ODAとは? ODA評価

第8回ODA評価ワークショップ
共同議長サマリー(仮訳)
(於:シンガポール)

共同議長:
コー・ティン・フック・シンガポール外務省技術協力局長
牟田博光・東京工業大学副学長

平成21年3月4日

 第8回ODA評価ワークショップは、本年3月3、4日の2日間、シンガポールにおいて、シンガポール・日本両政府により共催された。

 ワークショップ全体会合が、共同議長を務める牟田博光東京工業大学副学長及びコー・ティン・フック・シンガポール外務省技術協力局の開会の辞により開始され、小田克起外務省国際協力局審議官がシンガポール政府の協力と参加者全員に対する歓待に感謝する旨の歓迎の辞を述べた。

 最初の発表として、牟田副学長により、廣野良吉成蹊大学名誉教授の論文に基づいた発表が行われた。牟田副学長は、政策評価の国際動向や政策評価に関わる日本のアプローチを含め、政策評価について包括的な説明を行った。次いで、ジョン・ウォン・シンガポール国立大学東アジア研究所長により、シンガポールの柔軟に変遷する経済開発政策及び東アジア開発モデルの基礎条件について説明が行われた。

 1日目午後2つの分科会が開催された。分科会Aではドナー・パートナー国間合同評価を、分科会Bではプロジェクト評価を中心に議論が行われた。

 分科会Aでは、カオ・マイン・クオン・ベトナム計画投資省対外経済関係局次長及びスタノン・フンタマサン・タイ国際協力開発庁(TICA)連携計画・モニタリング課長により、タイ及びベトナムの合同評価に関わる経験について発表が行われた。分科会Aにおける議論は以下の項目を中心に行われた。(1)政府による合同評価参加のための強いモチべーションの確保、(2)ホスト国の援助受益者が評価活動に参加するための強いモチベーションの確保、(3)評価向上のために必要となる制度(法律・規則等)の整備、(4)評価向上のためのホスト国における人材育成、(5)評価結果を効果的に使用するための組織的な記憶システムの設置、(6)評価結果を効率的に活用するためのメカニズムの確保、評価結果の援助受益者やコミュニティーへのフィードバック。
 
 分科会Bでは、湊FASID国際開発研究センター所長代行により、「プロジェクト評価及びフィードバック~インドネシアの環境プロジェクトのケース~」について発表が行われた後、モハン・D・マナンダール氏による「プロジェクト・レベル評価の効果的活用とホスト国の視点の関与」について発表が行われた。分科会参加者は、以下の点について議論を行った:(1)評価企画段階での評価プロセスへの参加、(2)プロジェクトの方向性の政府の政策優先事項への合致の確認、(3)プロジェクトの目的及び成果と、援助受益者のニーズ及び需要との合致の確認、(4)能力や制度の発展を測るための指標、(5)ホスト国のステークホルダーへの視点が入った評価結果のフィードバック、(6)ローカルコミュニティーの利益の関与、(7)ステークホルダーの評価への貢献。

 2日目の全体会合では、各分科会からの概要報告に続いて、次の論点が提示された:(a)評価や評価報告書の対象者を明確にすることの困難さ、(b)ローカルコミュニティーや援助受益者の援助プロセスへの関与の度合い、(c)評価報告書がわかりやすい内容で、ローカルな言語でも書かれ、国民に対してオープンでアクセスが容易であることの重要性、(d)評価結果を国家開発計画に反映させられるよう評価を行うタイミングの重要性、(e)評価結果を組織大の記憶として保持するためのドナー・パートナー国の努力の重要性。

 第8回ODA評価ワークショップの参加者は、共催者の優れた運営に対し衷心からの感謝を表明するとともに、ワークショップの議題に関し包括的で示唆に富んだ発表を行った発表者に謝意を表した。すべての参加者が、今後もこのような各国の率直な対話の継続を通じて評価および評価能力を向上させる緊急の必要性を表明した。また、アジア太平洋地域におけるプロの評価者のネットワークを設立する利点についても言及がなされた。

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