ODAとは? ODA改革

「第2次ODA改革懇談会」(第8回会合の概要)

「第2次ODA改革懇談会」事務局

本懇談会では、ODA改革に関する幅広いご意見を募集しております。
ご意見は、odakaikaku@mofa.go.jp又は03-5776-2083(FAX)までお寄せ下さい。

1.日時

 平成13年10月23日(火)10:00~12:00

2.場所

 外務省892号会議室

3.議題

 実施方法・実施体制の見直し

4.出席者

 懇談会メンバー(ただし、渡辺座長、五百籏委員、池上委員、小島明委員、小島朋之委員、千野委員は欠席。なお、今回の会合では荒木委員が座長代理を務めた。)。
 国際協力事業団(JICA)より北村企画・評価部長及び力石企画・評価部企画課長、国際協力銀行(JBIC)より橘田開発業務部長が出席。
 外務省から、山口大臣政務官他が出席。関係府省庁がオブザーバー参加。

5.議論の概要

(1)ODAの実施方法・実施体制の見直しについて、国際協力事業団(JICA)及び国際協力銀行(JBIC)より報告があった(JICAの報告資料JBICの報告資料)。
(2)また、上島委員((社)経済団体連合会国際協力委員長)より、(社)経済団体連合会が10月16日に発表した「ODA改革に関する提言」他のサイトへについて報告があった。
(3)以上の報告に基づき意見交換が行われた。委員の主な意見は以下の通り。
(イ)米国における同時多発テロとODA

  • 9月11日に発生した米国における連続多発テロは、世界を大きく変えた。懇談会がスタートした時と比べて、世界は大きく変化している。ODAに対するコンテクストも大幅に変わり、これからも変わっていくことになろう。軍事作戦がある段階まで行くとアフガン復興ということになるが、今回の問題はアフガニスタンのみならず、途上国の多くに関わる課題である。開発途上地域の平和・安定・繁栄は世界全体の安全保障にかかわることを世界が認識した。懇談会では、これまで途上国の平和と安定は日本の安定に不可欠であるということを一般的に議論してきたが、9月のテロを契機に、ODAは余裕があるから供与するという話ではなく、途上国の安定が日本に直接影響するということが明らかになっている。これまでの懇談会の議論は、国民の支持が低下し、財政状況が厳しい中、ODAをいかに守るかといディフェンシブなものであったが、現状はそうではない。ODAを供与しないと、日本の安全が脅かされる恐れがある。このような認識でODAを供与していく必要がある。
  • 今後、開発途上世界をどのようにして安定させるか、どの地域にプライオリティを置くかということが世界的に議論されることになると思う。その時に、処方箋として、貧困削減で十分なのか、新しい形が出てくるのかという議論になる。ビジョン・メイキングということになった場合、日本は関与できるのか、どういうアイデアを出せるのか。これからビジョン・メイキングをしていく時に、日本の経験に照らして何を言うべきか。
  • 開発途上地域の安定は、ODAだけで対処する問題ではない。日本は、国としてのビジョンを持つことが大事である。その中でODAはどういう役割を担うか、政府として検討して欲しい。

(ロ)ODAの実施方法・実施体制の見直し

  • ODA改革の方向性として、政策・制度造りに直接関与し、量から質へ転換することは同感であるが、一体今の人員で対応できるのか。政策要員・国別スペシャリストに絞っても良いが、増員をしないと質の向上は望めない。今の状況下で政策・制度面で貢献すると言っても、事業予算を削減してでも人員を増加しないと対応できない。増員が容易でない場合は、事業予算を政策要員・国別スペシャリストに振り向ける仕組みを考えなければならない。例えば、JICAの専門家の10%を転用して、現地の政策要員と国別スペシャリストに充ててはどうか。JBICについても何らかの対応が必要ではないか。
  • 専門家派遣、研修員受け入れ等を減らしてでも本当に役に立つ人を養成する必要がある。ODA予算を10%削減しても、その一部は援助要員の増員に回して欲しい。人の要請は国作りの基礎になるものであり、何よりも大事である。
  • 欧米に比べて日本の援助要員が大幅に不足している。人員の増加は是非考えていかなくてはならない。確かに質の問題もあるが、人員不足は現地に行けば明らかに分かる。他方、NGOの中には数年間現地にいて現地事情に精通した人もいるので、NGOと連携していくことも必要ではないか。
  • 最近、JICAジュニア専門員で優秀な人が育っているので、期間延長を是非お願いしたい。将来の専門家を育成する観点から重要であり、またジュニア専門員経験者がNGOに入ってくれば、NGOの体質強化にもつながる。
  • 政府はODAの政策決定のみを担当し、実施は実施機関に委譲する方が効率的である。外務省は国別援助計画策定に重点化することをODA改革の一部としても検討すべきではないか。また、無償資金協力予算をファンド化してJICAに付ければ、単年度予算制度の弊害が解消されるのではないか。
  • 権限委譲には、役所から実施機関、東京から現地(役所・実施機関双方)の二つの側面がある。役所は政策に専念して、事務を実施機関に委譲実施すべきである。また、東京から現地へもっとはっきりと事務委譲すべきである。そのためには、実施機関では、地域担当理事が現地に数年間赴任してその地域の事務所を統括すれば、本当の権限委譲が進むのではないか。
  • 企業のトレーニング施設、人材を直接開発協力活動に活用するなど、ODAの枠の内外で官民連携が必要ではないか。
  • 現地主導でJICAの優良案件を発掘・形成するためには、開発協力事業についての十分な知識と経験を持った人材を活用する必要がある。
  • 国別アプローチの強化の一環として、国別の人材データベースを導入することが望ましい。
  • 援助人材の育成の一環として、国際機関を含めた他の援助機関との人事交流を更に推進すべきである。
  • 債務問題についてJBICの方針が見えてこない。日本は、国際的に同意せざるを得なくなると無償で対応しているが、彌縫策がいつまで続くのか。
  • JBICは途上国の対外債務問題や移行国問題が出てくる中、構造調整ローンなどプログラム援助を大幅に実施してきた。どうしても必要になる局面は出てくるが、今までのように世銀、IMFと協調するということだけでやるのか、あるいは援助要員を充実させた上で独自にやろうとしているのか見えない。
  • ODAに対する国民の理解が十分ではない。国民の理解がないと、しっかりとしたODA政策を進めることができない。ODAが我々の生存にどのように関わるかについて、国民への呼びかけを強調して欲しい。

6.次回会合の日程等

 次回会合は、11月5日(月)(10時~12時)に開催され、国民参加、人材育成について、中村安秀HANDS代表(大阪大学大学院人間科学研究科教授)、長尾眞文広島大学教育開発国際協力研究センター教授から報告を受ける予定。

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