平成16年3月23日
昨年8月に改定された政府開発援助(ODA)大綱においては、「貧困削減」、「平和の構築」等を重点課題としていることを受け、ODA大綱の基本方針を踏まえて、以下の見直しを実施し、一層効果的に円借款を供与することとした。
1.円借款金利の見直し等
途上国が必要とする開発資金の調達先として引き続き円借款の魅力を確保するため、金利の引下げを中心とする供与条件表の改定を行った。また、これに合わせ、調達条件がタイドである「本邦技術活用条件」の金利を引き下げた。さらに、債権債務の適正な管理に資するため、償還期間を短縮化するオプションの幅を拡充した。なお、新たな円借款供与条件表は、来年度から適用される。
2.平和の構築支援への対応
「地球環境・公害対策」、「人材育成支援」及び「中小企業」には、譲許性の特に高い供与条件(優先条件)を適用してきたが、今回その対象に「平和の構築支援」を新たに含めた。
これにより、紛争後の平和構築努力の対象となる国及びその周辺国にあって、紛争の影響が深刻な地域の人道状況の改善、復旧又は復興に資する円借款案件に対して特に譲許的な条件を適用することが可能になり、紛争で疲弊した地域においてその負担を軽減する形で経済社会開発を支援し、もって地域の平和と安定を図ることが期待される。
3.中進国における格差是正支援への対応
中進国(マレーシア、コスタリカ、ブラジル等)については、円借款を供与可能な分野を原則として「環境」、「人材育成支援」及び「地震対策」に限定していたが、中進国の多様な開発ニーズに一層応えるべく、「貧困地域における特定の経済社会基盤整備を通じた格差是正支援」を新たに対象分野とした。
中進国では、近年、急速な経済発展の歪みとして所得格差・地域間格差が深刻化しており、この問題の解決は当該国の開発を適切な形たらしめる上で不可欠である。そこで、格差是正に向けた自助努力を慫慂しつつ、我が国としてもかかる努力を円借款の供与をもって支援するものである。