象を持っています。
 それから、率直な印象として、縦糸と横糸のどちらが先にあるべきかについてもわからない部分があります。なぜなら、オランダ等は、ODAの戦略・政策として分野別のプライオリティーを置き、その中でその分野に関してはどの国が重要なのかというプライオリティーを置いて、それぞれの国の国別援助計画を立てるという段取りでやっているようです。やり方は国によって様々だと思うのですけども、国別援助計画が先に来て、日本のODAはどの分野を支援するかが後からくるのは、戦略としてそのような決め方でいいのかということに関して、私はむしろ分野別戦略をきちんと議論した上で、そのためにはどの国がプライオリティーが高いのかを議論し、国別援助計画の中に活かしていくというのが、私にとってはすっきり致しますが、今のお話では逆に国別を作ってから分野別を作るということで、国の事情が先行して、それから分野別といのはつじつまあわせの気がします。後から分野別の優先課題が出てくるんだろうか疑問です。
 それから、国別援助計画の策定のプロセスについて、このような流れで広くヒアリングを今までも原則として行ってきていることはとてもいいことと思います。ただ、現場レベルからは、「いや実際にはこうなっていない。」という意見が随分出てきています。現場ではほとんどヒアリングされなかったとか、大使館が来て説明はしたけれども、概要・項目だけの紙を一枚持ってきて説明をしたにすぎないとか、あるいはどのようになっているのか聞かせてくれと言った段階で、大使館にまかせてあるという返事でそのままになってしまったといったように、実際にはきちんとした意見聴取が、現場、国によっては必ずしも出来ていないようです。
 従って、その意味でも策定のプロセス自体について、既にあるからということではなく、見直しをきちんとしなければいけないのではないかと私は思っています。新規の国別援助計画の策定、あるいはその見直しをする前に、プロセス自体の一般論ではなく、個別事例等をきちんと現地にもあたる形でもう一度確認をするというステップを取りたいと思います。

(草野委員) よろしいですか。これだけ委員がいまして、お一人お一人大事な時間を割いてこちらに来ているわけです。やはり一人一回の発言を2分、せいぜい長くても3分程度にして頂かないと、私も来ている意味がなくなりますので。

(磯田委員) それでは取りあえずここまでで、失礼致します。

(川口議長) いくつか基本的な問題についてありがとうございました。最初の受信した情報の開示については、もし他にご意見がなければ、私としては頂いた情報ですので、何らかの形で返していくことが大事だと思います。ただ、それぞれについて返すというわけにはなかなかいかないと思いますので、ある段階でまとめるという、パブリックコメントの際のやり方でやっていけばいいと思います。
 次に、基本的な問題が出ていますので、この後の議論で今の問題についてご意見があれば、引き続き反映させて頂きたいと思います。
 国別援助計画の策定のプロセスが現場には必ずしも備わっていないということについては、現在の策定の方法を変えることについてご意見がなければ、例えば大使館でどのようなことを行って策定されるのかという情報を、議論していく過程で紙で出すことで解決をすると私は思います。
 それから、縦糸と横糸の関係、国別援助計画がそもそも実際の援助の実施においてどのような役割を果たすかという点、さらには、最初にあったJICA、JBICとの重複関係については、整理が出来ると思いますので、事務局よりお話致します。

(西田経済協力局長) ごく簡単に申し上げます。委員ご指摘の「重複しているのではないか」ということについては、実際問題として重複している部分は当然あろうと考えています。委員のご指摘は、基本的には2つほどのコメントに基づいてると思いますが、一つは、出来上がったものは、役所だけで作った結果として専門性が必ずしも十分でないという批判があります。従って、是非この場を使って、たたいて頂きたいと思っているというのが一つです。
 もう一つは、これまではプロジェクト・ベースの実施の話と政策・プログラムの話が日本型においては必ずしも確然としていなかったということです。これは事実ですので、日本ODAは今まさにそこをどのように連携するのかということと同時に、それぞれが当事者としてどのような形で援助をやっていくのかということを一生懸命検討している時期だと思います。
 そのプロセスの中で、政策と上流により重点を置いた国別援助計画を外務省、すなわち政府が作り、JICA、JBICは現場のプロジェクト・ベースでやっていくことにしているところですので、まさに進化、発展していく状況なのではないかと考えています。役所の調整については、一般的な行政省庁間の調整の例にならって、外務省が原案を作り、各省と文字ベースで一言一言チェックし、議論しながら作り上げていくというプロセスでやっています。
 分野については、様々なお考えがあろうと思います。これまでの政府の基本的な考え方としては、分野についての重点は、取りあえずはODA中期政策で示していまして、その範囲内で今度は国別を作っていくということです。それからもう一つは、ODAは外交と非常に密接な関係であるというのが政府の考え方ですので、まず分野あるいは援助計画ありきという考え方ではありません。生きた外交の中で、国も変わっていきますし、日本との関係も変わっていくという中で国別援助計画を策定することによって日本の援助の戦略性が作られているのではないかという哲学に基づいて考えています。

(川口議長) 今お話をした点も含めてご意見を出して頂ければと思います。それでは、草野委員。

(草野委員) 磯田委員がおっしゃったことと同じ事を申し上げようと思っていましたけれども、今の局長の説明をお伺いしても若干付け加えて私の意見を言う必要があると思います。これだけ財政事情が厳しく、ODA予算が減っていく中で、資源の効率的な使用ということから考えますと、様々な主体がそれぞれの持ち分に従ってこのような計画を作るのはいいですけれども、出来るだけ重複がないようにして頂きたいとお願いしたいと思います。
 もう一つは、まだ触れられてない点ですけれども、策定のプロセスにおいて、当該援助国に対して日本が実施してきた案件に対する評価をどのようにフィードバックするのかということです。様々な形で評価をされていて、その中には残念ながら必ずしもうまくいってないケースもあると思います。そこから何を学ぶのかということを策定のプロセスに是非入れて頂きたい。今日のお話を伺いますと、あたかも白地のキャンパスにゼロベースで「こうやりましょう」という絵を描くような感じが致します。それは少しおかしいのではないかと思います。正直言いまして失敗の案件もあったと思いますので、少なくとも、一般的に言ってこのようなケースは注意しなければいけないという、失敗の本質のようなものをケースとして勉強して、このようなケースはこのようなところを注意しなければいけないというような一般的な注意を是非委員間で認識の共有を測った方がいいのではないかと思います。以上です。

(川口議長) ありがとうございました。国別援助計画の作り方についてのご意見です。次は大野委員どうぞ。

(大野委員) 西田局長から説明がありました、コメントを経て上がっていく過程については改善の余地はあるけれども、それでいいと思います。私は出てくる原案の質がそもそも問題だと思います。今ベトナムというお話がありましたけれども、私ベトナムの現在の国別援助計画を読み、他の国も読み始めましたけれども、まず国の概説が最初に書いてあり、その後に援助の実施要領のようなことが書いてあります。真ん中にあるべき分析なるもの、その国の開発問題で一体どのようなことが大事なのか、それについて日本はどのように考えるのかということが抜けています。さらに、概説だけ見ると、その国の新聞を読めば分かるような程度しか書いていません。ですから、そこが必要だと思います。
 それをやるためにどのようにすればいいかと言うと、先程タスクフォースという話がありましたけれども、開発戦略を研究するチームを非常に充実させて、継続させないといけないと思います。今までJICAベースで市場経済化支援がベトナムやラオス、ミャンマー、モンゴル等に対してあり、またJICAでは国別援助研究会もたくさん出来ています。いいものも悪いものもありますけれども、それを拡充して、強化しなければいけないと思います。東京で作文して、2、3回現地に行くというようなことではとても出来ません。少なくとも2、3年は集中的に専門家が議論して、国別計画を作るだけではなく、その国と政策対話をし、他のドナー、世界銀行その他とも議論していき、それを踏まえた上で、我が国の援助機関、NGO等様々な機関にインプットするというブレインになるチームが常にあって、その一環として援助計画が出てくるという形でないといけないと思います。ですから、今ある市場経済化支援や国別援助研究会を拡充する形でやるというやり方が私はいいと思います。それがスリランカではあるのか知りませんけれども、もしなければ、大使館から上がってきたものをそのまま議論しても、ほとんどダメだと思います。

(川口議長) 具体的な対案というか、やり方についてのご提案ありがとうございました。次は砂川委員お願いします。

(砂川委員) 国別援助計画の策定基準についてコメントしたいと思います。この選定基準の図では、「外交政策上の重要性」と「開発ニーズ」が2点挙げられていますが、現在世界の援助は、サミットで取り上げられた様に、テロや安全保障といった国際的なシステムの問題との関係で大きく取り上げられていると思いますので、「外交政策上の重要性」の最後に書いてる「当該国の政治的・経済的役割」をもう少し広げて、「国際貢献」や「世界政治経済システムの維持」といった大きな世界的な課題をこの上に載せて、3つの目的、3つの選定基準として置いた方が実態に近いし、国際情勢と結びついており、理解され易いと思います。
 これに関連して2番目に申し上げたいことは国の選択についてです。おそらくが外交政策上最もホットな旬の国ということから考えると、新規に取り上げるスリランカはその意味では若干トーンダウンするのではないでしょうか。むしろインドあるいは中央アジアといった国々が非常に重要になってくるのではないかと思います。「第2次ODA改革懇談会」では、国別援助計画は取り組むべき重点分野を十分に絞り込んでいないと評価されていますが、それはあまり戦略性がなく評価出来ないということだと思います。既に策定されたレポートを私もいくつか読んでみましたが、世銀やアジア開発銀行のレポート等と比べると、戦略性が欠けていると思います。その意味では、むしろレビューをする国をもう少し増やした方がいいのではないかと思います。少なくとも2ヶ国ほど見直して、新しい国を一つくらいにすることが、むしろ現実的な意味があるのではないかと思います。以上です。

(川口議長) ありがとうございました。それでは小島委員お願いします。

(小島委員) 2点もしくは3点コメントしたいと思います。
 第1点はこの国別援助計画が持つ重みですが、この「ODA総合戦略会議」というのは、ODA政策の司令塔という位置付けだとすると、そこで出される国別援助計画がある意味で具体的に政策として実施されるというある種の担保をどこでとるのかということです。これが1点目です。
 2点目は、私はODAは日本の外交政策あるいは戦略の極めて有効な一手段であるという視点を貫いて頂きたいと思います。そのような観点から、国別援助計画と分野別計画のどちらを優先するのかという時に、私は国別援助計画が優先されると考えています。より正確に申し上げれば、地域戦略というか地域別援助計画がまず策定されるべきではないかと考えます。具体的に言えば東アジアということです。
 その点と関連して3番目に、新規、見直し国については、今の砂川委員からの旬の地域・国を扱うべきではないかという意見に同意見です。新規ということでは、私はミャンマーこそ取り上げられないといけないのではないかと思います。可能であれば朝鮮半島も取り上げていいと思います。見直しということでは、昨年作られた国ではありますけれども、中国は今後2、3年で見直す、旬ということでは今見直しの議論がされないといけないのではないかと思います。以上です。

(川口議長) 具体的にありがとうございました。それでは千野委員お願いします。

(千野委員) ありがとうございます。意見が重なる気がしますが、一つは先程から、国別援助計画はJBICやJICAが既に策定しているのではないかということや国別より分野別が先ではないかという議論が出ていますが、基本に立ち返って、この「ODA総合戦略会議」はそもそも何のために出来たのかということを考えれば、答えは自ずと明らかではないかという気が致します。
 「第2次ODA改革懇談会」の提言の大きな目玉として「ODA総合戦略会議」が出来た背景は、日本のODA外交にもっと戦略性を持たせるということにあったわけす。既にJICAやJBICに国別援助計画があることは、実施機関として当然だと思いますし、日本外交として国別援助計画を持つことに大きな意味があると思います。縦糸が先か横糸が先かという話はむしろその後のことではないかと思いますが、どちらかというと私も小島委員の意見に賛成です。
 それからもう一つ、これも既に出されましたが、既存の見直し国には中国を入れるべきであると思います。これも「第2次ODA改革懇談会」のタウン・ミーティングや様々な国民、世論の声を受け止めると、なぜ中国が入っていないのか疑問に感じます。日本のODAに対する様々な疑問の大きな核を占めているのは中国であると言っても過言ではないと思います。昨今、外務省はチャイナスクール云々とメディアなどで書かれている中で、順序としては先に来るにせよ次年度に来るにせよ、対象国として考える必要があるのではないでしょうか。
 最後に、なぜスリランカなのかということについて、私自身はどの国が鮮度を持つか旬であるかというのは、国際情勢の中でニュース性を持つかということと同じことだと考えます。スリランカでは現在和平交渉が進んでいます。この動きがそれほど簡単にいくとは思えませんが、9.11以降大きく動いたのがスリランカであるという現状を考えれば、中央アジアが9.11以降クローズアップされていることもあわせて、策定する中でスリランカが大きくクローズアップされることもあり得ると思います。従って、一概には言えませんけれども、スリランカでも決して悪くはないということを一言付け加えたいと思います。

(川口議長) ありがとうございました。今までの議論の整理をしたいと思います。大きくいくつかの点について議論がありました。一つの大きなかたまりは、国別援助計画の策定の仕方についての意見であると思います。例を挙げれば、例えば他のドナーの議論、JBICやJICAとの議論の調整の話、もう少し共通化なり整理する必要があるのではないかという話、政策対話を深める中でそれを反映して作るべきではないかという話がありました。これについては、作り方の話ですので、次までに事務局で少し整理をしてもらって、今までの作り方で変えるべきところがあれば、新しいやり方について出して頂けばいいと思います。
 それから、国別援助計画の位置付け、役割、実際にどのくらいどのように役立つのかという部分についてのご意見があったと思います。これについては、残りの時間でもう少し出して頂いてもいいと思いますし、これも事務局で一度整理をしてもらうということではないかと思います。要するに国別援助計画を実際どの様に使っていくつもりがあるかということです。
 残りの時間集中して議論して頂きたいのは、どのような基準に基づいてどのような国を選ぶか、どのような国についてレビューをするかということです。今までの議論としては、一つは砂川委員がおっしゃった外交政策上、国際貢献あるいは国際社会としてのシステム造りにそれがどのように役立つかという観点から国を選ぶべきではないかというご意見がありました。それから、地域への戦略等も含めて、一般的に戦略性をもっと重視して選ぶべきではないかということがありました。
 以上、他にもありましたけれども、そのような抽象的な議論に立った上で、新規の国を減らして見直しを増やすということ、それから新規の国として先程渡辺議長代理からお話のあったスリランカに加えて、例えばミャンマー、朝鮮半島ということが出てきましたし、レビューとしては中国が出てきたと思います。私は出来ましたら今日の終わりまでにどのような国を選ぶかを決めたいと思いますので、この点に集中してもう少し議論頂けたらと思います。次は青山委員お願いします。

(青山委員) 前の方がおっしゃったことと重複する点が少しあるかもしれませんが、3点申し上げたいと思います。
 まず1点目は、大野委員もおっしゃいました国別援助計画原案作成の問題点です。大使館には、開発や各セクターの専門家はいらっしゃらないことが多いのではないかと思います。そのようなところで原案をつくるのは人員的にも困難ではないでしょうか。原案の質を向上させることが重要であると思いますので、もし大使館から原案をあげてくるというのでしたら、ある一定の期間、現地に各セクターの専門家と開発の専門家を配備して、質の高い原案を作ることが必要だと思います。
 それから2点目が先程から議論になっている縦糸と横糸の関係、すなわち国とセクターの関係です。小島委員もおっしゃったように、戦略として国が重要ということには私も異存はありません。ただ、ODAの質を上げるには、セクターの戦略は非常に重要であり、各分野の戦略をきちんと立てて、縦糸と横糸を緊密に関連させる形にしないといけないと思います。外交政策としては国別でいいと思いますが、援助の質を上げるためにはセクターの戦略が重要になると思います。
 私にはよくわかりませんが、その場合には、外務省だけではなく、他の省庁もそれぞれのセクターについて開発協力戦略を考えているのではないかと推測されます。例えば文部科学省であれば国際教育協力に関する戦略を持っているのかもしれませんし、厚生労働省は保健医療分野の国際協力戦略を持っているのかもしれません。もしそのようなことがあれば、各省庁と連携協力して、外務省が中心となって開発協力におけるセクター戦略をまとめる必要があると思います。セクターの戦略を作っておいて、国別の戦略とすり合わせて実行していけばいいのではないかと思います。
 3点目は国の選定についてです。先程局長から図をお示し頂きながら、援助量を優先的に考えるというご説明を頂きました。私は、外交政策が重要で開発ニーズがあるところには当然援助量が多くなると思っていましたので、ある国はどのような形で援助量が多くなっているのかよく理解できませんでした。また、援助量が多い国から選んでいるにしても、どのような順番で策定しているのかよくわかりませんでした。
 それから、人口規模を考慮しなくてもいいのだろうかということです。例えば、対象国としてはアジアが中心となっていると思いますが、アフリカではナイジェリアのような人口が1億規模の国がリストにないということが私としてはよくわかりません。アジアであれば、インドネシアはもちろん、インド、パキスタンのような人口規模の大きい国は優先として考えた方がいいのではないかと感じました。
 以上3点です。

(川口議長) ありがとうございます。荒木委員お願いします。

(荒木委員) 私もこの国別援助計画の縦糸、横糸について言及したいと思います。基本的に縦糸の国別援助計画は議長代理がおっしゃったように非常に重要ですけれども、ただ、分野別の援助方針を離して議論するのではなく、私は同時並行に、つまり教育、感染症、環境等は国際的な大きな課題ですので、分野別研究として日本はその分野で何が出来るかということについて最初から探求することが重要だと思います。「第2次ODA改革懇談会」でも日本の特性を活かして、どこまで出来るかを探求をしようという議論がありましたので、これは日本にとってもかなり重要な課題であると思います。従って、これは同時に進行していってもいいのではないか思います。
 それから、国別援助計画作成のプロセスについて、まず原案があって、第2次案云々とあります。基本的な認識としては、この戦略会議が原案をつくって全部やっていくというところまでは体制的に難しいので、現状に添いながら、今までのやり方をウォッチしながら改革をしていくというスライド方式でやらないと現実的には無理だと思います。問題は、役所の方で、全関係省庁との協議の段階で、素案が関係省庁に行ってどうなって戻ってくるのかを確認したいと思います。この要素は非常に重要で、むしろ皆の疑いの眼というのは、ここで何か曲げられているのではないかということですので、この仕組みを戦略会議でウォッチ出来るようなプロセスをつくってもらいたいというのが第2点目です。以上です。

(川口議長) ありがとうございました。牟田委員お願いします。

(牟田委員) まず最初にコメントですが、一番最初にご説明のありましたODA改革15の具体策について、監査が一番最初に出てきています。ODA改革のキーワードはいくつかあると思いますが、例えば透明性の確保もキーワードです。この具体策を見ますと、監査が一番最初に出ているというのはそのようなことをお考えになったんだろうと思います。その他に情報公開、あるいは効率化のような様々なキーワードがあると思いますけどれも、監査ということでは、心がけの悪い人について「けしからん」というご指摘があったとしても、通常はたかだか数千万や1億円程度だろうと思います。しかし、ODAの世界では、100億、1000億を無駄に使うことが簡単に出来ます。しかも、それがなかなか目に見えません。もちろんジャーナリスティックに目に見える、誰かがお金をごまかしたというところに目がいくというのは仕方がないとは思いますが、ODA改革の一番大きなところは効率化であると思うのです。
 効率化というのは、立てた目標が適切なお金でやり遂げられる、出来れば少ないお金でやり遂げられることによって、100億、1000億の余裕が出来て、また新しいプロジェクトが出来るところがODA改革の本流ではないかと思います。
 この改革の具体策の中で評価については4点も書いてあり、大変評価を重視して頂いていると思います。しかし、ここに書かれていることは、何となく評価をすることによって、どちらかと言うと悪いところを見つけるという感じがあるのではないかと思います。大事なことは評価によって、結果がフィードバックされて、より効率化されるということが大事であるという点をもう少し強調して頂きたかったと思います。
 効率化ということで言えば、立てた目標がどのように達成されるかということが大事だと思います。そのためには、皆が心がけをよくしようという心がけの論理ということになれば、話がかなり矮小化してしまいます。心がけも大事ですが、心がけではなくて、効率化出来るような仕組みになっているかという、ODAのやり方あるいは計画立案、実施、評価を全て含めて、効率化を担保出来るような仕組みがないのかということを考えていくことが大事なのではないかと思います。
 そのようなことであれば、一番大事なことは、達成すべき目標をどのように立てるかということです。先程草野委員から国別の計画をたてる前に、まず評価をきちんと見せてくれと言うお話があったと思いますが、おそらくそのようなものはあまりないと思います。なぜないかというと国別の援助方針が明確でなく、プロジェクトの寄せ集まりであって、軽重がつけられていないからです。軽重をつけることが、これからの援助計画をどのように作るかということになると思います。その国に対して日本が何が出来るかという非常に大きな目標があって、その目標を達成するためには具体的に何をするかというものがくることになります。国別援助計画は、トップダウンでいくべきであって、ボトムアップはおかしいと思います。
 そのような意味からは、国別援助計画か分野別かと言えば、どちらかと言えば国別援助だと思いますけれども、その中で当然分野のことも考えなければいけない。例えば、先程国の選定基準で「外交戦略上の重要性」や「開発ニーズ」がありましたが、国によっては「外交戦略上の重要性」が大事でしょうし、ある国にとっては「開発ニーズ」が大きいかもしれません。「開発ニーズ」ということであれば、どのような分野に対するニーズかということがないと国別援助計画が立てられないということだと思います。
 最後に、どの国かについては、今一番問題になっている国を取り上げるべきという考え方もあろうかとは思いますが、最初にモデル的なものを作るということであれば、作りやすい国をまず作ってみることも大事ではないでしょうか。最初にモデルを作って、それを少しずつ広げていくということです。その面からは、私はスリランカのことはあまり知りませんけれども、スリランカの「開発ニーズ」に焦点をあてて、例えば一番大きな目標は貧困削減である、それでは貧困削減のためには何をすればいいかというように順次ブレークダウンして、日本としては具体的なプロジェクトとして何が出来るかというかたちで作れば比較的出来やすいのではないかという気もします。以上です。

(川口議長) ありがとうございました。次は、浅沼委員お願いします。

(浅沼委員) 同様に国別援助計画について3点ほど、なるべく短く申し上げます。第1に世界的な傾向ですけれども、私がODA全般について現在感じている印象として、ドナーサイドのアジェンダを押し付けている気が致します。従って、今必要なことは、ODAを受け取る国のニーズがどこにあるかを見極めることであると考えます。そのような意味で、その国にどのようなニーズがあって、そのニーズを満たすためにどのようにODAをやるのかということを見極めることが大切で、分野の話はどちらかというとその手段にしかすぎないと思います。従って、どうしても国別援助計画の策定が中心にならなければいけないと考えます。
 作成過程については、このプロセスを見せて頂きまして、私は知ってるつもりでいたのですが、どうも知らなかったようですが、大野委員のおっしゃったことに賛成です。例えばスリランカについて策定しますと、スリランカの在外公館にいらっしゃる方で、この作業に携われる方はほんの数名、おそらく2人くらいだという気がします。そこでしっかりした分析ができるはずもありませんので、従前やられていたように、JICAやJBICでやられた国別の援助方針の検討等をベースに1番入り口のところでもう少ししっかりした分析作業行う必要があると思います。そうであれば、これはどうしてもオールジャパンとして1つのタスクフォースを作って頂かなければいけないという気が致します。
 それから第3に、作業の対象国の選定については、私自身は今まで行われてきたODA供与額の大きい国を重要国とみなして、その国から策定を始め、5年くらいのサイクルでやるというのはいいことだと思います。国別援助計画がODA政策の1番基本になる部分ですので、あまりその時々の国際政治的事項、その他の関心事で左右させず、1つの基本的な作業として、順次進められるような体制を取っておき、その上で、戦略的にどうしてもある点に絞って見直すことが必要であれば、スクラッチからの分析をするのではなく、特別のレビューという形でやっていけばいいという気が致します。

(川口議長) ありがとうございました。それでは、宮原委員お願いします。

(宮原委員) 浅沼委員のおっしゃったことと関連します。私の質問なのですが、今二国間援助実績を見ますとインドネシアは圧倒的です。1位のインドネシアについて今までレビューがなされていないのはなぜなのかと思います。これから策定する国のリストには入っていますけれども、なぜ一番大きなインドネシアに対する二国間の調査が遅れているのでしょうか。
 それからもう1つの質問ですが、一番初めの伊藤委員の質問に対し、局長がお答えになったことに関連しますが、ホームページに発言者記名入り議事録が掲載されるまでの間に、部外者に対し、本会議の内容を話す際に、「外交政策の円滑な実施や相手国政府との関係上公開が不適当と判断されるものは除く」という判断は本人にまかせざるを得ないと理解していいのでしょうか。

(川口議長) 今のインドネシアと外交政策の話について局長からご説明致します。

(西田経済協力局長) インドネシアと中国について事実関係を申し上げたいと思います。まず、なぜインドネシアがないかについては、先程ご説明しましたように、そもそもこの国別援助計画を作り始めたのは2年ほど前、平成12年からです。その間、インドネシアは政情が大変不安定でしたので、その間に中期計画を作ることが、必ずしも適切ではないのではないかということで、インドネシアに対する中期計画としての国別援助計画を作ることは差し控えてきました。他方、全く計画なくインドネシアに対して援助しているかというと、そうではなく、年次というか、1年を考えてどのような援助をやるかを策定して、それに基づいて動いているという状況です。大きな枠としての国別援助計画については、今後の見通しで来年くらいではどうかということで考えさせて頂いたということです。
 中国については、多数の委員の方から言及がありましたけれども、ご案内のように昨年10月に新しい援助計画を作成したばかりですので、レビューということになりますと、出来上がってから1年くらいのうちに事態が非常に動いているからという意味において、ある種の追加、改訂、アップデートをするという趣旨になると考えています。
 また、私が申し上げました各委員がどの程度外部に対して説明ができるのかについてですけれども、外交政策上機微な点についてどこまでお話されるかについては、当然事前にご相談があるものと考えています。一般的には、ご自身が参加をされていますので、基本的には記録の範囲内においてフィードバックされること、また、例えば次の議題について、事前の準備をインプットしてこられるということは差し支えないのではないかということを申し上げました。必要があれば、その都度事務局から、この部分の資料、この部分についてのご議論については、伏せて頂きたいとお願いすることは当然あるとと思います。

(川口議長) ありがとうございました。それでは、脊戸委員お願いします。

(脊戸委員) 既に他の委員の方々からご意見が出ていますので、重複した部分は割愛致します。ODA政策が外交政策上非常に重要なことは間違いないので、国別援助という形で進めていくことは私も同意致します。
 しかし、被援助国を念頭に置かなければいけないことを考えますと、国別という縦糸と並行して分野別についても考えることがODAの効果的な面を高めるためにも必要であると思います。例えば、教育という視点を考えれば、世界の中で義務教育がどのような状況になっているのかということを国別援助計画の中に横糸として常に念頭に置きながら、優先度をどうするかということも含めて検討する必要があるのではないかと私は考えます。従って、縦糸の後に横糸ということではなく、なるべく並行して議論に取り入れていくということを是非提案したいと思います。

(川口議長) ありがとうございました。草野委員どうぞ。

(草野委員) この会議の性格を改めて議長に確認をしたいと思いますが、この会議は「ODA総合戦略会議」で、外務大臣の下に置かれており、経済協力局長の下に置かれているわけではありません。先程小島委員あるいは千野委員からも出ましたけれども、もう少し外交的な戦略と重ね合わせてODAというのを議論すべきと思います。間違っても、「ODA効率達成会議」になってはいけないと思います。
 そのような意味では、アナウンス効果だけかもしれませんけれども、ミャンマーについてやりますあるいは中国に対する援助を見直しますということでも大変大きなインパクトがあるのではないかと思います。同時に効率性も達成しないといけませんけれども。
 この2つを両立させることはなかなか難しいかもしれませんけれども、議長のご見解を伺わせて頂きたいと思います。

(川口議長) ありがとうございました。まず、先程砂川委員からもありましたけれども、今おっしゃった外交戦略については、事務局に改めて考えてもらいますが、この図表がある紙の左上に「外交政策上の重要性」があって、中身を見ると、我が国との関係をかなり意識して書いてあります。おっしゃったように、外務省の意識としては、ODAは外交戦略のツールだと思っていまして、問題意識は全く共有しているつもりです。今の部分をこの表の左上のところを更に書き直すという形でやるのか、あるいは上に付け加えるのかという整理は事務当局にしてもらいたいと思いますが、意識としては外交戦略とODAは非常に重なっていると考えています。
 また、同時に効率性も重要で、これは決して外交戦略と矛盾する話ではないと考えています。
 今日の議論全体のまとめですけれども、いろいろなご意見がありましたが、中ほどで申し上げたように、国別援助計画の作り方自体については、様々なサジェスチョンを頂きましたので、それを踏まえて次回までに事務局に作り方についてリバイズするなりの整理をし直してもらおうと思います。
 それから、国別援助計画の位置付け、役割については、先程縦糸対横糸として2つをどのように組み合わせるかを含めて、もう一度整理をし直してもらいますが、縦糸と横糸の関係をどうするかということは、直ちに結論が出る話ではないと私は思っていまして、これはやりながら考えていくということかと思います。
 最後のどの国を新規、レビューの対象として選ぶかについては、若干異なるご意見はあったかと思いますが、私は新規とレビューの関係で今まで出たやり方についての意見も様々ありますので、まず既存の計画のレビューをやることからスタートするのがいいのではないかと思います。レビューをやりながら、新規を作る際ののアイデアが出てくるのではないかと思います。

(渡辺議長代理) よろしいでしょうか。

(川口議長) どうぞ。

(渡辺議長代理) 大野委員がベトナムについての長い研究・蓄積を持っておられ、ベトナムについての国別援助計画についても、先程コメントがありました。比較的新しいものではありますが、一度何らかの形でご報告頂けないかという提案ですが、聞いて頂けますでしょうか。
 それからもう1つ、どの国から始めるかということですが、この組織はこれからも続いていくものですので、どこから始めなければならないという論理的な順序は、私はないと思います。先程、牟田委員からモデル化という話が出ましたけれども、今後いいものを作るためのモデルを作るという意味では、やり易さという要因が重視されてしかるべきではないかと思います。冒頭申し上げたような理由で、スリランカはかなり材料が既に整っていて、そう遠くなくこの場に提出できるという意味ではモデル化の材料として適当であると思います。それらの材料が整っていないインドやインドネシアのような大国からスタートさせるといっても、なかなか動きづらいと思います。
 以上2つ提案します。1つは大野委員に事前にご相談もせずに突然申し上げて申し訳ありませんが、ベトナムの国別援助計画についてメモを出して頂くとか、簡単にご説明頂くとか何らかの形でよろしくお願いできますでしょうか。それをいつにどのようにするかは事務局とまた相談したいと思います。

(大野委員) 結構です。

(荒木委員) 一言よろしいでしょうか。

(川口議長) 今までの議論に関係のあることをお願い致します。

(荒木委員) 様々なところからODAは攻撃されて、年々予算が減っていくことに対する心配を大変持っています。3月のモンテレイでの会議、8月の南アでのWSSDと続く中で、国際的な環境を踏まえて、「ODA総合戦略会議」としてODA予算についての意見を出してはどうかと思います。議長、議長代理、委員の方々の意見を伺いたいと思います。

(川口議長) ODAについて、世界で起こっている様々なことを踏まえて、この会議としてどのように考えるかということを出してはどうかというご提案でしょうか。

(荒木委員) 来年度予算編成の時期になってきましたが、現場は予算によって動いています。従って、予算についての我々の見解が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

(川口議長) 今の点はとりあえず後に置きまして、今日の会議のまとめを先にさせて頂きたいと思います。
 どの国を選択するかについては、先程申し上げたとおり、様々なやり方についてのご意見もありましたので、まずレビューから先行させるのがいいのではないかと私は思います。レビューということでは、ベトナムと中国が今まで出た国だと思いますけれども、先程渡辺議長代理からご提案もありましたように、ベトナムについて大野委員が紙を出して下さるということですので、事務局も何か用意する紙があると思いますけれども、大野委員に紙を出して頂き、レビューの対象国として始めたいと思います。
 それからしばらくした後で、新規の国を選ぶことにします。新規の国として今回出ているのは、スリランカ、それからミャンマーというご提案があったと思います。これについては、今直ちに決める必要はないと思いますが、議論の中で多くの意見はスリランカでいいのではないかというご意見の方が多数であったと思いますので、作業仮説としてスリランカを新規の国として選ぶことにしたいと思います。
 それから、中国を対象としてレビューを2つにしたらいいのではないかということがありました。時間の問題もあるのかもしれませんけれども、2つやるというのは私は1つの考え方としてあると思いますので、まずベトナムから始めて、中国については、先程局長が言いましたように、昨年10月に策定したばかりですので、やるとしたら見直すというよりは、追補や補足という形になると思います。どのような形でやるのがいいか、2つ目の見直し対象国として中国以外にいい国があるかについても、少し暖めておいて、いずれまた考えるということでどうかと思います。
 先程荒木委員からご提案があった意見については、皆様に他にご意見がなければ、皆の総意として出せるかは内容次第だと思いますが、とりあえずどなたかに紙を作って頂き、皆様のご賛同が得られれば、集まるのではなく、E-mail等で検討した上で、合意が出来そうであれば、出すということで如何でしょうか。

(渡辺議長代理) いよいよODA予算の編成の作業が始まります。シーリングも来月には決まります。前回の会議で西田局長から、簡単なシミュレーションを見せて頂いて、ぞっとしたのですが、あのような状況を非常におそれています。せっかく立ち上がったプレステージの高いこの会議としても何か緊急アピールを出せないかと思います。私は、結論としては予算規模に関する話になればいいと思いますが、ご意見は様々でしょうから、多数決をとって出すということが出来るかどうかわかりませんけれども、ある場合には賛成できる委員のみという形であっても、非常にコンパクトな表現で緊急アピールを出せればと思います。

(川口議長) ありがとうございました。誰が案を作るかということですけれども、ご提案されましたので荒木委員と渡辺議長代理に案を作って頂いて、委員のご意見を承るということでいいでしょうか。調整は事務局でやって頂きたいと思います。それでは駆け足になりましたけれども、ありがとうございました。

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