平成18年1月26日
ご列席の皆様、
ODA評価東京ワークショップを開会できることは、私にとって大きな喜びです。アジアのパートナー国、二国間及び多国間の開発機関関係者を歓迎するとともに、参加いただいたことに感謝申し上げます。
我が国は、ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた努力に対する支援に完全にコミットしています。このため、小泉総理は昨年のG8サミットにおいて、今後5年間でODA事業量の100億ドルの積み増しを目指すことを表明しました。他の多くのドナー国もODAの大幅な増額を誓約しました。今後は、増額したODAの最も効果的な実施を確保することが課題です。
我が国は、点検と改善のプロセスを通じて、ODAの改善に努めてきました。こうした観点から、日本はODA評価に特別重要な位置づけをしてきました。評価を通じて、過去の成功や失敗から学ぶことができ、援助の質を上げることができます。加えて、評価によって、説明責任と援助の透明性を向上させることができます。これは日本国民のODAに対する支持を維持するために不可欠です。具体的には、外務省は政策レベルの評価を外部の有識者会議を通じて、あるいは、パートナー国と合同で実施しています。プロジェクト・レベルでは、JBIC及びJICAが、全ての主要なプロジェクトについて事後評価を実施しています。これに加えて、昨年、外務省は特定の無償プロジェクトについて試行的に事後評価の実施を開始しました。
ご列席の皆様、
開発を促進するためにはパートナー国のオーナーシップが極めて重要です。同様に、パートナー国の評価能力の向上は、開発資金のより効率的な活用に貢献します。こうした考えから、我が国は2001年より、アジア諸国の参加を得て、4回のODA評価東京ワークショップを開催して参りました。これらのワークショップは、国際的な評価基準に関する理解促進や、能力強化に寄与してきました。一例を挙げると、昨年開催されたワークショップを受け、ベトナムの紅河デルタ地帯の運輸開発に関する日越合同評価が実現しました。合同評価は、評価の質の向上という観点ばかりでなく、ベトナム側カウンターパートの評価能力向上という観点からも有益なものでした。
昨年3月に採択された援助効果向上に関するパリ宣言のフォローアップの一環として、このワークショップでは、「結果重視アプローチ」に特に焦点を当てています。日本自身の立場から申し上げれば、結果重視のアプローチは、日本の納税者の方々に対して、我が国のODAが開発途上国の人々の福利厚生の増進に如何に貢献しているかを示す上で重要です。ミレニアム開発目標では、成果に焦点を当てた8つの目標を設定しています。ドナー国及びパートナー国双方にとって、それぞれの活動の成果をこの結果重視の枠組みの中で示すことが共通の課題となっています。
しかしながら、他の多くの課題についても同様ですが、「言うは易く行うは難し」です。結果重視のアプローチを導入するためには、方法論や統計といった技術的な側面だけでなく、開発目標の優先順位付け、リソースの欠如等、様々な難題を克服しなくてはなりません。我が国は、その第一歩として、スリランカとパキスタンの国別援助計画において目標体系図の導入を試行的に始めました。我が国も結果重視の促進に向けて努力を続けますが、パートナー国であるアジア諸国においても努力が多くの必要です。
このワークショップで皆様が忌憚なく活発な意見交換をされ、このワークショップがアジア諸国の評価体制の強化に寄与することを心より期待しております。
ご静聴有難うございました。